【最新モデル試乗】メルセデス・ベンツのカジュアルワゴン、CLAシューティングブレークの、ちょっといい世界

メルセデス・ベンツCLA200dシューティングブレーク/価格:8DCTC 617万円。CLAはAクラス・ベースのスペシャルティモデル。腰の座ったフットワークは意のまま感たっぷり。220dは2リッター直4ディーゼルターボ(150ps/320Nm)搭載。アクセルを踏んだ瞬間から豊かなトルクが実感できる。

メルセデス・ベンツCLA200dシューティングブレーク/価格:8DCTC 617万円。CLAはAクラス・ベースのスペシャルティモデル。腰の座ったフットワークは意のまま感たっぷり。220dは2リッター直4ディーゼルターボ(150ps/320Nm)搭載。アクセルを踏んだ瞬間から豊かなトルクが実感できる。

体験から得たメルセデスならではの魅力

 メルセデス・ベンツは大好きなブランドだ。ここ20年以上、プライベートなファーストカーはメルセデスだった。数えたらEクラスを中心に12台を乗り継いできた。
 メルセデスの魅力、それは「疲れないこと」だと思っている。どのモデルに乗っても、きちんと作り上げられており、スムーズに走り/曲がり/止まる。その動きがどんな路面&走行状況でも、ドライバー、そしてパッセンジャーに絶大な安心感を与え、結果的に「疲れの少なさ」をもたらす。メルセデスは「安全なクルマ」とよくいわれる。それは各種安全装備が充実しているからだけではない。何より乗る者を疲れさせないため、ミスを起こしにくく、それが安全に繋がっているのだ。

リア

 クルマを発明し、育ててきたのはメルセデスである。その長い歴史の中で培ってきた高い技術力がもたらす、疲れさせないキャラクターは、世界中に信奉者を生む源泉になっていると個人的には考えている。

 だがメルセデスにも弱点はある。いわゆるスポーティな味わいが、たとえばBMWなどと比較すると希薄なのだ。昔を知る者としては、最近は大きくイメージチェンジしているとはいえ、それでもまだ控えめな印象が強い。

 とはいえ例外もある。それがメルセデス・ラインアップの中では末っ子的なキャラクターのCLAである。
 CLAはエンジン横置きのAクラスをベースにしたパーソナルモデル。スタイリッシュな造形が魅力でクーペとシューティングブレーク(ワゴン)が選べる。試乗車のシューティングブレークは、標準モデルの200dと、AMGの一員となる35、そして45Sの3グレード構成。200dは2リッター直4ディーゼルターボ(150ps/320Nm)を積むFF車。AMGモデルはともに2リッター直4ターボを搭載。エンジンスペックは35が306ps/400Nm、45Sが421ps/500Nm、駆動方式は電子制御4WDとなる。今回の紹介するモデルは200dだ。

見る者を魅了するエレガント造形。力強く、意のままの走りが印象的

 CLAは、まずはスタイリングがスポーティである。シューティングブレークの意味は狩猟用のワゴン。実用性の高い5ドアながら、低く滑らかなルーフラインで見る者を魅了し、他にない強い個性を発散する。

 先日のマイナーチェンジで新デザインのフロントマスクとヘッドライトが与えられ、一段と凛々しくなった。ボンネットフードは、往年のSLクラスを彷彿させる新形状のパワードーム型である。

 ボディサイズは4685×1830×1435mm(AMGライン装着車)。日本の道路環境に適している点も大きなアドバンテージだ。このサイズも、スポーティな味わいを高める大きな要因になっている。

リア

インパネ

 室内に乗り込む。適度に低いドライビングポジションが印象的。最新のメルセデス共通の液晶パネルが連結したインターフェイスは見やすく先進的。音声で車両操作が可能なSクラスと同等のMBUXコントロール(対話型インフォテインメント機能)が導入されたのもうれしい。「ハイ、メルセデス」と語りかけると、専属AIアシスタントが起動し、さまざまな要求に応えてくれる。試乗車はスポーツシートを含むAMGライン(op49万円)装着車。サポート性を高めたシート形状が、適度なボディサイズと相まって絶妙なタイト感を演出する。これもスポーティな印象を高める要素だ。

 走りは力強く、全域で意のまま。何より2リッターディーゼルの味わいが素晴らしい。
 兄貴分のCクラスなどとは異なり48Vマイルドハイブリッド仕様ではないものの、1400〜3200rpmの幅広い領域で320Nmのビッグトルクを生み出すだけに、アクセルを少し踏み込むだけで力強いダッシュを披露する。まるでふた回りほど排気量の大きなエンジンのようなイメージである。

 周囲の流れに乗るのもリードするのもまさに自在。高速道路はもちろん、ワインディングロードでも気持ちのいい走りが味わえた。しかもメルセデスらしく、単にパフォーマンスに優れるだけでなく、安定感、ステアリングのナチュラルな反応も絶品。静粛性もディーゼルとは思えないほど高い。
 エンジンは最初の力強さに対し、伸びやかさはそこそこだが、全体のパフォーマンスはハイレベル。メルセデスの中では別格のスポーティな味わいの持ち主だ。 

走り

サンルーフ

 走りの素晴らしさは、ドライバーだけでなくパッセンジャーも魅了した。試乗中、助手席からも「このクルマ、乗っていて楽しいですね」という褒め言葉があった。
 仕事柄、多くのクルマに乗るが、助手席から「楽しい」という称賛の声が聞こえてくるクルマは珍しい。

 CLAシューティングブレークは、エンジンパワー、サスペンション、ボディサイズなど、クルマを構成するすべての要素のバランスが絶妙だった。だからステアリングを握ると、ずっと走っていたくなる。そのスポーティな味わいと造形は、気持ちを若々しくする。しかもメルセデスならではの「疲れない」キャラクターはそのままである。最良のメルセデスの1台かもしれない。

メルセデス・ベンツCLA主要諸元

エンブレム

グレード=200dシューティングブレーク
価格=8DCTC  617万円
全長×全幅×全高=4690×1830×1450(※4685×1830×1435)mm
ホイールベース=2730mm
トレッド=フロント:1605/リア:1600mm
車重=1580(※1610)kg
エンジン=1949cc直4DOHC16Vディーゼルターボ(軽油仕様)
エンジン最高出力=110kW(150ps)/3400~4400rpm
エンジン最大トルク=320Nm/1400~3200rpm
WLTCモード燃費=18.7km/リッター(燃料タンク容量43リッター)
(市街地/郊外/高速道路:13.9/18.1/22.4 m/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=225/45R18(※225/40R19)+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.1m
※AMGラインパッケージ(op49万円)装着車の数値

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