【竹岡圭 K&コンパクトカー ヒットの真相】三菱デリカミニ「オフロード性能を磨いて独自性を強調」

コミカルでユーモラスなキャラクターを使ったテレビCMから人気に火が着き、デリカミニはデビューから好調な売れ行きを見せている。「頼れるアクティブな軽スーパーハイトワゴン」というコンセプトを掲げ、「アウトドアに強い」三菱自動車らしさを盛り込んでいるという。その実力を改めてチェックした。

高いオフロード性能とキュートな「デリ丸」キャラをアピール

 デリカミニ、三菱としては久しぶりの指名買いの軽自動車登場ですね。デリカミニの化身「デリ丸」人気も相まって、キャラクターグッズも含め、もう話題沸騰の大人気です。

 デリカという名前がついていても軽自動車ですから、やはり女性ユーザーも多いだろう、いや女性ユーザーに乗ってほしいと三菱は考えたとのことです。でも、デリカは大きなミニバンのイメージが強く、女性に敬遠されがちなのはわかっている。

 だったらあのデリ丸のように「ミニ」というパッとわかる馴染みやすい名前をつけて、丸目で小動物っぽくカワイイ顔にして、CMも身近に感じてもらえるものにしよう。黙っていても、タフとかアウトドアなイメージは伝わっているだろうから、なるべく油臭い匂いを消そうと思ったのだそうです(笑)。

 とはいえ、eKクロススペースの生まれ変わりではないの? なんて意地悪な声も聞こえてこないわけじゃありません。ところが乗ってみるとさすがですね。デリカの名前を使うからには、走りがちゃんとしてないなんて許さない!という三菱の意地がしっかりと伝わってくる仕上がりになっていました。

 ひと言でいっちゃうと、SUVとしての走りと使い勝手をきっちりレベルアップしているんです。とくにオフロードでの運動性能にこだわった仕上げになっています。

 オフロードでは、とにかくフラットライドで安定感が非常に高く、乗り心地がいい。たとえば路面にある石が角張っていたとしても、丸い石に感じてしまうくらいの、角が取れた乗り心地のよさがあります。しかも丸いからといって、ズルリと滑ってしまう雰囲気はまるでなく、しっかり路面をつかんでくれているのがわかる。だから、安心して走れるんですよね。

 そして、最低地上高160mmとアプローチアングルにこだわったデザインは、木の根などで路面が凸凹しているキャンプ場でも威力を発揮。お腹を擦る心配はありません。なおかつ、アラウンドビューモニターは、「こういうときに役に立つんだな」ということを実感させられます。

 さらにスゴイのが、グリップコントロールのセッティング。いわゆる普通のシステムと違い、日常的には滑らせない装備ではあるものの、場面によっては多少滑ろうがとにかくグイグイ前に進めるという、オフロードモードのように使えてしまうんです。

  使い勝手の面では、後席が320mmのロングスライドが可能なほか、乗員や荷物の量に応じた多彩なシートアレンジが可能で、広くて便利な室内空間を実現しています。

 軽スーパーハイトワゴンで唯一の大径タイヤ×4WDの組み合わせにこだわったというのは、ルックスだけではなかったんです。この「三菱=オフロードに強い!」というこだわりが、デリカミニの大ヒットの真相なんでしょうね。

デリカミニ「ヒットの真相」

1)タフでギア感のあるSUVスタイリングが好印象。どこか可愛げのあるデザインは、女性にも受け入れられる要素たっぷり

2)後席ロングスライドや多彩なシートアレンジなど、軽スーパーハイトワゴンとして使い勝手に優れる広くて便利な室内空間を実現

3)デリカ・ブランドにふさわしく、三菱が得意とするオフロードでの走りが素晴らしい。安定性と快適性を高次元でバランス

主要諸元

グレード=Tプレミアム
価格=223万8500円
全長×全幅×全高=3395×1475×1830mm
ホイールベース=2495mm
トレッド=フロント:1300×リア:1290mm
最低地上高=160mm
車重=1060kg
エンジン=659cc直3DOHCターボ(レギュラー仕様)
型式=BR06
燃料タンク容量=27リッター
最高出力=47kW(64ps)/5600rpm
最大トルク=100Nm(10.2kgm)/2400-4000rpm
モーター最高出力=2.0kW(2.7ps)
モーター最大トルク=40Nm(4.1kgm)
WLTCモード燃費=17.5km/リッター (市街地/郊外/高速道路:16.2/18.3/17.6)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トルクアーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=165/60R15+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=4名
最小回転半径=4.9m

●今回の試乗車のグレードは、最上級グレードとなるTプレミアムの4WDモデル(223万8500円)。ボディカラーはアッシュグリーンメタリック×ブラックマイカの有料色(8万2500円)。メーカーオプションでアダプティブLEDヘッドライト(7万7000円)を、ディーラーオプションでナビドラ+ETC2.0パッケージ(36万9820円)、サイドデカール(3万3440円)、プレミアムフロアマット(2万5960円)、三角停止板(3300円)を装着している。オプションを含む車両総額は293万520円となる

たけおかけい/各種メディアやリアルイベントで、多方面からクルマとカーライフにアプローチ。その一方で官公庁や道路会社等の委員なども務める。レースやラリーにもドライバーとして長年参戦。日本自動車ジャーナリスト協会・副会長。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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