プジョーが最新の電動プラットフォーム「STLAラージ」を採用したEVコンセプトモデルの「INCEPTION CONCEPT」を米国で初公開

プジョーが米国ラスベガスで開催されたCES2023で将来の電気自動車に対するビジョンを具現化したコンセプトEVの「INCEPTION CONCEPT」を披露。新世代の電動プラットフォーム「STLAラージ」に最新のデザイン言語を導入したエクステリア、ハイパースクエアコントロールシステムおよび次世代i-Cockpitを配したインテリア、最高出力500kWを発生するデュアルモーターなどを採用してプジョー車の近未来を示唆

 ステランティスは2023年1月5日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスで1月5日~8日に開催された家電エレクトロニクスショー「CES2023」において、プジョー・ブランドのコンセプトEV「INCEPTION CONCEPT(インセプション コンセプト)」を公開した。

▲プジョーがCES2023において将来の電気自動車に対するビジョンを具現化したコンセプトEVの「INCEPTION CONCEPT」を公開

▲プジョーがCES2023において将来の電気自動車に対するビジョンを具現化したコンセプトEVの「INCEPTION CONCEPT」を公開

 

 プジョーの将来の電気自動車に対するビジョンを具現化したというINCEPTION CONCEPTは、基本骨格に2023年から市販モデルに採用予定の電動プラットフォーム「STLAラージ」を導入。ここに、プジョーの最新デザイン言語を導入したエクステリアを組み合わせる。フロントマスクは近年のプジョーを象徴するライオンの爪痕の造形を取り入れた新しいライトシグネチャーや、中央にプジョーロゴを配したうえで単一のガラスで覆った3D発光効果を有するグリルを採用。グリル内部には先進安全運転支援システムの要素となる様々なセンサー類を組み込む。一方、ドア部にはテックバーを水平に配置。テックバーにはバッテリーの充電レベルも表示する。また、サイドウィンドウのフラッシュスクリーンには乗員が近づくと車外に多様なメッセージを発する機能を装備。AIがドライバーを認識し、各乗員が望むシート姿勢や室内温度、ドライビングモード、マルチメディアなどを設定することも可能とした。

▲基本骨格には電動プラットフォーム「STLAラージ」を導入。ここにプジョーの最新デザイン言語を導入したエクステリアを組み合わせる。全長は5000mm、全高は1340mmに設定

▲基本骨格には電動プラットフォーム「STLAラージ」を導入。ここにプジョーの最新デザイン言語を導入したエクステリアを組み合わせる。全長は5000mm、全高は1340mmに設定

▲フロントマスクは近年のプジョーを象徴するライオンの爪痕の造形を取り入れた新しいライトシグネチャーや、中央にプジョーロゴを配したうえで単一のガラスで覆った3D発光効果を有するグリルを装備

▲フロントマスクは近年のプジョーを象徴するライオンの爪痕の造形を取り入れた新しいライトシグネチャーや、中央にプジョーロゴを配したうえで単一のガラスで覆った3D発光効果を有するグリルを装備

 

 キャビン上部をガラスのカプセル状に覆ったことも特徴で、フロントガラス、サイドウィンドウ、クォーターウィンドウを合わせたガラス総面積は7.25㎡と広大。また、ガラス自体にはNASAの宇宙飛行士のヘルメットバイザー用に開発され、建築用としても使われるマルチクロム(金属酸化物)処理ガラスを採用。優れた熱特性を有し、室内の快適さを保つことに貢献している。

▲キャビン上部をガラスのカプセル状に覆う。ガラス自体にはNASAの宇宙飛行士のヘルメットバイザー用に開発され、建築用としても使われるマルチクロム(金属酸化物)処理ガラスを採用

▲キャビン上部をガラスのカプセル状に覆う。ガラス自体にはNASAの宇宙飛行士のヘルメットバイザー用に開発され、建築用としても使われるマルチクロム(金属酸化物)処理ガラスを採用

 

 ボディカラーも要注目で、外部環境に即して色合いが変化する新塗料を採用。また、塗装はシングルコーティングで仕上げ、従来の塗装に比べてエネルギー消費量の大幅な削減を果たしている。

▲ボディカラーには外部環境に即して色合いが変化する新塗料を導入

▲ボディカラーには外部環境に即して色合いが変化する新塗料を導入

 

 内包するインテリアは、ハイパースクエアコントロールシステムおよび次世代i-Cockpitを採用したことが特徴。テレビゲームのコントローラーから発想したハイパースクエアコントロールシステムは、従来のステアリングホイールを廃する一方でデジタル電気制御とステアバイワイヤ技術を導入し、次世代i-Cockpitとともに俊敏かつ直感的なドライブ体験を提供する。また、ハイパースクエアコントロールシステムの中央部には、制御情報を表示するタブレット型スクリーンを設置。エアコン、オーディオ音量、ADASなどの機能のピクトグラムを2枚のサイドパネルに表示し、ステアリングコントロールから手を離さずに親指を動かすだけで簡単にコントロール機能へとアクセスできる。また、インセプション コンセプトはレベル4の自律走行機能に対応。自律走行時はハイパースクエアがコンソールへと格納されるとともに、大型パノラマスクリーンがフロアから上昇する。なお、プジョーは10年以内にハイパースクエアコントロールシステムの市販車への採用を目指している。

▲インテリアにはハイパースクエアコントロールシステムおよび次世代i-Cockpitを採用。ハイパースクエアコントロールシステムは従来のステアリングホイールを廃する一方でデジタル電気制御とステアバイワイヤ技術を導入し、次世代i-Cockpitとともに俊敏かつ直感的なドライブ体験を提供する

▲インテリアにはハイパースクエアコントロールシステムおよび次世代i-Cockpitを採用。ハイパースクエアコントロールシステムは従来のステアリングホイールを廃する一方でデジタル電気制御とステアバイワイヤ技術を導入し、次世代i-Cockpitとともに俊敏かつ直感的なドライブ体験を提供する

 

 サステナビリティも最大限に重視し、内装材にはデザインセンターのプロトタイピングワークショップやサプライヤーから出た100%ポリエステル生地の切れ端を再利用した“moulded textiles(モールディッド テキスタイル)”を多用する。この素材は、荷重支持パーツやトリムパーツにも取り入れた。また、シート表皮には100%リサイクルポリエステルで製作したベルベットを採用している。

▲内装材には100%ポリエステル生地の切れ端を再利用した“moulded textiles(モールディッド テキスタイル)”を多用する

▲内装材には100%ポリエステル生地の切れ端を再利用した“moulded textiles(モールディッド テキスタイル)”を多用する

 

 パワートレインに関しては、フロントとリアにモーターを配した4WDで構成し、最高出力は500kW(約680hp)を発生。駆動用バッテリーは100kWhの大容量を確保し、航続距離は最大で497マイル(約800km)を実現する。性能面では、0→62mph(約100km/h)加速で3秒未満を成し遂げた。また、800Vテクノロジーを採用し、5分の充電で93マイル(約150km)の走行が可能。誘導充電システムも組み込んでいる。

▲パワートレインはフロントとリアにモーターを配した4WDで構成し、最高出力は500kW(約680hp)を発生。駆動用バッテリーは100kWhの大容量を確保し、航続距離は最大で497マイル(約800km)を実現する

▲パワートレインはフロントとリアにモーターを配した4WDで構成し、最高出力は500kW(約680hp)を発生。駆動用バッテリーは100kWhの大容量を確保し、航続距離は最大で497マイル(約800km)を実現する

 

 なお、プジョーは今回発表したINCEPTION CONCEPTの新技術の多くを、2025年までに市販モデルに採用すると予告している。

 

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