【最新モデル試乗】マクラーレンの新世代、アルトゥーラが目指すPHEVスーパースポーツの新たな地平

マクラーレン・アルトゥーラ 価格▷2965万円 試乗記

マクラーレン・アルトゥーラ アルトゥーラはこれからのマクラーレンの出発点となる重要モデル。ライバルのフェラーリ298GTBと同様にバンク角120度の3リッター・V6ターボとモーターを組み合わせたPHEV

マクラーレン・アルトゥーラ アルトゥーラはこれからのマクラーレンの出発点となる重要モデル。ライバルのフェラーリ298GTBと同様にバンク角120度の3リッター・V6ターボとモーターを組み合わせたPHEV

10年の歳月を経て第二世代の量産マクラーレン登場

 マクラーレンと聞けば、誰もが名門F1チームを思い浮かべるだろう。事実、現在のマクラーレン・オートモーティブにつながるマクラーレン・カーズは、A・セナ選手やA・プロスト選手をワールドチャンピオンに押し上げた時代にテクニカルディレクターを務めていたゴードン・マーレイの強い希望で設立された。F1デザイナーだったマーレイはロードカー作りにも強い意欲を抱いていたのだ。

 同じ思いは、マクラーレンの創設者であるブルース・マクラーレンも共有している。天才レーシングドライバーであると同時にエンジニアとしての素養にも恵まれたブルースは、M6GTという名称のロードカーを試作して日常の足として使っていた。しかし、この計画はブルース自身が1970年にレーシングカーのテスト中の事故で命を落としたために頓挫したという経緯がある。

 マクラーレン・カーズは、マーレイがデザインしたマクラーレンF1を皮切りに、メルセデス・ベンツSLRマクラーレンなどを手がけた後、2010年にマクラーレン・オートモーティブへと改名。このとき、車体とドライブトレーンの両方を自社開発する、純粋な自動車メーカーとしてのマクラーレンがスタートした。

 同年、マクラーレン・オートモーティブとして初めて発表したロードカー「12C」はV8ツインターボエンジンをカーボンモノコックボディのミッドに積むスーパースポーツだった。その後もマクラーレンは数多くのモデルをリリース。それらは12Cに何らかの改良もしくは改修することで生み出された派生モデルと説明できる。
 それにしても、12Cのベースモデルとしての素養は卓越していた。1台をもとに、2000万円台半ばのエントリーモデルから最高速度が400km/hを超える1億円オーバーのハイパーカーまで作り上げることができたのだ。しかし、10年の歳月を経て、ついに新時代の幕開けを告げるモデルが誕生した。それがアルトゥーラである。

マクラーレンリア

マクラーレンサイドビュー

アルトゥーラは洗練と効率を融合。圧倒的なファンを実現!

 アルトゥーラもカーボンモノコックを使用している点では12Cと共通。ただし、モノコックは完全なる新設計品だ。軽量化を追求したマクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャーが採用され、プラグイン・ハイブリッドシステムを搭載するためのバッテリー用スペースが確保されている点も注目される。

 パワーユニットも全面的に刷新された。アルトゥーラはPHEV。メインエンジンは、ゼロから開発したV6ツインターボを積む。Vバンク角120度、排気量3リッターのツインターボエンジンといえば、同じくPHEVのフェラーリ296GTBと同様だが、マクラーレンのV6は一段と小型軽量化と高効率化を徹底した。パワースペックは585ps/585Nm。これに95ps/225Nmのモーターが組み合わされ、システム全体では680ps/720Nmを誇る。

 ところで、「マクラーレンのエンジンは社外品」と語るクルマ好きは少なくないが、これは決して正確とはいえない。現在マクラーレン・オートモーティブには100名前後のエンジン開発担当者が在籍。実際の生産は外部のサプライヤーに協力を仰いでいるようだが、「社外品」と決めつけるのは酷だろう。せめて「自社開発品」と呼ぶべきだ。

 スペイン・アンダルシア地方で実施された国際試乗会では、アルトゥーラのポテンシャルをじっくりと確認することができた。
 市街地ではこれまでのマクラーレン各車より大幅に洗練されていることを実感した。ロードノイズやエンジン音が小さくなっただけではない。以前は信号待ちのたびに聞こえた「ジー」というささやきも消えている。しかも、路面からゴツゴツというショックが伝わることはほぼ皆無。もともとスーパーカーにしては快適なことで知られるマクラーレンだったが、そのレベルが明らかに1段階向上した。

 サーキットでも、大幅なポテンシャルアップを確認。ステアリングインフォメーションが芳醇なことは従来どおり。アルトゥーラはリアのスタビリティがこれまで以上に改善され、多少頑張った程度ではスライドする気配さえ見せない。いままで何度となくマクラーレンをサーキットで走らせてきたが、限界に到達できなかったのは、コーナリングマシンとして名高いセナ以来だ。一方で、新開発のV6エンジンはレスポンスが良好なうえに回転フィールは極めてスムーズ。まさにマクラーレンの新時代到来にふさわしい完成度だった。

 アルトゥーラのトップスピードは330km/h。0→100km/h加速は3秒でクリアし、EVとして最大31㎞走る。まさに次世代を実感させる出色の1台である。

マクラーレンドア開け

マクラーレン室内

マクラーレン・アルトゥーラ主要諸元

マクラーレンスタイル

グレード=アルトゥーラ
価格=8DCT 2965万円
全長×全幅×全高=4539×1976×1193mm
ホイールベース=2640mm
車重=1395kg
エンジン=3リッター・V6DOHC24Vツインターボ
エンジン最高出力=430kW(585ps)/7500rpm
エンジン最大トルク=585Nm(59.7kgm)/2250〜7000rpm
Eモーター=Axial Flux motor
モーター最高出力=70kW(95ps)
モーター最大トルク=225Nm(22.9kgm)
システム最高出力=500kW(680ps)/7500rpm
システム最大トルク=720Nm(73.4kgm)/2250〜7000rpm
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:235/35ZR19/リア:295/35ZR20
駆動方式=RWD
乗車定員=2名
0→100㎞/h加速=3.0秒
最高速度=330km/h
※性能スペックは欧州仕様

フォトギャラリー

SNSでフォローする