【最新モデル試乗】メルセデスGクラスに強敵出現! 新型ランドローバー・ディフェンダーの凄い実力

ランドローバー・ディフェンダー110SE 新型は5ドアの110と3ドアの90の2シリーズ構成 エンジンは全車2リッターターボ(300ps) 4WDシステムはオフロードでの走破性を重視した副変速機付き
ランドローバー・ディフェンダー110SE 新型は5ドアの110と3ドアの90の2シリーズ構成 エンジンは全車2リッターターボ(300ps) 4WDシステムはオフロードでの走破性を重視した副変速機付き

ランドローバー・ディフェンダー110SE 価格:8SAT 732万円 試乗記

ランドローバーのルーツが大変身!2代目はメカ一新。味わい深い造形

 ランドローバーの歴史は、第2次世界大戦後の1948年、当時の英国ローバー社がオフロード性能に特化した四輪駆動車、いわゆる「シリーズ1型」を開発したことからスタートした。シリーズ1型は、ランドローバー車のバリエーション拡充に伴ってシリーズ3型から、ディフェンダーに改名。基本設計を踏襲したまま2016年まで生産が継続された。
 ディフェンダーは、ランドローバーのルーツであり、ブランドアイデンティティを決定した名車である。その2ndモデルの日本販売がスタートした。

 基本設計が1940年代に遡る1stモデルと、最新ディフェンダーに、もちろん直接的な技術の関連性はない。
 ボディ構造は、「かつてのラダーフレーム式と比較して約3倍のねじり剛性を確保した」というアルミニウム製のモノコック式に一新され、リジッド式だった前後サスペンションは、コイルまたはエアスプリングを用いた4輪独立懸架に改められている。
 一方、約70年という時間を生き抜いた味わい深いスタイリングは、生まれ変わった2ndモデルにも新たな解釈を加えたうえで踏襲された。

 そのルックスは、いわゆるSUVではなく、明確に「オフローダー」というキャラクターを主張する。2ndモデルでもルーフやベルトライン、ドアのパーティションラインなどが抑揚を抑えた水平と垂直基調で構成され、標準サイズのスペアタイヤをリアドアに背負う。ちなみに、横開き式のテールゲートは1stモデル同様の右ヒンジ。これは左側通行国の日本では、うれしいポイントだ。

2ndモデルは1stモデルのデザインイメージを巧みに投影 ボディ構造は高剛性アルミニウム製モノコック 110の足回りは4輪独立エアサス仕様
2ndモデルは1stモデルのデザインイメージを巧みに投影 ボディ構造は高剛性アルミニウム製モノコック 110の足回りは4輪独立エアサス仕様

ロングボディに試乗。室内はシンプル&モダン

「まず日本に到着したのがこのバージョンだった」という関係で、テストドライブに用意されたモデルは110と呼ばれるロングボディのSEグレード。電子制御エアサスペンションや20インチタイヤ、電動調節コラムやレザーシート、さらにはバーチャルルームミラーを標準採用する上級仕様だ。試乗車はさらにさまざまなオプションが装着され、車両総額は940万円を超えていた。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4945×1995×1970mm。全長は背面スペアタイヤを含めると5018mmに達する。堂々としたアピアランスは、ディフェンダーの大きな魅力だ。オフローダーらしい逞しさにあふれている。ただし最小回転半径は6m。大型サイズと相まって、日本で乗るには取り回し面でそれなりの制約を伴うことは覚悟すべきだろう。

 走りへの期待を高めて室内に乗り込む。「付加物を加えたくなかった」という判断からか、ピラー部にアシストグリップは未装備。高い位置にあるフロントシートに収まるのに少々難儀した。だが、乗り込んでしまえば快適な最新空間が待っている。
 ダッシュボードは、グリップをモチーフとした造形を助手席側まで展開したデザイン。シンプル&モダンな、巧みな仕上がり。ただし「工場出荷の段階で装着されてしまう」というGPSやVICS用と思われるアンテナが、配線丸見えの状態でインパネ上側にレイアウトされるのはとても残念。意外に目立ち、優れたデザイン性をスポイルしている。

ディフェンダーはランドローバーの原点 1stモデルは1948年登場 2016年まで生産 2ndモデルはプレミアムなオフローダーに変身
ディフェンダーはランドローバーの原点 1stモデルは1948年登場 2016年まで生産 2ndモデルはプレミアムなオフローダーに変身

道を選ばない圧倒的な走破性。走りのポテンシャルは超一級

 パワーユニットは最高出力300ps、最大トルク400Nmを誇るターボ付きの2リッター4気筒ガソリンエンジン。トランスミッションは8速ステップATを組み合わせる。パフォーマンスは実用指向。日常シーンで大きな不満はない一方、「決して強力とはいえない」動力性能に留まる。これは副変速機を備えるヘビーデューティな駆動系やエアサスペンションの標準採用で、車重が2240kgとヘビー級なことに理由がありそうだ。

 静粛性は特筆レベルにあるし、オンロードでのコーナリングやクルージングシーンで決して「危うさ」を伴わない走りの基本ポテンシャルは、現代のモデルらしい優れた仕上がり。
 歩きでも躊躇しそうな急坂や、ありきたりのSUVではたちまち音を上げそうなアップダウンを含んだ特設のオフロードコースにトライしても、何の危うさもなしに楽々とクリアした。道を選ばない高い走りのポテンシャルは、実に魅力的だ。

 新型ディフェンダーは、飛び抜けた踏破性を秘めたプレミアムなフルサイズオフローダー。これまで「ライバル不在」の時代を謳歌して来たメルセデス・ベンツのGクラスにとって、とんでもないライバルが出現した。

インパネはシンプルで機能的な造形 中央に10インチタッチスクリーン装着 視界は見晴らし感覚 4本スポーク本革巻きステアリングはがっしりとした握り心地
インパネはシンプルで機能的な造形 中央に10インチタッチスクリーン装着 視界は見晴らし感覚 4本スポーク本革巻きステアリングはがっしりとした握り心地
SEは本革シート標準 大型サイズで座り心地快適 後席スペースもゆとりたっぷり フロアが高いため乗降性はあまりよくない 乗り心地はやや固め
SEは本革シート標準 大型サイズで座り心地快適 後席スペースもゆとりたっぷり フロアが高いため乗降性はあまりよくない 乗り心地はやや固め
ラゲッジスペースは使い勝手に優れたスクエア形状 opで3列シートが装着できる
ラゲッジスペースは使い勝手に優れたスクエア形状 opで3列シートが装着できる
リアゲートは右ヒンジの横開き式 使い勝手に優れた形式 開閉は手動式 操作にはやや力が要る 開口部は広い
リアゲートは右ヒンジの横開き式 使い勝手に優れた形式 開閉は手動式 操作にはやや力が要る 開口部は広い
メーターはアナログイメージのフル液晶 中央に安全情報などを表示できるシステム 視認性良好
メーターはアナログイメージのフル液晶 中央に安全情報などを表示できるシステム 視認性良好
トランスミッションは8速AT LOモードなどの選択はボタン式
トランスミッションは8速AT LOモードなどの選択はボタン式
SEは275/55R20タイヤ+アルミ標準 写真のダークカラーはop(13万6000円)
SEは275/55R20タイヤ+アルミ標準 写真のダークカラーはop(13万6000円)
1997cc直4DOHC16Vターボ 300ps/5500rpm 400Nm/1500~4000rpm パフォーマンスは実用指向 回転フィールはスムーズ 静粛性は全域ハイレベル WLTCモード燃費8.3km/リッター ディーゼルは未設定
1997cc直4DOHC16Vターボ 300ps/5500rpm 400Nm/1500~4000rpm パフォーマンスは実用指向 回転フィールはスムーズ 静粛性は全域ハイレベル WLTCモード燃費8.3km/リッター ディーゼルは未設定

ランドローバー・ディフェンダー110SE 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=110SE
価格=8SAT 732万円
全長×全幅×全高=4945×1995×1970mm
ホイールベース=3020mm
トレッド=フロント1704×リア1699mm
最低地上高=218~291mm
車重=2240kg
エンジン(プレミアム仕様)=1997cc直4DOHC16Vターボ
最高出力=221(300)/5500kW(ps)/rpm
最大トルク=400(40.8)/1500~4000_Nm(kgm)/rpm
WLTCモード燃費=8.3(燃料タンク容量90リッター)km/リッター
(市街地/郊外/高速道路:未公表)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ディスク
タイヤ&ホイール=275/55R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=6.0m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/ターボチャージャー
●主要装備:エマージェンシーブレーキアシスト/トラフィックサインレコグニッション&アダプティブスピードリミッター/ブラインドスポットアシスト/リアトラフィックモニター/レーンキープアシスト/360度パーキングエイド/ドライバーコンディションモニター/ウェイドセンシング/4WDシステム/ツインスピードトランスファーギアボックス/ヒルローンチアシスト/ヒルディセントコントロール/ダイナミックスタビリティコントロール/電動パーキングブレーキ/トレーラースタビリティアシスト/アルパインライト/オフロードタイヤ/デュアラブルラバーキャビンフロア&ラゲッジスペースフロア/2ゾーンクライメイトコントロール/トリップコンピュータ/10インチタッチスクリーン/テレインレスポンス/電子制御エアサスペンション/アダプティブダイナミクス/プレミアムLEDヘッドライト/メリディアンサウンドシステム/20インチ5スポークアルミ/コネクテッドナビゲーションプロ/6エアバッグ/レザーシート
●装着メーカーop:ドライバーアシストパック6万3000円/3ゾーンクライメイトコントロール21万円/エアクオリティセンサー8000円/空気イオン化テクノロジー1万9000円/20インチサテンダークグレーフィニッシュアルミ13万6000円/プライバシーガラス7万3000円/コールドクライメートパック10万9000円/アドバンスドオフロードケイバビリティパック20万1000円/ルーフレール(ブラック)4万6000円/カーペットマット1万8000円/コントラストルーフ(ブラック)12万9000円/サテンプロテクトフィルム53万8000円/ラゲッジスペースストレージレール2万3000円/3分割可倒式リアシート5万8000円/12ウェイ電動フロントシート21万円
●ボディカラー:ゴンワナストーン(op9万5000円)
※価格はすべて消費税込み 諸元の一部は欧州仕様 

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