【最新モデル試乗】今度のアウディQ3はスポーツバックがいい!と考えるこれだけの理由

アウディQ3スポーツバック35TDIクワトロSライン スポーツバックは標準Q3比45mm低いボディになだらかなルーフラインを組み合わせたクーペSUV Sラインは19インチアルミ標準
アウディQ3スポーツバック35TDIクワトロSライン スポーツバックは標準Q3比45mm低いボディになだらかなルーフラインを組み合わせたクーペSUV Sラインは19インチアルミ標準

アウディQ3スポーツバック35TDIクワトロSライン 価格:7SMT 563万円 試乗記

アウディの主力SUV、Q3が待望のモデルチェンジ!

 アウディのSUVは、車名が「Q」の記号と1桁の数字で構成されている。
 2005年発表のQ7、2008年のQ5に続き、3番目のSUVとして2011年に発表されたモデルが、1st・Q3だった。
 アウディのSUV攻勢は続き、2016年にはフレッシュ層を狙ったQ2、そして2018年にフラッグシップのQ8を追加……と、バリエーションを一気に拡充させた。
 その中にあって、Q3は、これまで世界で140万台を販売したヒット作。Qシリーズを支える「最重要モデルのひとつ」である。

 今回日本で発売された新型Q3は、2シリーズ構成。初のフルモデルチェンジを経て2ndモデルに移行した標準車と、派生バージョンとして新たに設定されたスポーツバックの2タイプから成る。
 全高が低く抑えられ、クーペライクなデザインを特徴とするスポーツバックは、「アウディ初のコンパクトクロスオーバーSUV」とメーカーが説明するブランニューモデルである。

 ボディサイズは、Q3スポーツバックが全長×全幅×全高4520×1840×1565mm。標準仕様のQ3は同4490×1840×1610mm。Q2が新たなエントリーモデルとして登場したラインアップ構成もあり、新型の全長は旧型比で100mm近く拡大され、ホイールベースは2680mmと75mm延長された。一方、全幅が「10mmの拡幅」に留まった点は、日本の道路事情と駐車場環境を考えれば、幸いだった、というべきだろう。

Q3シリーズは2リッターディーゼル(150ps/35TDI)と1.5リッター(150ps/35TFSI)で構成 クワトロ(4WD)はディーゼルとの組み合わせ
Q3シリーズは2リッターディーゼル(150ps/35TDI)と1.5リッター(150ps/35TFSI)で構成 クワトロ(4WD)はディーゼルとの組み合わせ

前衛的なスポーツバックの造形。室内ユーティリティは優秀

 スタイリングの印象はスポーツバックと標準モデルで大きく異なる。
 標準Q3のデザインは、従来型の好評を踏まえたと思われる、コンサバティブで、一見すると「あまり代わり映えしない」キープコンセプトな仕上がり。対してスポーツバックは、全高を抑えたサイドのウィンドウグラフィックや、強く前傾したリアウィンドウが印象的。かなり前衛的だ。

 スポーツバックの後席頭上スペースは、標準モデルに対してこぶし1個分ほど低くなっている。それでも大人2名がリラックスできるスペースを構築した。
 一方で、ラゲッジスペースの容量そのものは530リッターと2車共通だが、高さ方向に明確な違いが認められる。
 リアシートのバックレストには、スライドや3分割の可倒機構に加えリクライニング機構が採用されている。ただしこれは、後席でくつろぐためというよりは、「垂直方向にセットできるようにして、少しでも多くのラゲッジスペースを稼ぎ出す」という狙いが強い。いかにも欧州車らしい設定だ。

 日本仕様のラインアップはシンプル。欧州には2リッターのガソリンや、よりハイパワーを発するディーゼルモデルが設定されているが、日本仕様が7速DCTとの組み合わせで搭載するのは、1.5リッター直4ターボ付きガソリン(150ps/250Nm)、もしくは2リッター直4ターボ付きディーゼル(150ps/340Nm)に限られる。呼称はガソリンが35TFSI、ディーゼルは35TDI。
 アウディが「クワトロ」と呼ぶ4WDシャシーは、日本では、ディーゼルとのセットという設定だ。

全長×全幅×全高4520×1840×1565mm ホイールベース2680mm 車重1710kg 駆動方式:4WD 全高は一般的な立体駐車場には未対応
全長×全幅×全高4520×1840×1565mm ホイールベース2680mm 車重1710kg 駆動方式:4WD 全高は一般的な立体駐車場には未対応

クワトロはディーゼルのみに設定。乗り味はやや硬質

 試乗車はQ3スポーツバック35TDIクワトロSラインと、Q3・35TFSIアドバンスド。スポーツバックは、「ターボブルー」という鮮やかなボディカラーだった関係もあり、若々しいイメージを発散していた。

 ベース車との間にこれほど明確な差があるならば、Q7とQ8の関係のように、「こちらには『Q4』の名を与えてもよかったのではないか」と思った。
 Q3スポーツバック35TDIクワトロSラインは、ディーゼルエンジンと4WDシャシーの採用もあって、車両重量は1710kgと重量級。ガソリンFWDモデルを180kgほど上回る。加えて、7速DCTはDレンジをチョイスした際の減速時には、車速がほぼゼロにならないと1速ギアまで落ちない。そのため、微低速からの再加速は、「2速発進」を強いられる場面が多かった。加速の緩慢さに少々イラつかされた。

 見た目も重視したと思われる、少々オーバーサイズぎみの19インチタイヤを、重めの車重を支えるためにちょっと高めの空気圧で履くこともあってか、安定性はハイレベル。その一方で、乗り味はやや硬めの印象だ。

 18インチタイヤを装着したQ3のガソリン仕様、35TFSIアドバンスドは、乗り味から加速感、ハンドリングに至るまで、全般的に「より軽快」という印象を提供してくれた。
 日本仕様のガソリンモデルにはFWD仕様しか設定がないが、185mmと大きな最低地上高は全車共通である。クワトロにこだわらないのであれば、「背の高いA3」といったスタンスでつきあえるFWD仕様を、チョイスするのもベターだろう。

インパネは10.25インチセンターディスプレイと液晶メーターを組み合わせたデジタルコクピット WiーFiホットスポット機能を備えたアウディコネクトが利用できる
インパネは10.25インチセンターディスプレイと液晶メーターを組み合わせたデジタルコクピット WiーFiホットスポット機能を備えたアウディコネクトが利用できる
Sラインはスポーツシート標準 写真のパーシャルレザー仕様はop 室内はルーミー 後席ヘッドスペースを含め余裕がある 後席はリクライニング機能付き
Sラインはスポーツシート標準 写真のパーシャルレザー仕様はop 室内はルーミー 後席ヘッドスペースを含め余裕がある 後席はリクライニング機能付き
ラゲッジ容量は広く実用的 後席を立てた状態で530リッター 3分割の後席を倒すと最大1400リッターに拡大
ラゲッジ容量は広く実用的 後席を立てた状態で530リッター 3分割の後席を倒すと最大1400リッターに拡大
電動開閉式オートマチックリアゲートはセットop(26万円) ボディカラーは写真のターボブルー(Sライン専用色)など全9色
電動開閉式オートマチックリアゲートはセットop(26万円) ボディカラーは写真のターボブルー(Sライン専用色)など全9色
メーターは好みでデザインが選べる フル地図モード時は速度計/回転計を小さく表示(写真下)
メーターは好みでデザインが選べる フル地図モード時は速度計/回転計を小さく表示(写真下)
1968cc直4DOHC16Vディーゼルターボ 150ps/3500~4000rpm 340Nm/1750~3000rpm 豊かなトルクが特徴 静粛性はクラス平均レベル WLTCモード燃費:15.4km/リッター
1968cc直4DOHC16Vディーゼルターボ 150ps/3500~4000rpm 340Nm/1750~3000rpm 豊かなトルクが特徴 静粛性はクラス平均レベル WLTCモード燃費:15.4km/リッター
235/50R19タイヤ+Vデザインアルミ標準 最低地上高185mm 足回りは引き締まった設定
235/50R19タイヤ+Vデザインアルミ標準 最低地上高185mm 足回りは引き締まった設定

アウディQ3スポーツバック35TDIクワトロSライン 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=35TDIクワトロSライン
価格=7SMT 563万円
全長×全幅×全高=4520×1840×1565mm
ホイールベース=2680mm
トレッド=フロント:1580×リア:1585mm
最低地上高=185mm
車重=1710kg
エンジン(軽油仕様)=1968cc直4DOHC16Vディーゼルターボ
最高出力=110(150)/3500~4000kW(ps)/rpm
最大トルク=340(34.7)/1750~3000_Nm(kgm)/rpm
WLTCモード燃費=15.4(燃料タンク容量63リッター)_㎞/リッター
(市街地/郊外/高速道路=11.9/15.2/17.7)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ウィッシュボーン
ブレーキ=フロント=ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=235/50R19+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径= 5.4m
●主な燃費改善対策:筒内直接噴射/コモンレール式電子制御高圧噴射装置/電動パワーステアリング/7速Sトロニックトランスミッション/アイドリングストップ
●主要装備:サラウンドビューカメラ/アウディプレセンスフロント/ヒルディセントアシスト/アウディパーキングシステム/アドバンストキーシステム/プログレッシブステアリング/アウディドライブセレクト/LEDヘッドライト/Sラインバンパー/ハイグロスパッケージ/19インチ20スポークアルミ・Vデザイングラファイトグレー/MMIナビゲーション/バーチャルコクピット/スポーツシート/3分割可倒式リアシート/ストレージパッケージ/アルミニウムルックインテリア/3スポークレザーステアリング/ブラックヘッドライニング/2ゾーンオートAC/自動防眩ルームミラー/インテリアアンビエントライティング
●装着メーカーop:バング&オルフセン3Dサウンドシステム13万円/アシスタンスパッケージ(アダプティブクルーズアシスト+エマージェンシーアシスト+ハイビームアシスト+サイドアシスト)12万円/テクノロジーパッケージ(スマートフォンインターフェイス+ワイヤレスチャージング)12万円/ベーシックパッケージ(フロントシートヒーター+前席電動調節機構+オートマチックテールゲート+アウディホールドアシスト+前席ランバーサポート他)26万円/プラスパッケージ(パーシャルレザー+マルチカラーアンビエントライティンング+後席USB)6万円
●ボディカラー:ターボブルー
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万4200円

アウディQ3・35TFSIアドバンスド 価格:7SMT 464万円 1.5リッターガソリンエンジン搭載 アドバンスドは充実装備の上級モデル
アウディQ3・35TFSIアドバンスド 価格:7SMT 464万円 1.5リッターガソリンエンジン搭載 アドバンスドは充実装備の上級モデル
全長×全幅×全高4490×1840×1610㎜ 車重1530㎏ 駆動方式:FF ラゲッジ最大容量はスポーツバック比125リッター増の1525リッター
全長×全幅×全高4490×1840×1610㎜ 車重1530㎏ 駆動方式:FF ラゲッジ最大容量はスポーツバック比125リッター増の1525リッター
インパネ形状はスポーツバックと共通 ナビ標準のデジタルコクピット 各部加飾パネルはシルバーアルミ調
インパネ形状はスポーツバックと共通 ナビ標準のデジタルコクピット 各部加飾パネルはシルバーアルミ調
アドバンスドはファブリック仕様のスタンダードシート標準 写真のパーシャルレザーはセットop(16万円)
アドバンスドはファブリック仕様のスタンダードシート標準 写真のパーシャルレザーはセットop(16万円)
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