現代版・羊の皮をかぶった狼特集:全身サーキット・スペック。FF車世界最速を目指したメガーヌR.S.トロフィーの驚愕の実力

ルノー・メガーヌ・ルノー・スポール・トロフィー 価格:6MT 489万円/6SMT 499万円 試乗記

メインIMG_4896.JPGルノー・メガーヌR.S.トロフィー ニュルブルクリンク北コースでFF車世界最速タイム(7分40秒100)を叩き出したトロフィーRのロードゴーイング版 標準RS比21psパワフルな300psユニット搭載

速さを求める真摯な姿勢に感動。硬派という言葉がぴったり似合う

 FFスポーツハッチの世界で現在最速のハンドリングカーは、ルノー・メガーヌ・ルノー・スポール(RS)トロフィーRだ。

 最速の基準は何か、といえば新車開発の聖地、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースのラップタイム。日本のシビック・タイプRをはじめ世界中の強者がしのぎを削る中、メガーヌRSトロフィーRが世界最速タイム(7分40秒100)を叩き出した。試乗車のRSトロフィーは、そのロードゴーイングバージョン。一般公道での使用はもちろん、サーキットに対応した硬派スポーツだ。

 注目はエンジン、標準仕様RSの279ps/390Nmから、ルノー・スポール最強の 300ps/420Nm(6MTは400Nm)までスペックを高めた。トランスミッションは 6速DCTと6速MT。駆動方式はFFだ。

 FFで300psを路面に伝えるのは非常に難しい。RSトロフィーは、サスペンションを含むシャーシ性能を徹底的に高め、見事な走りを実現した。

IMG_4892.JPG4410×1875×1435mm ホイールベース2670mm 車重1470kg パワーウエイトレシオ:4.9kg/ps トロフィーはトルセンLSD標準

シャープなハンドリングを生み出す4WS。トラクション能力は圧倒的

 レカロ製のバケットシートに身を落ち着ける。気温は十分に温かいが、風は冷たい。そんな中で全開加速を試みる。やや長めのホイールスピンとともに猛然とダッシュ。左右の回転差を強力に制御するトルセンLSDが、左右に泳ごうとするノーズをビシッと直進状態に抑えて、まさに前輪からクルマを引っ張っていく。

 ハンドリングを確認するためにパイロンスラロームにトライ。アクセルペダルを強く踏みつけたまま、ステアリングの舵角通りに強引に曲がる。RSトロフィーは、通常モードでは60㎞/hまで、レースモードにすると100㎞/hまで、後輪が逆位相(最大2.7度)に切れる4コントロール(4WSシステム)を標準装備。操縦フィールは、まるで後輪が前輪の意志に沿うようにクイックに曲がる。アンダーステアは皆無。安定性は驚くほど高い。ドライ路面ではハードにプッシュしても何も起きない。

 曲がる特性は後輪をステアする技術だけでなく、前輪の高い接地性と、駆動力を加えた際のトルセンLSDの特性も大きく関係する。RSトロフィーは、アクセルオフ時はLSDがフリーになりノーズがインに入る。立ち上がりで駆動力を加えると、左右の回転差をなくして舵角の方向に駆動力をダイレクトに伝達。旋回速度を高める効果をさらに強力にした。

 シートやブレーキ、バッテリーサイズまで軽量化を図ったRSトロフィーは、FF最速にふさわしい。自在なハンドリングが速さを生むカギである。

IMG_4794.JPGトロフィーは本革とアルカンターラの専用コンビステアリング装着 インパネ形状は標準のRSと共通 ハンドリングは純スポーツ設定 自在に操れる

IMG_4824.JPGIMG_4827.JPGトロフィーの前席は軽量設計のレカロ製バケットシート シート地はアルカンターラ サポート性が高くドライビングに集中できる

IMG_4834.JPG1798cc直4DOHC16Vターボ 300㎰/6000rpm 420Nm/3200rpm ターボチャージャーは低フリクションのセラミックボールベアリング式

タイトルカットIMG_4853.JPGヘッドライトはLED バンパー部に多彩な照明機能を集約したRSビジョン装着

ルノー・メガーヌR.S.トロフィー 主要諸元と主要装備

IMG_4902.JPGグレード=ルノー・スポール・トロフィーEDC
価格=6SMT 499万円
全長×全幅×全高=4410×1875×1435mm
ホイールベース=2670mm
車重=1470kg
エンジン=1798cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=221kW(300ps)/6000rpm
最大トルク=420Nm(42.8kgm)/3200rpm
WLTCモード燃費=12.4km/リッター(燃料タンク容量47リッター)
(市街地/郊外/高速道路=8.6/13.2/14.5km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=245/35R19+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.2m
●主な燃費改善対策:未公表
●トロフィー専用装備:シャシーカップ/ブレンボ製モノブロックレッドフロントブレーキキャリパー/前輪アルミハブ&鋳鉄製ベンチレーテッドディスク/トルセンLSD/19インチアルミTROPHY/レカロ製フロントバケットシート/R.S.用ナパレザー&アルカンターラステアリング/スポーツエグゾースト(アクティブバルブ付き)/TROPHYデカール(F1タイプエアインテークブレード)
●主要装備:4コントロール(4輪操舵機構)/フロントダブルアクシスストラットサスペンション/4輪ハイドロリックコンプレッションコントロール/エマージェンシーブレーキサポート/車線逸脱警報/後側方車両検知警報/パーキングセンサー/R.S.ドライブ(走行モード切替機構)/ヒルスタートアシスト/電動パーキングブレーキ/パドルシフト/フルLEDヘッドライト/R.S.ビジョン/スポーツバンパー/フロントF1ブレード/R.S.リアスポイラー/ディフューザー/センターエグゾースト/スポーツフェンダー/ブリリアントブラックドアミラー/アルミペダル/7㌅フルカラーTFTメーター/7インチマルチファンクションディスプレイ/2ゾーンオートAC
●ボディカラー:ジョンシリウスメタリック(op16万円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万6890円

IMG_4841.JPGレーシングカーRS01用と同意匠の19インチアルミ装着 タイヤは245/35R19

IMG_4876.JPG2種のサウンドが選べるスポーツエグゾースト標準

IMG_4808.JPGトランスミッションは6速DCTと6速MT スピード性能を追求するならDCT 操る楽しさはMTが優位

カットIMG_4921.JPG

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