トヨタが人気SUV「RAV4」をフルモデルチェンジ。“Life is an Adventure”をコンセプトに、都市部の生活でもアウトドアでも、従来以上にあらゆるライフスタイルにフィットする相棒のような存在となることを目指して開発。まずはHEVモデルの「Z」と「Adventure」の2機種を発売。2025年度内にはPHEVモデルの「Z」と「GR SPORT」を発売予定
トヨタ自動車は2025年12月17日、人気のクロスオーバーSUV「RAV4」の新型モデルを発表し、同日より発売した。

▲トヨタRAV4 Z 価格:490万円 全長4600×全幅1855×全高1680mm ホイールベース2690mm 車重1720kg 乗車定員5名 WLTCモード燃費22.5km/リットル 写真のボディカラーはプラチナホワイトパールマイカ
車種展開は以下の通り。
Z:490万円
Adventure:450万円

▲トヨタRAV4 Adventure 価格:450万円 全長4620×全幅1880×全高1680mm ホイールベース2690mm 車重1710kg 乗車定員5名 WLTCモード燃費22.9km/リットル 写真のボディカラーはエバーレスト
今回の全面改良で第6世代に移行する新型RAV4は、“Life is an Adventure”をコンセプトに、「どこへでも行けそう、なんでもできそう」という価値観を体現。RAV4らしい塊感のある力強いデザインとパッケージを維持しながら、“多様化”“電動化”“知能化”をキーワードに据えて開発する。“多様化”については、洗練されたデザインの「Z」、オフロードも楽しめる「Adventure」、走りにこだわり抜いた「GR SPORT(2025年度内発売予定)」の3つのスタイルを設定。また、“電動化”に関してはHEVと新開発のプラグインハイブリッドシステムを搭載したPHEV(2025年度内発売予定)をラインアップし、電動車ならではのシームレスな加速感と力強い走りを実現する。そして“知能化”では、ソフトウェアづくりプラットフォーム「Arene」をトヨタ車として初めて活用したことで、進化した安全・安心パッケージ「Toyota Safety Sense」やコクピットなどの重要なUIのソフトウェアの開発期間を短縮して車両に搭載でき、安全・安心かつ快適なモビリティ体験を多くのユーザーに届けることを可能とした。日本市場においては、まずHEVモデルの「Z」と「Adventure」の2機種をラインアップする。

▲第6世代の新型RAV4は“Life is an Adventure”をコンセプトに、「どこへでも行けそう、なんでもできそう」という価値観を体現。RAV4らしい塊感のある力強いデザインとパッケージを維持しながら、“多様化”“電動化”“知能化”をキーワードに開発する
エクステリアに関しては、洗練されたダイナミズムを感じさせるスタイリングで仕立てたことがトピック。具体的には、大径タイヤを強調してSUVらしい踏ん張りのきいたスタンスを実現した“Big Foot”、キビキビとした高い走破性を想起させる“Lift-up”、何でもできそうな使いやすい荷室空間を確保する“Utility”をキーワードにデザインし、この3つの要素で「どこへでも行けそう」なRAV4らしさを表現する。機種ごとの差異化も図り、Zグレードはフロントに塊感のある“SUVハンマーヘッド”デザインを採用し、印象的で力強いマスクに演出。また、ボディ同色バンパーとメッシュグリルに加え、グリル内側の加飾によって先進的かつ立体的な存在感を際立たせる。足もとには7.5J×18アルミホイール(切削光輝+ダークグレーメタリック塗装)/センターオーナメント/ホイールナット+235/60R18タイヤを標準で、7.5J×20アルミホイール(切削光輝+ブラック塗装)/センターオーナメント/ホイールナット+235/50R20タイヤをオプションで配備した。リアセクションではバックドアガラスとオールLED化したコンビネーションランプが一体化したシームレスなデザインを採用し、ワイドで洗練された印象を強調する。ボディサイズは全長4600×全幅1855×全高1680mm/ホイールベース2690mmに設定。ボディカラーにはプラチナホワイトパールマイカ、マッシブグレー、アティチュードブラックマイカ、アバンギャルドブロンズメタリック、ダークブルーマイカという計5色をラインアップしている。
Adventureグレードについては、フロントのノーズピークを高く設定した専用マスクや大型アーチモールなどにより、タフで安定感のあるラギッドなスタイリングを創出。また、ブラックのリアサイドスポイラーや専用大型リアスキッドプレート(シルバー塗装)、マットブラックの専用グレードマークおよびブラックのハイブリッドシンボルマーク、7.5J×18アルミホイール(マットグレーメタリック塗装)/センターオーナメント/ホイールナット(ブラック)+235/60R18タイヤなどを装備して、アウトドア志向のキャラクターを際立たせた。ボディサイズは全長4620×全幅1880×全高1680mm/ホイールベース2690mmに設定。ボディカラーにはアーバンロック、アティチュードブラックマイカ、エバーレストというモノトーンと、ブラック×アーバンロック、ブラック×エバーレストというバイトーンをラインアップしている。
内包するインテリアは、ディスプレイやシフトなどの各種機能をひとくくりにして、島(アイランド)のように配置した“アイランドアーキテクチャー”を採用したことが訴求点。SUVとしての平衡感覚がつかみやすい水平なインストルメントパネルに加え、目線移動が少ないナビゲーションおよびメーター、手が届きやすいスイッチ類の配置など、ドライバーのニーズに応えるキャビン空間に仕立てる。また、グラフィックを刷新するとともにドライバーの好みに合わせて情報量が切り替えられる3つの表示モード(フル/スタンダード/ミニマム)を設定するとともに、従来の“立面表示”から遠近感を活かした“斜め表示”に変更したカラーヘッドアップディスプレイ(Zグレードに標準装備)や、ワンアクションでの直感的なシフト操作とすっきりとしたコクピットデザインを実現した一方向操作方式のエレクトロシフトマチック(Zグレードに標準装備)、スマートフォンなどの充電に便利な15W/PD対応45Wの充電用USB端子、運転席からも助手席からも開け閉めでき、かつひっくり返すことでトレイとしても使えるリバーシブルアームレスト(コンソールボックス付)といった機能装備をトヨタ車として初採用した。内装色はZグレードにブラックを、Adventureグレードにオレンジアクセントを施したブラックのほか低彩度グリーンでアレンジした専用カラーのミネラル(オプション)を設定。ミネラルを選択した際は、インストルメントパネルやドアトリムなどにカモフラージュ柄をあしらって、アウトドアの世界観を強調する。一方、シート表皮はZグレードに合成皮革/パーフォレーション&ステッチ付を、Adventureグレードに合成皮革/ステッチ付を張り、またZグレードには快適温熱シート(運転席・助手席/3段階温度設定+後席左右)や前席シートベンチレーション、運転席オートスライドアウェイを、Adventureグレードには快適温熱シート(運転席・助手席/2段階温度設定)装備して、乗員の快適性を高めた。

▲Zグレードはシート表皮に合成皮革/パーフォレーション&ステッチ付を採用。快適温熱シート(運転席・助手席/3段階温度設定+後席左右)や前席シートベンチレーション、運転席オートスライドアウェイなどの機能を配備
HEVのパワートレインについては、進化版のA25A-FXS型2487cc直列4気筒DOHC・D-4Sガソリンエンジン(最高出力186ps/6000rpm、最大トルク22.5kg・m/3600~5200rpm)+1VM型フロントモーター(最高出力100kW、最大トルク208Nm)+4NM型リアモーター(最高出力40kW、最大トルク121Nm)+ニッケル水素電池(容量5Ah)+電気式無段変速機(Zグレード:エレクトロシフトマチック〈一方向操作方式〉/Adventureグレード:シーケンシャルシフトマチック〈Sモード〉)で構成するシステム最高出力177kW(240ps)のハイブリッドシステムを搭載。駆動機構には前後輪の駆動力配分を100:0~20:80の間で緻密に制御して発進加速性と旋回安定性を高いレベルで両立するE-Four(電気式4WD)を採用し、合わせて制動機構に新ECB(電子制御ブレーキシステム)を配備する。走行モードとしては、悪路や雪道でも空転したタイヤにブレーキをかけて反対側に駆動トルクを配分することで優れた脱出性と安定性を発揮するTRAILモードおよびSNOWモードを設定。モーターのみで静かに走行するEVモードも組み込んだ。
シャシー面に関しては、改良したプラットフォームに前マクファーソンストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)、後ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング(スタビライザー付)のサスペンションを採用したうえで、新開発のショックアブソーバーなどを配備。上質かつ安定した走りと快適な乗り心地を実現している。

▲パワートレインには進化版のA25A-FXS型2487cc直列4気筒DOHC・D-4Sガソリンエンジン(186ps/22.5kg・m)+1VM型フロントモーター(100kW/208Nm)+4NM型リアモーター(40kW/121Nm)+ニッケル水素電池(容量5Ah)+電気式無段変速機で構成するハイブリッドシステムを搭載
関連会社のウーブン・バイ・トヨタ(WbyT)が開発したソフトウェアづくりプラットフォーム「Arene」をトヨタ車で初めて採用したことも、新型RAV4の見逃せないポイントだ。トヨタの考えるSDV(Software-Defined Vehicle)の提供価値は、単なるエンターテインメントや利便性に留まらず、“安全・安心”“交通事故ゼロ”の未来を届けることにある。誰もが安心して移動を楽しむために、同時にクルマがますます“愛車”になっていくために、新型RAV4では2つの機能をAreneによって実現した。
1つはトヨタ車で初搭載の新世代マルチメディア。大画面タッチパネルを採用した12.9インチセンターディスプレイおよびディスプレイオーディオを全車に標準装備し、進化した豊かなグラフィック表現、そしてカスタマイズ可能なホーム画面の採用によって、ユーザー1人ひとりに合わせた操作性を向上させる。また、音声認識の応答速度を従来比で約3倍高速化するとともに、理解精度をいっそう高めて、さらなる快適な対話を可能とした。ディスプレイオーディオ画面でのスワイプ操作により、車両周辺の状況をドライバーの好みの視点で確認することができるパノラミックビューモニター(3Dビュー付)をトヨタ車で初採用した点も、機能面のアピールポイントである。
2つめは最新のToyota Safety Senseの搭載。ソフトウェア評価やソフトウェアの構成部品のモジュール化などで「Arene」を活用し、画像認識や自動ブレーキ制御ソフトのレベルアップを成し遂げる。また、カメラやレーダー性能の進化により、検知できる範囲と距離をいっそう拡大した。プリクラッシュセーフティでは、先行車の減速をより早く検知できるようにしたほか、交差点進入時のクルマの陰からの飛び出し車両も検知可能とするなど、幅広い状況での作動を実現。また、低速時の加速抑制機能は直進時に加え、旋回中にも対応できるよう進化する。さらに、従来よりも周囲の車両をより早く認識可能なレーダークルーズコントロールにより、低速走行時における近距離での合流車や、合流車のウィンカーを早期に検知する能力を向上。そして、走行中の運転者が急病などにより運転の継続が困難になった際に自動的に車両を減速・停車させるドライバー異常時対応システムは、センサー情報を用いて路肩に退避スペースが確認できた場合、減速後、路肩へ寄せて停車できるように改良した。
パッケージオプションの充実化を図った点も新型RAV4の特徴。Zグレードにはオールシーズンシェード/プロジェクションイルミネーション/ラゲッジストレージ拡張セット/ラゲッジアンダーボックスで構成するライフスタイルパッケージを、Adventureグレードにはフードディフレクター/サイドストレージランタン/モールパネル/ラゲッジトレイ/バックドアオープニングガードで構成するアウトドアパッケージを用意している。
なお、トヨタは新型RAV4のPHEVモデルとなる「Z」と「GR SPORT」を2025年度内に追加設定し、発売すると予告している。
