三菱自動車は2025年12月18日、大幅改良したデリカD:5の発表会で同社の社長兼CEO、加藤隆雄氏の囲み取材を実施した。
加藤氏はデリカD:5を中心に、三菱自動車の最新の業績などについてコメント。そのやりとりは以下のとおり
―最新のデリカD:5について
加藤隆雄・三菱自動車 社長兼CEO(以下、加藤):現行デリカD:5は2007年1月にデビュー。以来、約19年間で販売台数は30万台を超え、国内販売を牽引する存在に成長しました。新型は「ミニバンの優しさ」と「SUVの力強さ」というデリカD:5ならではの魅力をさらに鮮明にした自信作です。内外装は一段とオフロードイメージを強化し、メカニズムは三菱独自の4輪制御技術「S-AWC」を採用。4種の走行モードを組み合わせることで、さまざまな路面での安定性に磨きをかけました。「オフロードミニバンSUV」という唯一無二の個性が強化され、さらに多くにお客様に愛用していただきたいと考えています。
―現在の販売状況について
加藤:国内の販売シーンはデリカ・シリーズが牽引しています。新型デリカD:5の予約受注は5000台を突破。D:5の弟分であるデリカミニも1万5000台を超える受注をいただいています。D:5もデリカミニも、ともに三菱らしさを体現した個性的な尖ったクルマです。今後もD:5をキャプテン役に販売台数の底上げを図っていきたいと考えています。ちなみに海外マーケットも順調に推移しています。アジア市場では新型車のディスティネーターの評価が高く、インドネシアでは1万4000台、フィリピンで1500台、ベトナムでも3700台の受注を獲得。まさに絶好調です。三菱は、今後とも「三菱らしさ」を大切にしたクルマ作りに邁進したいと考えています。
―デリカD:5にどんなイメージがあるか
加藤:デリカは1968年に初代モデルを発売して以来、現在まで長い歴史を育んできました。現在、D:5をお選びいただくお客様の中には、「子供時代にデリカがファミリーカーとして家にあり、いろいろな思い出を作ってくれた。だから自分も選んだ」という方が珍しくありません。D:5を筆頭にデリカ・シリーズは家族に密着したクルマです。どこにでも行ける相棒としてご家族で大いに楽しんでいただきたいと思います。個人的には、インドネシアで現地工場の社長を務めていた折に4年間、デリカD:5に乗っていました。インドネシアは荒れた道が多く、また大雨に見舞われると洪水になるケースもありました。D:5はオフロードでも洪水でも安心して走り抜けてくれました。頼りになる存在、というイメージを持っています。
―デリカの今後について
加藤:さまざまな方向性を検討しています。私たちは2023年のジャパンモビリティショーで次世代デリカをイメージした「D:Xコンセプト」を提案。お客様から好意的な意見をたくさんいただきました。とくに「次期型はパワートレーンにPHEVを採用してほしい」という声が主流でした。でも現行D:5のファンの方に聞くと「D:5はいまのままがいい。モデルチェンジの必要はない。あと5年は継続してほしい。エンジンも現在のディーゼルが力強くていい」という意見が多いのです。どちらも大切な意見で尊重していきたいと考えています。
デリカD:5は「ミニバンの姿をしたSUV」という唯一無二の個性を武器に、いまや三菱の主力車種の座を射止めた。加藤氏はその価値を熟知していると感じた。またユーザーの声を真摯に聞く姿勢も印象的だった。加藤氏は囲み取材を「これからも三菱らしさを際立たせたクルマを開発し勝負していきます」と締め括った。期待したい。
