【魅力あるクルマ】ミニバンの利便性とクロカンの走破性を融合。デリカD:5の逞しきドライビングワールド

三菱デリカD:5・P/価格:8SAT 460万1300円。2019年に大幅改良を実施し、全車クリーンディーゼル+4WD仕様に。走行モードは2WD/4WDオート/4WDロックをダイヤル操作で選択。本格オフロードでも抜群の走破性を示す。最低地上高は185mm。D:5は頼りになるオールラウンダーの筆頭

三菱デリカD:5・P/価格:8SAT 460万1300円。2019年に大幅改良を実施し、全車クリーンディーゼル+4WD仕様に。走行モードは2WD/4WDオート/4WDロックをダイヤル操作で選択。本格オフロードでも抜群の走破性を示す。最低地上高は185mm。D:5は頼りになるオールラウンダーの筆頭

「どこでも走れる安心感」に勝る機能はない

 デリカという車名の由来は、「delivery(=配達)」+「car」だという。デリカがどんな道でも走れるために実力を高めていった背景には、プロユースを意識したクルマとしての思いが根底にあったからかもしれない。

 三菱車は、他のメーカーにはない独自性のあるクルマが目立つ。すでに55年を超える長い歴史を持つデリカも、早くからライバルとはひと味違った個性を発揮してきた。
 1968年にトラックでスタートし、のちにバンやコーチ(乗用ワゴン)が加わった。現在につながる転機は1982年10月、このクラスのワンボックス車としていち早くスターワゴン4WDが追加されたのだ。

デリカは1968年7月に小型トラックとしてデビュー。4WDモデルは2代目(スターワゴン)の1バリエーションとして1982年10月に誕生した。1BOX初の4WDモデルはラダータイプのサブフレームを組み込み、本格的なトランスファーギアを持つパートタイム4WDシステムを搭載。3列シートの広い室内空間はそのままに、タフな走りを身につけていた

デリカは1968年7月に小型トラックとしてデビュー。4WDモデルは2代目(スターワゴン)の1バリエーションとして1982年10月に誕生した。1BOX初の4WDモデルはラダータイプのサブフレームを組み込み、本格的なトランスファーギアを持つパートタイム4WDシステムを搭載。3列シートの広い室内空間はそのままに、タフな走りを身につけていた

   初代4WDは、ライトトラック、フォルテのシャシーにデリカのボディを組み合わせるという成り立ち。大径タイヤが装着され最低地上高も高いワイルドなイメージに仕上げられていた。登場するや、全路面対応ワゴンを待っていたアウトドア派が飛びついた。

 次の世代でも同様のコンセプトの発展版がラインアップされ、人気を博した。さらに、スターワゴンの後継モデルとなるスペースギア(1994年)もすごかった。なんと一世を風靡した2代目パジェロをベースに「スーパープレジャーRV」をコンセプトに開発されたのだ。箱型のミニバンフォルムながら異様に地上高と車高が高く、乗れば見晴らし抜群。三菱が優先したのはあくまで悪路走破性だった。スペースギアは、ビスカスカップリングのセンターデフにより走行中でも2WD/4WDが切り替え可能なパジェロ譲りのスーパーセレクト4WDも搭載されていた。他の箱型ミニバンではあり得ない走破性能が支持されて、熱烈なデリカ信望者が生まれた。

最新モデルはモダンでタフ。唯一無二の4WDミニバンとしてファンを魅了

 現行D:5の登場は2007年。すべてが独創的だったスペースギアを愛していたファンの中には、FFの乗用車とプラットフォームを共用したD:5を、当初は受け入れない層が少なくなかった。ところが、その圧倒的な走破性をはじめとする高い実力が知られると、悪くいう声は聞かれなくなっていった。

リア

インパネ

 D:5は三菱のルーツでもある航空機のノウハウを活かしたリブボーンフレーム構造で、高い車体剛性と強度を実現し、自動車アセスメントの衝突安全性能試験総合評価では最高の6スターをミニバンとしていち早く獲得した。

 開発関係者が、「もしも崖下に落ちて、他社のミニバンだと乗員が死亡に至るような状況でも、ウチのD:5なら生き残れる可能性が高い」という内容のことを話していたのを思い出す。

 D:5はフロア下に凝った4WDシステムを搭載していることもあって、他社のミニバンに比べると床面が高く室内高の余裕は一歩劣る。それでも車内は十分な広さが確保されていて、3列目の居住性と乗り心地のよさでライバルをリードする。3列目シートのクッションはぶ厚く、サイズも余裕たっぷり。前後スライドが可能で後端まで下げて足元のスペースを広げることもできる。

 D:5は2019年のビッグマイナーチェンジで大きく進化した。当初は物議をかもしたコワモテ顔も、やがて好意的な声のほうが大きくなり、インテリアは高級車さながらの雰囲気になった。当時、質感とプレステージ性を追求した旨を開発者は述べていた。

 ラインアップは標準とオンロード志向のローデストの2シリーズ構成になり、アルファードやヴェルファイアなどの上級クラスともわたりあえるような、高級ミニバンとしての価値を身につけた。

ドア開け

エンジン

 進化は、見た目だけでなく舗装路を中心により快適になったドライブフィールにも表れていた。新旧を乗り比べると断然、印象が違っていた。もちろんオフロードや雪道での信頼性は抜群。テストコースを走った経験もあるが、上り下りの勾配でも凸凹でも深い轍でも、タイヤがグリップする限り踏み越えていける持ち前の悪路走破性にさらに磨きがかかっていた。

 三菱は、4本のタイヤの能力をバランスよく発揮させるため、前後輪や左右輪の間でのトルク配分や4輪個別のブレーキ制御を行い、それらを統合制御するS-AWC(Super All Wheel Control)と呼ぶ独自の4輪制御技術を確立している。

 ただし、ミニバンには相応しくないことや、もともと走破性が十分に確保されていることから、D:5には搭載されていないのだが、三菱独自の4WD技術は確実に生きている。その走破性は数ある箱型ミニバンで並ぶものが存在しない。多くのSUVをもしのぐレベルだ。

販売台数を調べてびっくりした。なんとビッグマイナーチェンジのあった2019年以降、コロナ禍に見舞われた2020年を除いて、その前の何年間かよりもだいぶ増えているのである。

 現行型は2007年デビューのロングライフ車である。長い時間が経過しても月販1000~1500台のペースをほぼコンスタントに維持しているのは、高い実力があるからこそ。そしてまた、数ある箱型ミニバンの中にあって、異彩を放つ「オールラウンダーミニバン」というD:5ならではの世界観に共感するユーザーが大勢いるからにほかならない。

三菱デリカD:5主要諸元

エンブレム

グレード=P(7名乗り)
価格=8SAT 460万1300円
全長×全幅×全高=4800×1795×1875mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント:1540/リア:1535mm
最低地上高=185mm
車重=1970kg
エンジン=2267cc直4DOHC16Vディーゼルターボ(軽油仕様)
エンジン最高出力=107kW(145ps)/3500rpm
エンジン最大トルク=380Nm(38.7kgm)/2000rpm
WLTCモード燃費=12.6㎞/リッター(燃料タンク容量64リッター)
(市街地/郊外/高速道路:10.1/12.6/14.1㎞/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=225/55R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=7名
最小回転半径=5.6m

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