【最新モデル試乗】BMW2シリーズ・グランクーペはFFながらBMWらしい走りを実現。ちょうどいいサイズのスタイリッシュモデル

BMW 220dグランクーペ Mスポーツ/価格:7DCT 548万円。新型は従来のスタイルを継承しながら中身を革新。パワーユニットを48VマイルドHV化で洗練させると同時にインテリアを全面刷新。ボディサイズは日本でも扱いやすい4550×1800×1435㎜

BMW 220dグランクーペ Mスポーツ/価格:7DCT 548万円。新型は従来のスタイルを継承しながら中身を革新。パワーユニットを48VマイルドHV化で洗練させると同時にインテリアを全面刷新。ボディサイズは日本でも扱いやすい4550×1800×1435㎜

驚くほどの完成度。爽快ドライブが満喫できる!

 2シリーズ・グランクーペは、プレミアムコンパクト・セグメントにおけるBMW初の4ドアスペシャリティとして2019年に誕生した。以来、扱いやすいサイズ設定をはじめ、4ドアならではの利便性や優雅なデザインが人気を呼び、初めてのBMWとしてはもちろん、3シリーズを愛用していたユーザーからの乗り換えモデルとしても積極的に選ばれている。

 少しおさらいしておくと、以前の2シリーズにはセミトールワゴンのアクティブツアラーや3列シートのグランツアラーなどを含め最大で5種類のボディタイプが混在していた。だが2025年9月現在は2ドアのクーペと4ドアのグランクーペの2タイプとなる。

リア

インパネ

 この2台は同じ2シリーズでも内容はまったく別で、2ドアクーペはFRレイアウト、グランクーペは1シリーズとの共通性の高い、エンジン横置きFFベースとなる。エンジン縦置きFRと横置きFFベースと聞くと、かつての日本では「FRでないとBMWではない!」と断言するほどのマニアも見かけた。だが時代は確実に変化している。駆動方式が違ってもBMWらしさは損なわれていない、というクルマ作りが正当に評価されているのは確かだ。実際、販売の主流はグランクーペだ。

美しいスタイルと実用的な室内空間を両立。魅力たっぷり

 その2シリーズ・グランクーペが登場から5年で、2代目に進化した。スタイリングは、斜めのラインを取り入れた新造形キドニーグリルを採用。BMWのアイキャッチである環状シグネチャーを2回繰り返すツイン・サーキュラーを進化させたLEDヘッドライトは見た目にも新鮮味たっぷりだ。リアまわりも一段とスポーティなイメージになっている。

 インテリアは全面変更。質感や機能が大幅に向上した。眼前に大きなカーブドディスプレイが与えられたほか、シフトレバーが廃され、センターに操作系が集約された。斬新なエアコン送風口や凝ったアンビエントライト、ダッシュに配された大胆なステッチなども目を引く。スイッチ類の触感やパワーウィンドウなどの動きが精緻で上品な点も、あらためて印象的だった。

スタイル

岡本さん

 気になる居住性も良好。クーペフォルムながら後席スペースは十分だ。成人男性の平均+αの体格のパッセンジャーが座っても狭さを感じることはない。独立したトランクがあるのも特徴で、40対20対40分割可倒シートによりアレンジ性にも優れている。

 ラインアップは、1.5リッター直3ガソリン(156ps/240Nm)の220と2リッター直4ディーゼルターボ(150ps/360Nm)の220d。そして高性能2リッター直4ガソリン(300ps/400Nm)+xDriveのMパフォーマンスモデルとなるM235の3グレード構成。今回は売れ筋の220dに試乗した。

 まず驚いたのは音がしないことだ。
 常時アイドリングストップしているのかと思うくらい音も振動もない。窓を開けてみると外ではディーゼルの音がしているのだが、車内は本当に静かだ。
 従来のディーゼルは走りはいいが音や振動はそれなりに伝わってきていたことを思うと、もはや別物に進化している。

前席

後席

 パフォーマンスも申し分ない。220比で120Nmもの最大トルク差は圧倒的だ。実際にドライブすると、ワインディングの上り勾配も高速道路での再加速も、どんなシチュエーションでも余裕を感じる。しかもなかなか速い。また220のガソリンは3気筒という点で好みが分かれるが、ディーゼルは4気筒である。

 トランスミッションは7速DCT。発進や低速域というDCTの苦手な領域を、48Vマイルドハイブリッドが上手く補っていて、連携は非常にうまい。おかげで走りはいたってスムーズで力強い。アクセルを踏み増すと予想値をやや上回るトルクが生み出されるようになっているようで、力強さを存分に体感できた。

 ハンドリングも優秀だった。FWDにありがちなクセはほぼなく、前輪を駆動していることを意識させない、BMWらしいすっきりとしたステアリングフィールを実現している。このあたりは開発陣のコダワリが伝わってくる。

エンジン

タイヤ

 220dは、高速道路ではグランクーペらしい落ち着きが、市街地やワインディングではコンパクトモデルらしいき軽快さが気持よかった。まさにどんなシーンでも、ドライバーを満足させるオールラウンダーである。

 その点はBMWのXモデルもよくできているとはいえ、やはり背の低いパッケージングは格別。SUV系では味わえない強みがある。とくにワインディングでは、あたかも後輪を駆動しているかのような動き方をすることが印象的だった。それだけリアタイヤのグリップを有効に使うことができているからに違いない。

 これほどよくなれば価格もそれなりに上がったのかと思えば、意外とそうでもない。2シリーズ・グランクーペは、ある意味3シリーズ以上にフレッシュなBMWの主力モデルである。

エンブレム

諸元

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