【最新モデル試乗】「かどまる四角」のキュートな造形。新型ルークスは、広さと先進装備で軽自動車の新たな基準を提案する

日産ルークス・ハイウェイスターGターボ・プロパイロットエディション/価格:236万3900円。新型は全17タイプのボディカラーを設定。2トーン塗装は写真のボンネットとボディサイド塗り分けタイプと、ルーフ塗り分けタイプを用意する。プラットフォームは従来の改良版

日産ルークス・ハイウェイスターGターボ・プロパイロットエディション/価格:236万3900円。新型は全17タイプのボディカラーを設定。2トーン塗装は写真のボンネットとボディサイド塗り分けタイプと、ルーフ塗り分けタイプを用意する。プラットフォームは従来の改良版

新型は大きく立派。すべてをファーストカーとして設計

 日産ルークスが4代目に移行した。2025年8月22日に先行情報を発表、すでに予約受注が可能。今秋に正式発売の予定だ。価格は167万2000〜236万3900円の設定となる。

 ルークスは日産と三菱の合弁会社であるNMKVによる軽スーパーハイトワゴン。三菱デリカミニとeKスペースとはBROS車の関係になる。ルークスの量産試作車を追浜のテストコースでチェックした。

3 台

インパネ

「かどまる四角」をモチーフとしたというエクステリアデザインは、現行型と雰囲気が少し異なる。全体的にボクシーになり骨太な印象。大きく見える。そのうえで販売主力のハイウェイスターは、さりげなくスポーティにまとめられている。

 まずはハイウェイスターのターボ2WDに試乗。プラットフォームとパワートレーンは現行型の改良版である。テストコースを走ると、もう少しターボ感がほしい気もしたが、新設のスポーツモードを選ぶと適切なギア比を維持する特性になる。シフトノブにオーバードライブボタンが設けられていたのも印象的だ。

 新型のドライブフィールは快適性を重視している。現行型は走りのよさを強調していたが、「コンセプトを変えた」と開発関係者は説明してくれた。それでいてハードな運転にトライしてもフットワークは高水準。「安心感も重視した」と自信ありげだった。

 具体的には、ロールスピードに相当こだわってチューニングしたという。ルークスは一般的なハイトワゴンよりもいくぶん高い位置に着座するレイアウトだ。そのため、ただでさえロールを感じやすい。ロールは不安を感じさせる要素でもある。開発関係者によると、コスト度外視でイニシャルバルブを追加した高応答ショックアブソーバーを採用。初期のフリクションを低減して滑らかに動かしながら、グラッと来ることなくゆっくりロールさせるよう設定したという。

ドア開け

 ごく普通に乗るとまさにそのとおり素直に動く。素早く転舵するとやはりそれなりにロールするが、それは調子に乗ると危ないゾということを的確に伝えてくれるシグナルのように感じた。

 電動パワーステアリングは、軽自動車としては贅沢なブラシレスモーター・タイプ。これまでどおりスッキリとしたフィーリングで、操舵力が軽い中にもしっかり感がある。ブラシレスモーターは、従来型ではセレナと同等の大容量タイプを使っていた。しかし新型ではオーバースペックだったのでもう少し小さいユニットを採用したそうだ。

快適で静か。室内は圧倒的に広く、しかも先進装備を満載

 乗り心地はおおむね快適だった。路面の荒れた場所では多少凹凸を拾いやすい印象を受けたものの、それほど気になるレベルではない。静粛性については、フロントの遮音ガラスをはじめ、いくつかの部位に手が加えられたことが効いて、確かに静かだ。フロントウィンドウが現行型比で前に出た分、広々として見晴らしもよくなったのも好印象である。

 4WDに乗り替える。印象は2WDと少し違った。ほぼFFで走るシーンでも、駆動系部品が増えた影響か微振動がやや気になり、リアサスペンションのストローク感も2WDのほうがあったように感じられた。だがこのあたりは個体差によるものかもしれない。ハンドリングは好印象。4WDはFF以上にリアが粘り、ステアリングを切り返したときの揺り戻しも小さい。走りに一体感が感じられた。

フロント

 ルークス=ROOXという車名は、RoomとMaxのからの造語。ネーミングどおり室内のスペース性は申し分ない。フロントドアはほぼ直角に開き、開閉の素早いスライドドアの開口幅と室内長はクラストップというだけあって圧倒的だ。クルマに近づくだけでロックが解除されたり、足の動きでスライドドアを開閉できたり、離れるとロックされたりと、乗り降りに関するすべてがハンズフリー化されたのは便利だ。

 インテリアの質感も素晴らしい。ライバルも頑張っているが、ルークスはさらに上を行っている。Kカーでここまで極めるとは驚いた。見た目のインパクトが強い大画面ディスプレイは視認性に優れ、使い勝手は上々。デジタルでスピードが大きく表示され、その周囲をぐるりと回転するタコメーターはナイスアイデアだ。

シート01

シート02

 収納スペースはいたるところに設けられていた。カップホルダーは全部でいくつあるのかというほど豊富で驚いた。現行型と同様に助手席の前後スライドが、運転席側から操作できるのも親切である。これは後席の子どもの面倒をみやすいようにという配慮の現れだ。

 安全装備については、既存の機能の向上が図られたほか、Kカー初を謳う機能が追加された。中でも、インテリジェントアラウンドビュー機能に新たに3D機能が設けられた点に注目だ。これによりフード下の隠れた路面やさまざまな角度からの映像を立体的に表示できるようになった。見通しの悪い場所の状況も容易に確認できるのは朗報である。

 これまでルークスはN-BOX、スペーシア、タントら3強に対して販売面でだいぶ水を開けられていた。新たな武器の数々を手に入れた4代目なら、そこに割って入ることが大いに期待できそうだ。

フォトギャラリー

SNSでフォローする