BMWノイエ・クラッセの第1弾となる新型iX3がワールドプレミア

BMWが次世代モデルのミドルクラスSUVで、今後の電動化、デジタル化、循環性という中核分野における革新能力を結集した“ノイエ・クラッセ”の第1弾となる新型iX3を公開。BMWの最新のデザイン言語を纏ったエクステリアに、“BMWパノラミックiDrive”と称する新たなコントロール/オペレーションシステムを採用。パワートレインには第6世代BMW eDriveテクノロジー、円筒型バッテリーセルを採用した新型高電圧バッテリー、800Vの新技術、2つの電気モーターによる電動4輪駆動システムを搭載。生産は本年10月下旬よりハンガリーの新デブレツェン工場にて開始。日本への導入は2026年夏以降を予定

 独BMWグループは2025年9月5日(現地時間)、ドイツのミュンヘンで開催された「IAAモビリティ2025」において、電動プレミアムミドルクラスSUVの新型「iX3(NA5)」を初公開した。

▲BMWが電動プレミアムミドルクラスSUVの新型iX3(NA5)を初公開。今後の電動化、デジタル化、循環性という中核分野における革新能力を結集した“ノイエ・クラッセ”の第1弾に位置する

▲BMWが電動プレミアムミドルクラスSUVの新型iX3(NA5)を初公開。今後の電動化、デジタル化、循環性という中核分野における革新能力を結集した“ノイエ・クラッセ”の第1弾に位置する

 BMWの今後の電動化、デジタル化、循環性という中核分野における革新能力を結集した“ノイエ・クラッセ”(Neue Klasse=ニュー・クラスの意。BMWでは1962年に発売した新しい4ドアサルーンの1500で初めてこの呼称を使用)の第1弾となる新型iX3は、BMWの最新のデザイン言語を纏ったエクステリアに、“BMWパノラミックiDrive”と称する新たなコントロール/オペレーションシステムを採用したうえで、パワートレインに第6世代BMW eDriveテクノロジー、円筒型バッテリーセルを採用した新型高電圧バッテリー、800Vの新技術、2つの電気モーターによる電動4輪駆動を導入したことが特徴である。

▲今後のBMWブランドの全モデルに応用される予定の新たなデザイン言語の採用により、BMW流SUVのスポーツアクティビティビークル(SAV)を再構築。ボディサイズは全長4782×全幅1895×全高1635mm/ホイールベース2897mmに設定

▲今後のBMWブランドの全モデルに応用される予定の新たなデザイン言語の採用により、BMW流SUVのスポーツアクティビティビークル(SAV)を再構築。ボディサイズは全長4782×全幅1895×全高1635mm/ホイールベース2897mmに設定

 まずエクステリアは、今後のBMWブランドの全モデルに応用される予定の新たなデザイン言語の採用により、現在のメンタリティを捉えつつも色褪せないデザインで、BMW流SUVのスポーツアクティビティビークル(SAV)を再構築したことがトピック。基本プロポーションは強い存在感を放ち、4つのホイールがくっきりと際立つ2ボックスデザインを基調に、すっきりとした無駄のないパネル面を組み合わせて、BMWブランドの本質に迫るスタイリングを創出する。また、フロントマスクはアップライトなフロントエンドに、垂直に配置したLEDヘッドランプ、1960年代のノイエ・クラッセを参考にしたうえでクロームの代わりに照明を配した縦型アレンジのキドニーグリルなどを配して、ブランドの新たな顔を形成。一方でサイドセクションは、モノリシックなサーフェスと数本の緻密なライン、コンパ クトでほっそりとしたグリーンハウス、視覚的なインパクトを与えるホイールアーチによって、見る者の視線を奪うシルエットを具現化する。足もとには新デザインの20インチライトアロイホイールを標準で装着し、オプションとして21および22インチライトアロイホイールやBMW Mライトアロイホイール、BMW Individualライトアロイホイールを設定した。そしてリアビューは、力強くてスポーティな後端の造形に、水平方向に延びる新デザインのL型LEDコンビネーションランプや厚みのあるバンパーおよびディフューザーを組み合わせて、印象的で独創性あふれる後ろ姿を演出する。エアロダイナミクスも重視し、整流効果を高めたフォルムやフラットな格納式ドアハンドルおよびガラスサーフェスなどを採用して、空気抵抗係数(Cd値)は0.24を実現した。仕様として、Mスポーツ・パッケージやMスポーツ・パッケージ・プロも選択可能とする。ボディサイズは全長4782×全幅1895×全高1635mm/ホイールベース2897mmに設定した。

▲フロントマスクはアップライトなフロントエンドに、垂直に配置したLEDヘッドランプ、1960年代のノイエ・クラッセを参考にしたうえでクロームの代わりに照明を配した縦型アレンジのキドニーグリルなどを配して、ブランドの新たな顔を形成

▲フロントマスクはアップライトなフロントエンドに、垂直に配置したLEDヘッドランプ、1960年代のノイエ・クラッセを参考にしたうえでクロームの代わりに照明を配した縦型アレンジのキドニーグリルなどを配して、ブランドの新たな顔を形成

▲リアビューは力強くてスポーティな後端の造形に、水平方向に延びる新デザインのL型LEDコンビネーションランプや厚みのあるバンパーおよびディフューザーを組み合わせて、印象的で独創性あふれる後ろ姿を実現

▲リアビューは力強くてスポーティな後端の造形に、水平方向に延びる新デザインのL型LEDコンビネーションランプや厚みのあるバンパーおよびディフューザーを組み合わせて、印象的で独創性あふれる後ろ姿を実現

▲サイドセクションはモノリシックなサーフェスと数本の緻密なライン、コンパ クトでほっそりとしたグリーンハウス、視覚的なインパクトを与えるホイールアーチによって、見る者の視線を奪うシルエットを演出。エアロダイナミクスも重視し、空気抵抗係数(Cd値)は0.24を実現

▲サイドセクションはモノリシックなサーフェスと数本の緻密なライン、コンパ クトでほっそりとしたグリーンハウス、視覚的なインパクトを与えるホイールアーチによって、見る者の視線を奪うシルエットを演出。エアロダイナミクスも重視し、空気抵抗係数(Cd値)は0.24を実現

 内包するインテリアは、デジタル機能と物理的エレメントをバランス良く調整することで、BMW特有の「手はハンドルに、視線は道路に」の原則に則りながら、直感的な操作性をドライバーフォーカスの新たなレベルにまで引き上げた、新開発のBMWパノラミックiDriveを採用したことが訴求点だ。

 BMWパノラミックiDriveは、新デザインのセンターディスプレイやBMWパノラミック・ビジョンなど4つの操作エレメントを統合することで、次世代のユーザー・エクスペリエンスを生成する。BMWパノラミック・ビジョンは、フロントウィンドウ下部のナノコーティングが施された黒色のサーフェスの2本のAピラーに挟まれた110cmの領域に情報を投影。重要度の高い運転関連情報はドライバーの視線の先にあるステアリングホイール上部の左側エリア(左ハンドル車の場合)に表示され、またドライバーはセンターディスプレイを操作して、中央エリアと右側エリアの表示内容をカスタマイズすることができる。オプションとして、BMWパノラミック・ビジョンのディスプレイ上部のドライバー視線の先に表示されるBMW 3Dヘッドアップディスプレイも設定した。一方、マトリクスバックライトテクノロジーを配したフリーカットデザインの17.9インチセンターディスプレイは、ドライバーに向かって17.5°傾けて配置。ホーム画面にはBMW Mapsのナビゲーションシステムのマップなど個人でコンテンツ表示をカスタマイズすることができ、また素早いアクセスを実現にするQuickSelectを組み込んで、サブメニューを経由しなくても重要な機能をすぐに呼び出すことを可能としている。また、BMWオペレーティングシステムXのメニュー構成を徹底的に見直し、各種機能をスムーズに見つけることができるようにアレンジした。

 さらに、新設計のマルチファンクションステアリングホイールにはシャイ・テック・アプローチに基づいたボタン・パネルを配備。各種ボタンは機能の利用可能あるいは利用中の場合にのみ点灯し、またレリーフ状のサーフェスを持つコントロールパネルとアクティブなハプティックフィードバックによって、道路に視線を向けたまま直感的な操作を行うことを可能とする。BMWインテリジェントパーソナルアシスタントのアップグレードも図り、2種類のボイス、BMWパノラミック・ビジョン用の外観、そしてプロアクティブな提案とルーティンのカスタマイズが可能なドライバー向けアシスト機能を追加。BMWオペレーティングシステムXに広範なデジタルサービスと高度なカスタマイズ性を設定したことも、機能面のアピールポイントである。

▲デジタル機能と物理的エレメントをバランス良く調整することで、直感的な操作性をドライバーフォーカスの新たなレベルにまで引き上げた新開発のBMWパノラミックiDriveを採用

▲デジタル機能と物理的エレメントをバランス良く調整することで、直感的な操作性をドライバーフォーカスの新たなレベルにまで引き上げた新開発のBMWパノラミックiDriveを採用

▲BMWパノラミック・ビジョンはフロントウィンドウ下部のナノコーティングが施された黒色のサーフェスの2本のAピラーに挟まれた110cmの領域に情報を投影。マトリクスバックライトテクノロジーを配したフリーカットデザインの17.9インチセンターディスプレイはドライバーに向かって17.5°傾けて配置する

▲BMWパノラミック・ビジョンはフロントウィンドウ下部のナノコーティングが施された黒色のサーフェスの2本のAピラーに挟まれた110cmの領域に情報を投影。マトリクスバックライトテクノロジーを配したフリーカットデザインの17.9インチセンターディスプレイはドライバーに向かって17.5°傾けて配置する

▲センターコンソールにはシフトや電動パーキングブレーキなどのスイッチを配備。前部にはUSBポートなども設定する

▲センターコンソールにはシフトや電動パーキングブレーキなどのスイッチを配備。前部にはUSBポートなども設定する

 シートについては、前席に新設計のマルチファンクションシートを、後席に40:20:40分割可倒式シートを配備。仕様としてはコンテンポラリー・インテリアのデジタル・ホワイト、ブラック、カスタネアや、BMW Mインテリア ブラック、BMW Individualレザー・インテリア ブラックなどを設定する。乗員の快適性を高めるティント加工特殊ガラスを配したパノラマガラスサンルーフも用意した。積載性に関しては、フロントに容量58リットルのコンパートメントを、リアに後席使用時520リットル/後席格納時最大1750リットルのラゲッジを配置している。

▲前席には新設計のマルチファンクションシートを、後席には40:20:40分割可倒式シートを装着。写真の仕様はコンテンポラリー・インテリアのデジタル・ホワイト

▲前席には新設計のマルチファンクションシートを、後席には40:20:40分割可倒式シートを装着。写真の仕様はコンテンポラリー・インテリアのデジタル・ホワイト

▲ティント加工特殊ガラスを配したパノラマガラスサンルーフを用意

▲ティント加工特殊ガラスを配したパノラマガラスサンルーフを用意

▲フロントに容量58リットルのコンパートメントを設定

▲フロントに容量58リットルのコンパートメントを設定

▲ラゲッジ容量は後席使用時520リットル/後席格納時最大1750リットルを確保

▲ラゲッジ容量は後席使用時520リットル/後席格納時最大1750リットルを確保

 サーキュラリティ(資源の循環性)の向上とCO2排出量のさらなる削減に向けた、総合的なアプローチも鋭意実施する。まず、標準仕様としてレザー不使用のインテリアを採用。一部シートに使われている糸は、100%リサイクルされたペットボトルから作られる。また、ルーフライニングやフロアマットに使用する糸も100%リサイクルされた素材で生成。ボンネット下の収納コンパートメントに採用する熱可塑性プラスチック部品には、リサイクルされた海洋プラスチックを30%使用した。さらに、アルミニウム製のスイベルベアリングとハブキャリアには2次原材料を80%採用。ホイールリムのアルミニウムは、2次原材料を70%含有する。そして、円筒型バッテリーセルでは、従来のバッテリーセル比でカーボンフットプリントを42%削減した。工場における生産工程、またサプライチェーンにおけるカーボンフットプリントも、従来より大幅に削減している。

▲サーキュラリティ(資源の循環性)の向上とCO2排出量のさらなる削減に向けた、総合的なアプローチを実施

▲サーキュラリティ(資源の循環性)の向上とCO2排出量のさらなる削減に向けた、総合的なアプローチを実施

 注目のエレクトリックドライブシステムには、ノイエ・クラッセのために開発された第6世代BMW eDriveテクノロジーを採用する。今回公開されたiX3 50 xDriveではフロントアクスルに新型の非同期モーター(ASM)を、リアアクスルに大幅アップデートを果たした電気励磁交流同期モーター(EESM)を搭載し、システム最高出力は345kW(470hp)、システム最大トルクは645Nmを発生。円筒型バッテリーセルを配した駆動用リチウムイオンバッテリーは総電力量108kWhを確保し、効率性に特化した炭化ケイ素(SiC)半導体を組み込んだ800Vテクノロジーやエナジーマスターと組み合わせる。従来モデルから大幅な進化を遂げた新システムは、エネルギー・ロスを40%、重量を10%、製造コストを20%カット。性能面では0→100km/h加速が4.9秒、最高速度が210km/hを成し遂げる。また、一充電走行距離(WLTPモード)は800kmを実現し、さらに800VのDC急速充電ステーションを利用した際はわずか10分で350km以上走行できるエネルギーの充電を可能とした。双方向充電機能も搭載し、ビークル・トゥ・ロード(V2L)、ビークル・トゥ・ホーム(V2H)、そしてビークル・トゥ・グリッド(V2G)の電力供給を可能としている。

▲ノイエ・クラッセのために開発された第6世代BMW eDriveテクノロジーを採用。iX3 50 xDriveではフロントアクスルに新型の非同期モーター(ASM)を、リアアクスルに大幅アップデートを果たした電気励磁交流同期モーター(EESM)を搭載し、システム最高出力は345kW(470hp)、システム最大トルクは645Nmを発生。円筒型バッテリーセルを配した駆動用リチウムイオンバッテリーは総電力量108kWhを確保

▲ノイエ・クラッセのために開発された第6世代BMW eDriveテクノロジーを採用。iX3 50 xDriveではフロントアクスルに新型の非同期モーター(ASM)を、リアアクスルに大幅アップデートを果たした電気励磁交流同期モーター(EESM)を搭載し、システム最高出力は345kW(470hp)、システム最大トルクは645Nmを発生。円筒型バッテリーセルを配した駆動用リチウムイオンバッテリーは総電力量108kWhを確保

▲一充電走行距離(WLTPモード)は800kmを実現。さらに800VのDC急速充電ステーションを利用した際はわずか10分で350km以上走行できるエネルギーの充電を可能とする

▲一充電走行距離(WLTPモード)は800kmを実現。さらに800VのDC急速充電ステーションを利用した際はわずか10分で350km以上走行できるエネルギーの充電を可能とする

 パワートレインとドライビングダイナミクス機能を高次元で融合したコントロールユニット「BMW Heart of Joy」をBMWの量産車として初めて採用したことも注目ポイントだ。従来のコントロールユニットの最大10倍の情報処理能力を発揮するBMW Heart of Joyは、BMWダイナミックパフォーマンスコントロールとの連携により、運転に関わるさまざまなプロセスを瞬時に制御。そのスピードと精度は、ドライビングダイナミクスを新たな次元へと昇華させる。さらに、回生ブレーキを最適に制御することで減速時の車両の揺れを抑制。クルマが完全に停止するまで、スムーズで快適な乗り心地を実現した。

 ドライバーアシストシステムの進化も見逃せない。従来システム比で20倍の処理速度を発揮する“スーパーブレイン”に、最先端のセンサー、ソフトウェア、プロセッサー、モバイル通信技術を組み合わせ、同時にAIベースのアプローチで人間と車両のインタラクションを最適化する。具体的には、協調的なステアリング操作と世界初の協調的なブレーキ操作によって、共生的なアシストシステムを実現。機能としては、コーナーやラナバウト走行時でも自動で停車と発進を行なうハイウェイ&シティ・アシスタントや、駐車スペース検出と操車サポートを最適化した自動駐車機能、アクティブクルーズコントロール、スピードリミットインフォ、前車接近警告機能、レーンディパーチャーウォーニング、レーンチェンジウォーニング、ロードプライオリティウォーニング、イグジットウォーニング、アシステッドビューなどを採用している。

▲パワートレインとドライビングダイナミクス機能を高次元で融合したコントロールユニット「BMW Heart of Joy」をBMWの量産車として初採用。従来のコントロールユニットの最大10倍の情報処理能力を発揮するBMW Heart of JoyはBMWダイナミックパフォーマンスコントロールとの連携により、運転に関わるさまざまなプロセスを瞬時に制御する

▲パワートレインとドライビングダイナミクス機能を高次元で融合したコントロールユニット「BMW Heart of Joy」をBMWの量産車として初採用。従来のコントロールユニットの最大10倍の情報処理能力を発揮するBMW Heart of JoyはBMWダイナミックパフォーマンスコントロールとの連携により、運転に関わるさまざまなプロセスを瞬時に制御する

 なお、新型iX3の生産は本年10月下旬よりハンガリーのデブレツェン(Debrecen)に居を構える新工場にて開始予定。日本への導入は2026年夏以降を計画している。

▲新型iX3の生産は本年10月下旬よりハンガリーのデブレツェンに居を構える新工場にて開始予定

▲新型iX3の生産は本年10月下旬よりハンガリーのデブレツェンに居を構える新工場にて開始予定

 

 

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