フロンクスはスズキの世界戦略SUV。インド工場が生産を担当し、日本を含め世界各地で販売。高い評価を獲得している。魅力は圧倒的なコストパフォーマンス。最新技術を積極投入し、スタイリッシュで上質に仕上げたうえで価格は254万1000円(FF)。最新ナビや充実した安全装備が標準装備されているので、お買い得感は抜群だ。今回のテ―マは「300万円台のクルマ選び」だが、予算面で大きなアドバンテージが生まれる。浮いたお金で、豪華な海外旅行も楽しめる。フロンクスの場合、満足感の高いクルマを手にするだけでなく、自分磨きにも存分に予算を割ける。ラインアップはモノグレードで、FWDと日本専用の4WDが選べる。
エクステリアはヨーロッパをイメージしながら日本で練り、インドで仕上げたクーペフォルム。最近は意識的にシンプルに仕上げるモデルが主流だが、小さいながらも存在感がある。全長が4mを切っているとはとても思えない。
室内は、ブラック×ボルドーのちょっと渋めの2トーン配色。落ちついた中にも華やかさがあり、各部の質感は上々。とくにシートの作りは上質だ。スペースは後席、ラゲッジ空間を含め十分に広い。
パワートレーンは、自然吸気の1.5リッター・4気筒エンジン(FF:101ps/4WD:99ps)と6速トルコンATを組み合わせたマイルドHV。発進や再加速時にISG(モーター)がいい仕事をし、フラットなトルク特性のエンジンとあいまって、実に扱いやすい。格別にパワフルではないが、高速道路を含めて思いのままに走れる実力の持ち主である。静粛性もハイレベル。パワートレーン系の音は多少車内に伝わってくるが、足元や風切り音など車外から侵入する音はよく抑えられている。
クルマ好きにとっては、エンジンが4気筒で、CVTではなくトルコンATというのも魅力的。スポーツモードを選択すると、ATは3000rpm以上を積極的に使う制御に変化。使いやすいパドルシフトとともに、走りを楽しみたいドライバーの思いに応えてくれる。
ハンドリングは素直な印象。足回りの開発は日本のテストコースを主体に行い、それをインドで反映させたとのこと。ボディ剛性は高く、引き締まった足回りの効果で、しっかり路面を捉える骨太な走りが味わえる。FWDはキビキビとした軽快感が印象的。4WDは少しゴロゴロ感を感じた。
フロンクスは、本気で日本市場を意識して作り込まれている。売れ筋カテゴリーにスズキが送り込んだ意欲作は、実に魅力的だ。
クルマは魅力的だが、現在は残念な状況
ジムニー待望の5ドアモデル、ノマドは2025年1月の発表から4日で5万台の注文が殺到。現在は受注停止中。4月から納車がスタートしたが、現在注文している顧客の納車完了時期は不明だ。この7月からインド工場の体制が見直され、日本向けノマドの生産台数は月間3300台に拡大された。ところが8月現在、出荷停止が報告されている。その理由をメーカーは公式に説明していない。だが何らかの品質問題が生じていることは間違いない。早急な対応を期待したい。