【300万円台のクルマ選び】おしゃれ&質実剛健。VW Tクロスはドイツ車らしいしっかりとした仕立てが気持ちいい

TクロスはVWらしい質実剛健さと適度なおしゃれ感覚を融合したベストセラーSUV。価格は336万8000〜396万9000円。写真のTSIスタイルは中間グレード。リアウインカーは流れるデザイン

TクロスはVWらしい質実剛健さと適度なおしゃれ感覚を融合したベストセラーSUV。価格は336万8000〜396万9000円。写真のTSIスタイルは中間グレード。リアウインカーは流れるデザイン

毎日を心地よく過ごす。そのためのしっかり感を持っている

 VWのSUV、Tクロスは2019年に欧州デビュー。すでに世界累計販売台数が150万台を突破した人気モデルである。日本でもVWのベストセラーだ。

 価格はなかなか良心的。輸入車ながらスタート価格は336万8000円、全グレードが300万円台に収まる。ボディサイズも絶妙だ。スリーサイズは4140×1760×1580mm。日本の道路環境でも扱いやすく、かといって小さすぎない。Tクロスのサイズは、気軽に出掛けようという気分にさせる。ファーストカーとしてもセカンドカーとしてもピッタリのいい相棒である。

リア

インパネ

 実際にステアリングを握ると、なぜ選ばれているのかを実感する。まず走り出す前から、いい雰囲気を感じる。適度に重く、しっかりとした印象のドア開閉に始まり、VWらしい張りが心地いいシートにドイツ車を感じる。もちろんドライビングポジションは自然な設定で、アイポイントが高いため視界もワイドだ。Tクロスには、ドライバー、そしてパッセンジャーを優しく包み込む高い機能性と、絶妙な「いいもの感」がある。

 パワートレーンは、1リッターの直3DOHCターボ(116ps/200Nm)と7速DCTの組み合わせ。駆動方式はFFだ。とくに凝った面はないがメカニズムの完成度は高い。エンジンは高速道路を含めて必要十分以上のパワーを発揮。まさに思いのままに走れる。7速DCTはパドルを備え、アクティブなドライビングにも対応する。アクセルをあまり踏み込まない発進時こそ、もうちょっと加速を鋭くしてほしいと感じるが、それ以外は不満を覚えるシーンはない。WLTCモード燃費は17.0km/リッター。燃料タンク容量は40リッター確保され、航続距離は十分だ。

前シート

後シート

 ドライビングが楽しいと感じさせるポイントは、そのフットワークである。欧州で鍛え上げられただけに、スピードが上昇するほど安定感が増し、乗り味はフラットに変化。どこまでも走って行きたくなる。それでいて街中の乗り心地も優秀だった。試乗車はオプションの18インチタイヤを装着していたが、それをよく履きこなしていた。

 久しぶりに触れて、巧みな室内パッケージにも感心した。前席はもちろん、後席の居住性も優秀。どの席に座ってもくつろげ、着座姿勢が自然なため安心感が高い。ラゲッジスペースのアレンジ性も優秀である。後席にはスライド機能が与えられ、荷室容量は後席使用時で455リッター。6対4分割のシートバックを倒すと最大1281リッターに拡大する。
 Tクロスは、VWのまじめさが凝縮した仕立てのいいSUV。乗るほどに生活に寄り添い、ライフスタイルが広がる優等生である。

メーター

真横

エンブレム

諸元

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