ハイブリッド版のフィアット600の内外装はBEV版と基本的に共通。写真のラ・プリマ・グレードの価格は419万円だが導入記念として600台を398万円で販売中。ベース車は365万円。ボディカラーはシーグリーンを含めた全4色
600(セイチェント)は新世代フィアットの代表だ。2024年9月に登場したBEV版は、チャーミングなルックスで注目されたものの、600万円近い価格がネックだった。その後、ステランティス内で価格戦略の見直しがあり、600eは値下げされた(555万円〜)ほか、タイミングよく追加されたハイブリッド仕様は365万円〜と、買い得感のあるプライスが与えられた。
600ハイブリッドは、1.2リッターターボ(136ps)とモーター(16ps)を組み合わせた48VマイルドHV。WLTCモード燃費は23.2km/リッターと、クラストップレベルを誇る。「かわいい顔して、しっかりモノ」と自ら謳っているとおり、まるでパイクカーのようなルックスは誰の目にもかわいらしく映り、中身も充実している。
特徴的なスタイリングには、1955年に発売された初代600や現行の500eを彷彿させる要素が随所に散りばめられている。インテリアの雰囲気も独特。2本スポークステアリング、丸型メータークラスター、楕円形のダッシュボードパネルなど、初代600に由来するデザインが多用された。前後とも質感の高いレザーシートにロゴがびっしりと刺繍されているのも目を引く。こうしたところにこだわっているのはさすがだと思う。
600は使い勝手もいい。後席の居住スペースが十分に確保されているほか、荷室は通常時の385リッターから最大1256リッターまで拡大でき、さらに15リッターの大容量センターコンソールをはじめ車内には計30リッターもの収納スペースが設けられていて重宝する。500に興味があったが、500はドアが2枚で車内や荷室が狭いこと、走りがギクシャクすることから断念したという人も、600なら積極的に勧められる。
走りもなかなかの実力の持ち主だ。第一印象としては、すべてがいい意味で軽い。出足の加速が軽やかで、ステアリングも軽く回頭性も俊敏。クルマ全体が生き生き軽快に感じられる。
走行状況によっては最大約30km/hまで100%電気のみで走行可能で、市街地を走ると思った以上に電動感を味わうこともできた。
日本車にもデザインのユニークなクルマはあるが、ここまで思い切ったクルマはなかなかない。輸入車に壁を感じている人もいるだろうが、600なら装備や走りは安心。価格も手ごろ。初めの一歩として、大いに注目したいモデルだ。きっといままでとは違う生活がスタートするに違いない。