【最新モデル試乗】ニュル北コース最速BEV、タイカン・ターボGTの最高の加速と圧巻のブレーキを体感。さすがはポルシェ!

ポルシェ・タイカン・ターボGT/価格:3144万円。ターボGTはニュル最速を誇る1034ps/1240NmのハイスペックBEV。アタックモードでは120kWのパワーブーストを実現。この機構にはフォーミュラEマシンの技術がフィードバックされている

ポルシェ・タイカン・ターボGT/価格:3144万円。ターボGTはニュル最速を誇る1034ps/1240NmのハイスペックBEV。アタックモードでは120kWのパワーブーストを実現。この機構にはフォーミュラEマシンの技術がフィードバックされている

BEVでもポルシェのスポーツ哲学が息づく

 BEVのスーパースポーツをリードするポルシェ・タイカンのラインアップは増殖している。現在ボディタイプは標準仕様とクロスツーリスモの2種があり、各々に出力違いのパワーソースが搭載される。BEVの場合、内燃機関と違って出力もしくは0→100km/h加速のタイムでその特性を表すのが一般的だ。

 そんな中で「ほぼトップエンド」に当たるモデルのステアリングを握った。タイカン・ターボGTである。このクルマは昨年3月に日本で予約受注が開始された。ただ、その前からグローバルで話題を集めていたので、気になっていた読者もいらっしゃるだろう。

2 台並び

 というのも、ターボGTはそれまでニュルブルクリンク最速の4ドアセダンだったタイカン・ターボSスポーツセダン・パフォーマンスパッケージの記録を塗り替えたからだ。従来の記録を26秒も短縮した7分7秒55のレコードタイムを叩き出したのはターボGTヴァイザッハパッケージ。ターボGTを軽量化したモデルである。「ほぼトップエンド」と記載したのはそこ。
 ヴァイザッハパッケージのほうが試乗車より0→100km/h加速は0.1秒速く、最高速度は15km/h上回っている。

 それはともかく、ターボGTの最高出力は1034psに達する。最近は最大トルクが4桁のクルマが増えてきたが、こちらはパワーも4桁である。最大トルクは1340Nmで、0→100km/h加速は2.3秒、最高速度は290km/hに達する。それでいて最大航続距離555kmは立派だ。

リア走り

室内

 といったウルトラスーパーなクルマを岡山国際サーキットで走らせた。2周弱だが1周にストレートが2本あるので、免許がなくなる心配なくアクセルを踏める機会が3回あった。

 で、その加速は文字どおりのウルトラ級。アクセルオンで体がシートに明確に押し付けられる。BEVの特性を最大限に活かした遠慮のない味付けだ。景色が流れるサマは、まさにワープ状態。と同時に、コーナー手前ではブレーキパフォーマンスの高さに驚いた。標準装備のセラミックブレーキは強力で、グイッとローターを力強く掴みパワーを抑え込む。

 かつて「ポルシェはブレーキ」とよくいわれていたが、それを思い出した瞬間だ。
 このブレーキシステムはこれまでのポルシェセラミックコンポジットブレーキを最適化したもの。ディスクチャンバーとキャリパーハウジングを再設計し、2kg以上軽くしている。よって、それがバネ下の軽量化に繋がり、ブレーキング後のハンドリングにいい影響を与えているのも注目だ。
 この手のクルマは強烈な加減速に気を取られがちだが、ハンドリングもしっかり躾けられているのがミソだ。

エアダム

ホイール

 ほんの数分の試乗だったが、タイカンターボGTの基本性能が少しわかった気がした。このクルマにはポルシェが培ってきたモータースポーツのノウハウがふんだんに注ぎ込まれている。ポルシェのBEVはサーキットでこそ実力を発揮するのかもしれない。

エンブレム

諸元

九島さん

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