レクサスLCは、2012年初頭の北米デトロイト・モーターショーに出品され、世界中から絶賛されたコンセプトカー、LF-LCの市販版である。量産不可能と言われた鮮烈なデザイン実現ためプラットフォームから新開発された意欲作だ。
LCというネーミングには「ラグジュアリークーペ」とともに、グローバルなプレミアムブランドへの飛躍を目指した“レクサス・チャレンジ”の意味が込められている。開発責任者は、現トヨタ自動車社長の佐藤恒治氏が務めた。
市販車はクーペが2017年、今回の主役のコンバーチブルは4年後の2021年に登場した。コンバーチブルのルーフはハイエンドオープンの主流であるソフトトップ。トップのクロス材質と構造が進化した現在では、クーペと遜色ない耐候性が実現でき、システムが複雑なリトラクタブルハードトップ(RHT)よりデザイン性を追求できるからだ。
4層構造のLCのソフトトップは見事。オープン時にはトップが完全に収納されてクリーンなロードスタースタイルとなり、クローズド時もクーペと遜色のない美しさを実現する。走行中でも50km/h以下であれば操作でき、開閉に要する時間はわずか15秒。急な雨降りにも対処できる。
動的パフォーマンスにも注意を払った。ルーフを取り払ったことによる走りのネガを最小限に抑えるために、各種ブレースを追加している。ライドフィールは高級コンバーチブルと呼ぶにふさわしい。クローズド状態はもちろん、オープン時でもボディはみしりともいわず、路面段差を滑らかにいなす。開けても閉めてもクーペと同等の走りをみせる。
いまや絶滅危惧種ともいえる5リッター・V8・NA(477ps/540Nm)の心躍るサウンドを全身に浴びながらのドライブはたまらない。
内燃機関の音とフィールをいまのうちに思い切り楽しんでおきたい……。
そんな思いを抱いているユーザーにぴったりのオープンクルーザーである。