メルセデスEクラス、ディーゼル式プラグインハイブリッド登場

欧州ではピュアEV(BEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)中心に、クルマの電動化が推進中。強化される排出ガス規制と、規制値に達しなかった場合の罰則を回避するために、各社は排出ガスゼロにカウントされるBEVとPHEVの開発に力を入れている。メルセデス・ベンツE350deは、ディーゼルエンジンとプラグインハイブリッドを組み合わせている。満充電で約50km走れる性能を持ち、ディーゼル主体の走りに転換してもスムーズな性能が楽しめると、岡崎さんはレポートしている。

いま買える、近未来サルーン

2020年6月号岡崎コラム用.jpg▲メルセデス・ベンツE350deアバンギャルド・スポーツ

 近い将来にマトを絞れば、最も現実的で、かつ魅力あるパワートレーンはPHEVだとボクは考えている。そんな思いを改めて強くしたのが、メルセデス・ベンツE350de。日本初登場のクリーンディーゼル搭載PHEVだ。

 ターボ過給の2リッター直4ディーゼルは194ps/400Nm、モーターは122ps/440Nmを引き出す。システム全体では306ps/700Nmと強力だ。搭載するバッテリーは13.5kW。

 満充電なら平均50km程度のEV走行が可能。自宅で充電(家庭用200V普通充電器)できれば、苦労せずに日常の多くをEVとして使える。

 EV領域の走りは力強く活発。通常の流れに乗るレベルなら、ハイウェイを含めてエンジンに助けを求める場面は非常に少ない。

 HVモードではエンジンが始動と停止を頻繁に繰り返すが、実に滑らか。モーター駆動、エンジン駆動、エンジン+モーター駆動の切り替わりは意識していないと、ほとんど気づかない。高度で洗練されたマナーを身に付けている。4気筒ディーゼルの質感もまた同様。エンジンを回せばそれなりの音は出るものの、ディーゼルとは感じさせない。防音・防振対策は万全といえる。

 E350deの走りは、あらゆる領域で滑らかであり、静かであり、強力であり、洗練されている。

 身のこなしも素晴らしい。ドライバーの潜在意識に寄り添い、それを超えない「メルセデス流の動き」は、高い安全性と安心感をもたらす。そして、ワインディングロードでは、余裕を持って高いアベレージを引き出してもくれる。

 乗り心地もいい。ドッシリしていて、粗さを感じさせるような角はない。上質である。あえて弱点を探すと、バッテリーに一角を占有され容量が狭くなったトランクスペースくらいだ。

 E350deは近未来を感じさせるクオリティサルーンの筆頭である。

メルセデス・ベンツE350de

グレード:アバンギャルド・スポーツ
価格:9SAT 875万円
寸法・重量:全長×全幅×全高4950×1850×1475mm ホイールベース2940mm 車重2080kg
エンジン:1949cc直4DOHC16Vディーゼルターボ 143kW(194ps)/3800rpm/400Nm(40.8kgm)/1600〜2800rpm モーター:90kW(122ps)/440Nm(44.9kgm)
EV走行換算距離: 50km(欧州参考値)
WLTCモード燃費:15.9km/リッター
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:フロント:245/45R18/リア:275/40R18
駆動方式:FR 
乗車定員:5名

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