ピレリが世界初FSC認証タイヤを開発。認定された天然ゴムとレーヨンを使用したピレリP ZEROタイヤがBMWX5 プラグイン・ハイブリッドに装着

 ピレリは、BMW X5 xDrive45eプラグイン・ハイブリッド用に開発したタイヤで、世界で初めてFSC認証(Forest Stewardship Council)を取得したタイヤの量産化に成功した。このタイヤは、FSC認証を受けた天然ゴムとレーヨンを使用しており、持続可能性(サスティナビリティ)をさらに高めた新境地を切り開く象徴的な位置付けとなる。

▲FSC認定のピレリP ZEROタイヤが、BMW X5 xDrive45eプラグイン・ハイブリッド用に装着
▲FSC認定のピレリP ZEROタイヤが、BMW X5 xDrive45eプラグイン・ハイブリッド用に装着

 タイヤの材料は大きく分けて「原料ゴム」 「タイヤコード」 「補強材」「ビードワイヤー」「配合剤」で構成されており、100種類を超える原材料で出来ている。

その中の原料ゴムとなる部分の多くに天然ゴムが使われているのをご存じだろうか。天然ゴムは、ゴムの木の樹液を加工したもので天然資源で1本から約30年採取が可能で、転がり抵抗も低いことから環境に優しいゴムとして近年使用比率が増加している。

▲天然ゴムの原材料となるゴムの木の樹液を採取している様子
▲天然ゴムの原材料となるゴムの木の樹液を採取している様子

 FSC(Forest Stewardship Council)認証は環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林からの製品を目に見える形で消費者に届け、それにより経済的利益を生産者に還元する仕組みだ。複雑なFSC CoC認証プロセスでは、農園からタイヤメーカーまでの原材料のサプライチェーンにおいて、FSC認証を取得した原料と、そうでない原料は別々に管理されていることを証明する必要がある。

この、世界で初めて、FSC認証を取得した天然ゴムおよびFSC認証を受けた農園から供給されたレーヨンを使用したピレリP ZEROタイヤが、BMW X5 xDrive45eプラグイン・ハイブリッドに採用された。サイズはフロント275/35R22、リア 315/30R22となる。

▲BMW X5 xDrive45eプラグイン・ハイブリッド
▲BMW X5 xDrive45eプラグイン・ハイブリッド

 電動化された第2世代の BMW X5は、直列6気筒の3リッターで BMW TWINPowerターボエンジンを搭載し、第四世代のBMW eDriveを兼ね備えている。このプラグイン・ハイブ
リッドのパワートレインの出力は290 kW/394馬力、最大トルク600Nm、また電力消費率レンジは 77〜88km(WLTP)だ。BMWグループは、BMW X5 xDrive45eに対して、原材料調達、サプライチェーン、製造、エンドユーザーの使用から、リサイクルに至るまでの製品ライフサイクルに対して、CO2の認証を行った。

▲FSC認証を表すの刻印
▲FSC認証を表すの刻印

 このP ZEROは、ピレリの「パーフェクトフィット戦略」に沿って、BMWがこの人気車種に求める性能要求を満たしつつ、ハイブリッド車としての「グリーン(環境)」哲学に貢献するよう設計されている。この新しいタイヤは、ピレリの米国ジョージア州ローマ工場のみでの生産となり、低転がり抵抗の欧州ラベルで「A」を満たし、燃費の向上や
有害物質の排出削減といった環境面でのサスティナビリティを狙った性能を持っている。これに加えて低騒音のため、環境にとってさらにメリットがある。

 今回、BMW X5 PHV 用 P ZEROに使用されている天然ゴムが、FSC認証を取得した農園から調達されたことで、ピレリが長年取り組んできた天然ゴムのサプライチェーンに対するサスティナブルな管理に向けた新たな一歩を踏み出すことができたという。この活動は、2017年に発行された「Pirelli Sustainable Natural Rubber Policy」に含まれる原則と価値観に沿って行われ、原料の原産国におけるトレーニングと成功事例の共有に基づいたロードマップによって達成される。この文書は、国際 NGO、ピレリの主な天然ゴムサプライヤー、サプライチェーン内の生産者や取引業者、自動車メーカーのカスタマー、多国間の国際機関など、天然ゴムのバリューチェーンにおける主要なステークホルダーとの協議によってもたらされたものだ。

▲また、ピレリは、サスティナブルな天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(GPSNR)の創設メンバーでもある。このマルチステークホルダー・プラットフォームは、サプライチェーン全体に利益をもたらし、世界中の天然ゴムビジネスのサスティナブルな発展を支援することを目的として、2018 年に創設された
▲また、ピレリは、サスティナブルな天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(GPSNR)の創設メンバーでもある。このマルチステークホルダー・プラットフォームは、サプライチェーン全体に利益をもたらし、世界中の天然ゴムビジネスのサスティナブルな発展を支援することを目的として、2018 年に創設された

■ピレリのシニア・ヴァイスプレジデントで Sustainability and Future Mobility 責任者のジョバンニ・トロンケッティ・プロヴェーラ氏 コメント
「サスティナブルなモビリティは、何よりも、原材料から始まります。世界初の FSC 認証タイヤによって、ピレリは再び、ますます困難なサスティナビリティの観点で目標を追求するというコミットメントを示しました。これは、革新的な素材と最先端の生産プロセスを絶えず追求していくことの証です。私たちは、地球のサスティナブルな成長のために投資を続け、それが私たちのビジネスの将来にとっても不可欠であることを認識しています」

■BMW AG 役員で、調達およびサプライヤーネットワークの責任者の アーンドレーウス・ウェント氏 コメント
「プレミアムメーカーとして、私たちはサスティナビリティをリードし、その責任を果たすことを望んでいます。私たちは、2015年からサプライヤーネットワークの透明性を向上させ、天然ゴム栽培を改善することに尽力してきました。認証を取得した天然ゴムを使用したタイヤを採用することは、業界における先進的な成果であると言えます。このようにして、私たちは生物多様性と森林を保全することで気候変動を防ぐことにも貢献できます」

■FSC国際事務局のチーフマーケットオフィサー ジェレミー・ヘリソン氏のコメント
「今回発表されたピレリのFSC認証タイヤは、天然ゴムバリューチェーン全体に経済、社会、環境的な恩恵をもたらす歴史的な出来事です。特に天然ゴムのサスティナビリティという課題に対して重要な意味を持っています。私たちは、天然ゴムを小規模事業者から市場へ供給する透明性のあるバリューチェーンを実現し、責任のある調達を行ったピレリを祝福したいと思います。また、FSC認証タイヤの開発をサポートし、自社の最新モデルへの採用を決定した BMWグループにも拍手を送りたいと思います。これは、サスティナブルな天然ゴムのバリューチェーンに向けての大きな前進と考え、森林伐採を減らし、気候変動に立ち向かうための戦いを支援するものと考えます。私たちは、このケースで示されたサスティナビリティ・リーダーシップを称賛するとともに、業界全体に広く変革をもたらすことを期待しています」

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