最高出力680psを発生する4リットルV8ツインターボエンジンを搭載したアストンマーティン・ヴァンテージSがデビュー

アストンマーティンが高性能スポーツカーのヴァンテージにハイパフォーマンスモデルの「ヴァンテージS」を設定。4リットルV8ツインターボエンジンの最高出力は既存のヴァンテージ比で15psアップの680psを発揮し、シャシーの強化やエアロダイナミクスの向上も実施。ボディタイプはクーペとロードスターをラインアップ

 英国のアストンマーティンは2025年7月9日(現地時間)、高性能スポーツカーのヴァンテージ(Vantage)のハイパフォーマンスモデル「ヴァンテージS(Vantage S)」を発表した。

▲アストンマーティン・ヴァンテージS 全長4495×全幅1980×全高1275mm ホイールベース2705mm 車重1745kg(EU装備重量) 乗車定員2名 最高速度325km/h 0→100km/h加速3.4秒 写真のボディカラーはサテンキセノングレー

▲アストンマーティン・ヴァンテージS 全長4495×全幅1980×全高1275mm ホイールベース2705mm 車重1745kg(EU装備重量) 乗車定員2名 最高速度325km/h 0→100km/h加速3.4秒 写真のボディカラーはサテンキセノングレー

 ヴァンテージSの最大のトピックは、動力性能のさらなる向上にある。フロントミッドに搭載する3982cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボエンジンは、ソフトウェアおよびドライブ・バイ・ワイヤ・スロットルマップのセッティング変更やペダル剛性の強化などを実施。最高出力は既存のヴァンテージ比で15psアップの680ps/6000rpm、最大トルクは同数値の800Nm/2000~5000rpmを発生する。一方でトランスミッションには、キャリブレーションの最適化を図ったZF製の8速ATをリアミッドに配置。駆動系にはカーボンファイバー製プロペラシャフト付きアロイトルクチューブと電子制御デフのE-Diffを組み込む。性能面では、0→100km/h加速が既存のヴァンテージより0.1秒速い3.4秒、最高速度が同数値の325km/hを成し遂げた。

▲フロントミッドに搭載する3982cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボエンジンはソフトウェアおよびドライブ・バイ・ワイヤ・スロットルマップのセッティング変更やペダル剛性の強化などを実施。最高出力は680ps/6000rpm、最大トルクは800Nm/2000~5000rpmを発生

▲フロントミッドに搭載する3982cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボエンジンはソフトウェアおよびドライブ・バイ・ワイヤ・スロットルマップのセッティング変更やペダル剛性の強化などを実施。最高出力は680ps/6000rpm、最大トルクは800Nm/2000~5000rpmを発生

 前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式のサスペンションで構成するシャシーの強化にも抜かりはない。ビルシュタイン製DTXアダプティブダンパーのハードウェアチューニングとソフトウェアキャリブレーションの変更により、フロントエンドの応答性をレベルアップ。また、リアスプリングを変更して圧縮とリバウンドのバランスを見直す。さらに、トランスミッションマウントの剛性をリセッティングしてパワートレインの動きを抑制した。そして、リアサブフレームの取り付けをラバーブッシュからボディ直接取り付けに刷新して、ねじり剛性を5%高める。これらのリファインの効果を最大化するために、サスペンションのキャンバー、トー、キャスターの設定も変更した。一方、シューズについては21インチ 5スポークデザイン鍛造アロイホイール(グロスシルバー)を標準で採用し、オプションで21インチ Yスポークデザイン鍛造アロイホイール(ブラック)を設定。タイヤはヴァンテージ専用開発の“AML”コードを付けた前275/35/後325/30ZR21サイズのミシュランPilot Sport S5を組み込む。制動機構にはドリルド加工を施した前・鋳鉄製Φ400×36mmディスク+6ピストンキャリパー/後・鋳鉄製Φ360×32mmディスク+4ピストンキャリパー(キャリパーは前後ともにブロンズ塗装)を標準装備。オプションとして、カーボンセラミックブレーキ(CCB)を設定している。

▲ビルシュタイン製DTXアダプティブダンパーのハードウェアチューニングとソフトウェアキャリブレーションの変更により、フロントエンドの応答性を向上。また、リアサブフレームの取り付けをラバーブッシュからボディ直接取り付けに変更して、ねじり剛性を5%高める

▲ビルシュタイン製DTXアダプティブダンパーのハードウェアチューニングとソフトウェアキャリブレーションの変更により、フロントエンドの応答性を向上。また、リアサブフレームの取り付けをラバーブッシュからボディ直接取り付けに変更して、ねじり剛性を5%高める

▲足もとには21インチ 5スポークデザイン鍛造アロイホイールを標準で採用し、オプションで21インチ Yスポークデザイン鍛造アロイホイール(写真)を設定。タイヤはヴァンテージ専用開発の“AML”コードを付けた前275/35/後325/30ZR21サイズのミシュラン Pilot Sport S5を組み込む

▲足もとには21インチ 5スポークデザイン鍛造アロイホイールを標準で採用し、オプションで21インチ Yスポークデザイン鍛造アロイホイール(写真)を設定。タイヤはヴァンテージ専用開発の“AML”コードを付けた前275/35/後325/30ZR21サイズのミシュラン Pilot Sport S5を組み込む

▲制動機構にはドリルド加工を施した前・鋳鉄製Φ400×36mmディスク+6ピストンキャリパー/後・鋳鉄製Φ360×32mmディスク+4ピストンキャリパー(キャリパーは前後ともにブロンズ塗装)を標準装備。オプションとしてカーボンセラミックブレーキ(写真)を設定

▲制動機構にはドリルド加工を施した前・鋳鉄製Φ400×36mmディスク+6ピストンキャリパー/後・鋳鉄製Φ360×32mmディスク+4ピストンキャリパー(キャリパーは前後ともにブロンズ塗装)を標準装備。オプションとしてカーボンセラミックブレーキ(写真)を設定

 エクステリアについては、新設計のボンネットブレードやフロントスプリッター、“ASTON MARTIN”ロゴ入りサイドストレーキ、フレームレスのドアミラー、格納式のドアハンドル、デッキリッドスポイラー、リアディフューザーなどを配して空力性能を向上。素材は2×2ツイルカーボンファイバーまたはグロスブラックの仕上げが選択できる。また、赤のガラスエナメル“S”バッジを左右のフロントフェンダーに配備。ライティングにはマトリックスLEDヘッドランプおよび6つのブロックからなるLEDデイタイムランニングライト(DRL)や、グリルに呼応した造形のLEDリアコンビネーションランプ、ドア一体型パドルライトを採用し、合わせてクアッドエキゾーストテールパイプにはブライトクローム処理を施した。ボディサイズは全長4495×全幅1980×全高1275mm/ホイールベース2705mm/トレッド前1665×1655mmに設定。車重はクーペで1745kg(EU装備重量)に仕上げている。

▲新設計のボンネットブレードやフロントスプリッター、フレームレスのドアミラー、格納式のドアハンドル、リアディフューザーなどを配して空力性能を向上。素材は2×2ツイルカーボンファイバーまたはグロスブラックの仕上げが選択可

▲新設計のボンネットブレードやフロントスプリッター、フレームレスのドアミラー、格納式のドアハンドル、リアディフューザーなどを配して空力性能を向上。素材は2×2ツイルカーボンファイバーまたはグロスブラックの仕上げが選択可

▲エンジンの熱を効果的に逃がすボンネットブレードを設定

▲エンジンの熱を効果的に逃がすボンネットブレードを設定

▲“ASTON MARTIN”ロゴ入りサイドストレーキを配備。フロントフェンダーには“S”バッジを装着

▲“ASTON MARTIN”ロゴ入りサイドストレーキを配備。フロントフェンダーには“S”バッジを装着

▲ボディ幅いっぱいに広がるデッキリッドスポイラーを装備

▲ボディ幅いっぱいに広がるデッキリッドスポイラーを装備

 内装に関しては、既存のヴァンテージと同様に極上のアーキテクチャーラインや最新のインフォテインメントシステムおよびコネクティッド機能を採用したうえで、アルカンターやレザー、カーボンファイバーの新しい組み合わせによる独特の“S”インテリアに仕立てたことがトピック。専用装備としては、アルカンターラのトリムやヘッドライニング、アルカンターラ巻きのステアリングホイール、ビレッドアルミニウムのレッドアルマイト仕上げロータリーダイヤル、レッド仕上げのコントラストステッチ/コントラストウェルト/シートベルト/ヘッドレスト刺繍などを配備する。オプションでSヘリンボーンキルティング、ベンチレーテッドシート、レザーアップグレードなどを選択可能とした。また、新しいアノダイズドアルミニウム製シルプラークにはシルバーまたはブラックにエッチングされたSグラフィックを施す。先進機能として多様な情報表示と操作を司る10.25インチTFTタッチスクリーンセンターディスプレイおよび10.25インチTFTドライバーインフォメーションディスプレイ、Apple CarPlay Ultra、アストンマーティン・オーディオシステム(360W、11スピーカー)、3Dマッピングと衛星ビューテクノロジーを備えるとともにOTAアップデートを備えた新世代のインフライト・インフォテインメントシステム、スマートフォンとの連携を強化したコネクティッドシステムなどを採用した。一方、シートについてはSロゴを刺繍したカーボンファイバー骨格のアルカンターラ表皮パフォーマンスシートを装着。オプションとして、アストンマーティンのウイングロゴを3Dエンボス・デボス加工技術で刻印した“スカルプテッド・ヘッドレスト”を用意している。

▲アルカンターやレザー、カーボンファイバーの新しい組み合わせによって独特の“S”インテリアを創出

▲アルカンターやレザー、カーボンファイバーの新しい組み合わせによって独特の“S”インテリアを創出

▲アルカンターラ巻きのステアリングホイールを装着

▲アルカンターラ巻きのステアリングホイールを装着

▲フローティングセンターコンソールにはカーボンファイバーパネルを設定

▲フローティングセンターコンソールにはカーボンファイバーパネルを設定

▲ビレッドアルミニウムのレッドアルマイト仕上げロータリーダイヤルを装備

▲ビレッドアルミニウムのレッドアルマイト仕上げロータリーダイヤルを装備

▲Sロゴを刺繍したカーボンファイバー骨格のアルカンターラ表皮パフォーマンスシートを装着。オプションとして“スカルプテッド・ヘッドレスト”を用意

▲Sロゴを刺繍したカーボンファイバー骨格のアルカンターラ表皮パフォーマンスシートを装着。オプションとして“スカルプテッド・ヘッドレスト”を用意

 なお、ヴァンテージSは現在注文可能で、ユーザーへの納車は本年第4四半期に開始する予定。日本での車両価格はクーペが2760万円、ロードスターが2930万円に設定している。

 

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