跳ね馬のFRベルリネッタ・シリーズの系譜に新たなページを刻む最新“2+”クーペ「フェラーリ・アマルフィ」がワールドプレミア

フェラーリがローマの実質的な後継モデルとなる新世代“2+”クーペ「アマルフィ(Amalfi)」を発表。パワートレインには最高出力640psを発生する進化版の3.9リットルV8ツインターボエンジンに、専用セッティングの8速DCTを組み合わせて搭載。内外装はよりモダンでエレガントなデザインに刷新し、先進機能装備の大幅アップデートも実施。車両価格は24万ユーロ(約4100万円)~に設定

 伊フェラーリは2025年7月1日(現地時間)、新世代のFR(フロントエンジン・リアドライブ)クーペモデル「アマルフィ(Amalfi)」の詳細を発表した。

▲フェラーリ・アマルフィ 全長4660×全幅1974×全高1301mm ホイールベース2670mm トレッド前1652/後1679mm 乾燥重量1470kg 従来のローマの実質的な後継モデルで、跳ね馬のFRベルリネッタ(クーペ)シリーズの系譜に新たなページを刻む新世代の“2+”クーペ

▲フェラーリ・アマルフィ 全長4660×全幅1974×全高1301mm ホイールベース2670mm トレッド前1652/後1679mm 乾燥重量1470kg 従来のローマの実質的な後継モデルで、跳ね馬のFRベルリネッタ(クーペ)シリーズの系譜に新たなページを刻む新世代の“2+”クーペ

 従来のローマの実質的な後継モデルで、跳ね馬のFRベルリネッタ(クーペ)シリーズの系譜に新たなページを刻む最新“2+”クーペのアマルフィは、パワートレインの改良や内外装の刷新、先進機能装備の大幅アップデートなどを実施して、コンテンポラリーなスポーティクーペの概念を再定義したことが特徴である。なお、車名のアマルフィはイタリア南部の海岸名で、ユネスコ世界遺産にも登録されている名勝地に由来している。

▲車名のアマルフィはイタリア南部の海岸名で、ユネスコ世界遺産にも登録されている名勝地に由来。写真のボディカラーはアマルフィ海岸の海の反射をイメージさせる鮮やかなティールグリーンのヴェルデ コスティエラ

▲車名のアマルフィはイタリア南部の海岸名で、ユネスコ世界遺産にも登録されている名勝地に由来。写真のボディカラーはアマルフィ海岸の海の反射をイメージさせる鮮やかなティールグリーンのヴェルデ コスティエラ

 フラビオ・マンゾーニ氏が率いるフェラーリ・スタイリング・センターのチームが手がけたエクステリアは、フロント・ミッドマウントのV8エンジンを搭載した“2+”クーペ・ベルリネッタの原型を新たに解釈し、伝統と革新を融合させたデザイン言語により、マラネッロ・ブランドの美的基準を進化させたことが訴求点である。基本フォルムは、なめらかでモノリシックな発展型のスピードフォルムで構成。全面刷新のボディ面はミニマリストのアプローチで処理され、シャープなラインと幾何学的なボリュームが彫刻的でまとまりのあるボディを定義する。ボディサイズは従来のローマ比で4mmほど長く、それ以外は同寸の全長4660×全幅1974×全高1301mm/ホイールベース2670mmに設定。車重は乾燥重量で1470kgに仕上げた。

▲フェラーリ・スタイリング・センターのチームが手がけたエクステリアは、フロント・ミッドマウントのV8エンジンを搭載した“2+”クーペ・ベルリネッタの原型を新たに解釈し、伝統と革新を融合させたデザイン言語により、マラネッロ・ブランドの美的基準を進化させたことが特徴

▲フェラーリ・スタイリング・センターのチームが手がけたエクステリアは、フロント・ミッドマウントのV8エンジンを搭載した“2+”クーペ・ベルリネッタの原型を新たに解釈し、伝統と革新を融合させたデザイン言語により、マラネッロ・ブランドの美的基準を進化させたことが特徴

 各部のデザインにも徹底してこだわる。フロント部は、伝統的なグリルレスの先端に、より純粋なシャークノーズとシャープな造形のLEDヘッドランプ、ダークな埋め込み式バンドの上に浮かぶボディ同色のウィング、整流効果を高めるスプリッターなどを配備して、いっそう精悍でスポーティなマスクを創出。一方でサイドビューは、ボディ面に沿って走るセンターのキャラクターラインや格納式のフラッシュドアハンドル、ボリューム感あふれるフェンダー、流麗な弧を描くルーフラインなどを採用して、スマートかつ存在感あふれるフォルムを実現する。足もとには新デザインの20インチアロイホイールと前245/35/後285/35R20サイズの専用タイヤ(銘柄はピレリP ZEROまたはブリヂストンPOTENZA SPORT)を装着した。そしてリアセクションは、コンパクトでミニマリストな形状としたうえで、グラフィックカットに組み込んだ新造形のLEDツインテールランプや、スポイラーと融合させたリアスクリーン、ワイドで機能的なディフューザーなどを装備して、力強く、かつオリジナリティあふれる後ろ姿に仕立てる。ボディカラーにアマルフィ海岸の海の反射をイメージさせる鮮やかなティールグリーンのヴェルデ コスティエラ(Verde Costiera)を採用したことも、デザイナーがこだわった部分だ。

▲フロント部には伝統的なグリルレスの先端に、より純粋なシャークノーズとシャープな造形のLEDヘッドランプ、ダークな埋め込み式バンドの上に浮かぶボディ同色のウィング、整流効果を高めるスプリッターなどを配備

▲フロント部には伝統的なグリルレスの先端に、より純粋なシャークノーズとシャープな造形のLEDヘッドランプ、ダークな埋め込み式バンドの上に浮かぶボディ同色のウィング、整流効果を高めるスプリッターなどを配備

▲サイドビューにはボディ面に沿って走るセンターのキャラクターラインや格納式のフラッシュドアハンドル、ボリューム感あふれるフェンダーなどを採用

▲サイドビューにはボディ面に沿って走るセンターのキャラクターラインや格納式のフラッシュドアハンドル、ボリューム感あふれるフェンダーなどを採用

▲リアセクションはコンパクトでミニマリストな形状としたうえで、グラフィックカットに組み込んだ新造形のLEDツインテールランプや、スポイラーと融合させたリアスクリーン、ワイドで機能的なディフューザーなどを装備

▲リアセクションはコンパクトでミニマリストな形状としたうえで、グラフィックカットに組み込んだ新造形のLEDツインテールランプや、スポイラーと融合させたリアスクリーン、ワイドで機能的なディフューザーなどを装備

 内包するインテリアは、ドライバー側とパッセンジャー側を別々の空間で演出するデュアルコクピットの“セル”構造の理念をいっそう進化させたうえで、アップデートした最新のデジタルインターフェースを積極的に採用したことがトピックである。コクピットにはすべてのドライビングおよびビークルダイナミクス情報を提供するフルデジタルの15.6インチインストルメントクラスター、センターにはドライバーと同乗者の両方がマルチメディア、オーディオ、電話、スクリーンミラーリング、クライメートコントロール、シート調整、車両設定などの主要機能にアクセスできる10.25インチの静電容量式タッチスクリーン、助手席側にはオーディオなどのほかGフォースやエンジン回転数などのパラメーターを表示する8.8インチのパッセンジャーディスプレイを配備。新造形のステアリングには、左側にアイコニックなアルミニウム製のスタートボタンが復活し、合わせてスポークにADASコントロールやアダプティブクルーズコントロール、音声コマンドなどの機能を、右側スポークにはディスプレイビューやワイパー、インジケーターのセレクターを配備する。裏側にはボリュームとステーションの選択を管理する2つの回転式ダイヤルを配置した。一方でダッシュボードには、インストルメントクラスターとエアベントが1つのブロックに融合したモノリシックレイアウトを初採用。また、アルマイト処理したアルミニウムのブロックから削り出したセンターコンソールはフローティングタイプでアレンジし、ギアセレクターゲートやキースロット、ワイヤレス充電パッド、セカンダリコントロールなどの機能要素を効率的に収容した。

 インテリアのカラーパレットは、スポーティさを強調する素材と色の組み合わせで構成。ローンチエディションには鮮やかなグリーンのヴェルデ ベラージオ(Verde Bellagio)を採用する。さらに、オプションとして1200W/14基スピーカーで構成する専用チューニングのBurmesterプレミアムサウンドシステムを設定した。

▲ドライバー側とパッセンジャー側を別々の空間で演出するデュアルコクピットの“セル”構造の理念をいっそう進化させたうえで、アップデートした最新のデジタルインターフェースを積極的に採用。コクピットにはフルデジタルの15.6インチインストルメントクラスター、センター部には10.25インチの静電容量式タッチスクリーン、助手席側には8.8インチのパッセンジャーディスプレイを配備

▲ドライバー側とパッセンジャー側を別々の空間で演出するデュアルコクピットの“セル”構造の理念をいっそう進化させたうえで、アップデートした最新のデジタルインターフェースを積極的に採用。コクピットにはフルデジタルの15.6インチインストルメントクラスター、センター部には10.25インチの静電容量式タッチスクリーン、助手席側には8.8インチのパッセンジャーディスプレイを配備

▲アルマイト処理したアルミニウムのブロックから削り出したセンターコンソールはフローティングタイプでアレンジし、ギアセレクターゲートやキースロット、ワイヤレス充電パッド、セカンダリコントロールなどの機能要素を効率的に収める

▲アルマイト処理したアルミニウムのブロックから削り出したセンターコンソールはフローティングタイプでアレンジし、ギアセレクターゲートやキースロット、ワイヤレス充電パッド、セカンダリコントロールなどの機能要素を効率的に収める

 前席のシートに関しては、“セル”構造で仕立てたうえでサポート性と座り心地を高次元で両立させた上質なバケットシートを装着。オプションのコンフォートシートには、マッサージ機能用のエアチャンバーとベンチレーションを内蔵する。前席背後には、フェラーリ自身が“2+”(2+2といえるほど広いスペースではない)と表現する小ぶりのシートを配備した。

▲前席には“セル”構造で仕立てたうえでサポート性と座り心地を高次元で両立させた上質なバケットシートを装着

▲前席には“セル”構造で仕立てたうえでサポート性と座り心地を高次元で両立させた上質なバケットシートを装着

▲前席背後にはフェラーリ自身が“2+”と表現する小ぶりのシートを配置

▲前席背後にはフェラーリ自身が“2+”と表現する小ぶりのシートを配置

 フロントミッドシップに搭載するエンジンは、専用のキャリブレーションにより2つのターボチャージャーの回転速度を独立して制御するとともに最大ターボ回転速度を17万1000rpmまで増加させたツインスクロールのターボチャージャーや、軽量化(従来比-1.3kg)を果たしたカムシャフト、再設計したエンジンブロック、チューニングを見直したインテークおよびエキゾーストシステムなどを採用する、進化版の3855cc・V型8気筒DOHCツインターボユニットを採用。圧縮比は9.4に設定し、最高出力は従来比で20psアップの640ps/7500rpm、最大トルクは従来と同数値の760Nm/3000~5750rpmを発生する。フェラーリのエンジンで初めて低粘度オイルを導入し、ウォームアップ効率を向上させたこともアピールポイントだ。一方、組み合わせるトランスミッションにはセッティングを見直してシフトの滑らかさと変速スピードを向上させた8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を採用。また、さまざまな運転条件に適応させるための専用マップを備えた新しいプロポーショナリーコントロールドバイパスバルブを組み込む新開発のサイレンサーレイアウトも導入した。性能面では、パワーウエイトレシオを従来のローマの2.37kg/psから2.29kg/psへと向上した結果、0→100km/h加速がローマ比で0.1秒速い3.3秒を、最高速度はローマと同様の320km/h以上という超一級のパフォーマンスを実現している。

▲フロントミッドシップに搭載するエンジンには進化版の3855cc・V型8気筒DOHCツインターボユニットを採用。最高出力は従来比で20psアップの640ps/7500rpm、最大トルクは従来と同数値の760Nm/3000~5750rpmを発生する

▲フロントミッドシップに搭載するエンジンには進化版の3855cc・V型8気筒DOHCツインターボユニットを採用。最高出力は従来比で20psアップの640ps/7500rpm、最大トルクは従来と同数値の760Nm/3000~5750rpmを発生する

 シャシー性能については、多くの基本コンポーネントを見直したうえで、最新の電子制御デバイスやブレーキ・バイ・ワイヤを組み込んで高度なドライビングプレジャーと快適な乗り心地を高次元で両立させる。まず、サイドスリップを予測してコントロール系の制御システムへ伝達するSSC(サイドスリップ・コントロール)は6.1へとバージョンアップ。E-Diff、F1-Trac、SCM-E Frs、フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)といった制御を統合し、より正確で緻密なダイナミクス性能をアシストする。また、ABS Evoシステムはあらゆる路面とすべてのマネッティーノ・モードで最適なパフォーマンスを発揮するように再調整。車体の動きを監視して瞬時に反応する6Dセンサーにより、走行時の安全性と機敏性をよりいっそう引き上げた。さらに、先進安全運転支援システムのバージョンアップも図り、最新のアダプティブクルーズコントロールや自動緊急ブレーキ、レーンデパーチャーウォーニング、トラフィックサインレコグニション、ブラインドスポットディテクション、ドライバー異常対応システムといった先進機構を採用する。オプションとして、サラウンドビューやリアクロストラフィックアラートなども設定した。

 エアロダイナミクス性能にも磨きをかける。最大の注目ポイントはリアスクリーンと一体化した可動式のアクティブモバイルウィングで、格納時はクーペならではのフォーマルな優美さを損なわず、高速走行時には自動で起動して効果的なダウンフォースを発生する。また、スポイラーの角度は「ロー・ドラッグ(LD)」「ミディアム・ダウンフォース(MD)」「ハイ・ダウンフォース(HD)」の3パターンに調整する仕組みとした。一方、フロントのアンダーボディには空気の流れをスムーズにするボルテックスジェネレーターを配し、同時にスプリッターに統合された2つのディフューザーを装備。リアスポイラーと合わせて、最上レベルの空力特性を具現化した。

▲シャシー性能については多くの基本コンポーネントを見直したうえで、最新の電子制御デバイスやブレーキ・バイ・ワイヤを組み込んで高度なドライビングプレジャーと快適な乗り心地を高次元で両立させる

▲シャシー性能については多くの基本コンポーネントを見直したうえで、最新の電子制御デバイスやブレーキ・バイ・ワイヤを組み込んで高度なドライビングプレジャーと快適な乗り心地を高次元で両立させる

 なお、フェラーリ・アマルフィの受注は7月2日から始まっており、車両価格は24万ユーロ(約4100万円)~に設定。欧州市場におけるユーザーへの納車は2026年第1四半期より開始する予定である。

▲フェラーリ・アマルフィの受注は7月2日から始まっており、車両価格は24万ユーロ(約4100万円)~に設定する

▲フェラーリ・アマルフィの受注は7月2日から始まっており、車両価格は24万ユーロ(約4100万円)~に設定する

 

 

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