山本善隆(以下/山本):まず輸入車で300万円台で購入できる候補から。
九島辰也(以下/九島):300万円台といっても、多少の上振れはあるでしょうし、200万円台の魅力的なモデルが出てくるかもしれませんね。
横田宏近(以下/横田):輸入車は、国産車とは異なる雰囲気や価値観が味わえるのが魅力です。デザイン、雰囲気、走り味、乗り心地、ブランド性など、それぞれに特徴があるモデルに乗りたいと思います。
最近乗ったモデルでいえば、フィアット600のハイブリッドが気に入りました。BEVは555万円ですが、ハイブリッドだと300万円台から購入できます。600にはイタリア車に乗っているという充実感があります。しかもファーストカーとして十分な完成度の持ち主です。500だと2+2という現実がありセカンドカーというイメージ。600は室内は広いし、メカも新しい。しかも上質感がある。とくにシートはお洒落でいいなと感じました。600には国産車とは明らかに違う空気が流れています。
西川昇吾(以下/西川):600のハイブリッドは確かに、「いいな」と響きました。所有欲を満たしてくれますし、ハイブリッドらしい走り味が楽しめます。マイルドハイブリッドなのに、電動車感が強いんです。輸入車を買ってみようという気持ちを後押ししてくれる魅力があると感じました。
岡本幸一郎(以下/岡本):400万円台に入ってしまいますが、発表されたばかりのアルファロメオ・ジュニアはいいですよ。420万円のエントリーグレード、コアでも十分に満足できます。
実はいま、ステランティスは価格見直し戦略を進めていると感じています。実際、一部のモデルは今春、価格を引き下げました。アルファロメオ・ジュニアの場合は、日本で発表する1週間前になってようやく価格を決めたそうです。
またフィアット600とアルファロメオ・ジュニアの基本骨格は同じなのですが、乗り味は明確に異なります。アルファはスポーティに仕上がっています。アルファらしさを強調したその手腕は見事です。
九島:アルファロメオは購入のしやすさにも注目してほしい。9月30日までの1.15%のローン金利は、嬉しい施策です。
ステランティスをブランド別に見ると、主力車としてフィアットは600とドブロ、プジョーも3008とともにリフターがあります。アルファロメオは、ジュニアで勝負をしなければならない状況です。そんなアルファに登場した新生ジュニアを、応援したいですね、ブランド全体としてもそうですが。
横田:アルファロメオはブランドイメージが素敵ですよね。エンブレムがカッコいいし。戦前のアルファの歴史からわかっているユーザーには、憧れの存在です。でも最近のアルファロメオしか知らないユーザーにアルファの魅力をどう伝えていくか、そこが課題ですね。新型ジュニアは、アルファを深く知らない層も魅力的に感じるモデルだと思います。いいタイミングでデビューしましたね。
九島:発表会で長谷川京子さんを起用していたのはいいと思いました。彼女はアルファに乗っているそうですが、アンバサダーとしてアルファの魅力を伝えていく発信力は強いと思います。
山本:アルファ・ジュニアは、従来のジュリエッタ・ユーザーを振り向かせたいモデルと聞きました。長谷川さんの起用でクルマに興味がないユーザーを振り向かせる効果はあると思いますし、輸入車に興味を持ってもらういいキッカケになると思います。
九島:以前、輸入車といえば500万円以上が当たり前でした。1980年代に近鉄モータースが輸入していたジープ・チェロキーは500万円以上しました。最近、輸入車の価格は上昇傾向ですが、価格表を見ていると、輸入車は実は身近になったといえると思います。
岡本:そうですね、以前は一般ユーザーが現実に購入できる輸入車といえば、VWゴルフしかありませんでした。
横田:現実に購入するとなると、確かにVWが選択肢でしたね。現在でもその傾向はあります。VWのTクロスは、小さいサイズをアピールするSUVですが、ドアの開閉音などはドイツ車らしい“いいもの感”があり、販売は好調です。
西川:いまVWで最も売れているのはTクロスです。ユーザーもTクロスの魅力、VWのブランド性を理解して購入しているのだろうと思います。
山本:他のモデルだと、どのような選択肢がありますか?
岡本:ルノーだとルーテシアやMPVのカングーが対象になります。同クラスのドブロやベルランゴは400万円オーバーですが、カングーなら対象になります。ルーテシアはフルハイブリッドのE-TECHも300万円台です。
九島:キャプチャーも一部改良を行いましたね。
岡本:E-TECHの制御が進化して走りはスムーズになりました。試乗すると明らかによくなっています。
横田:キャプチャーのE-TECHは400万円台ですが、300万円台のマイルドハイブリッドも魅力的でした。最新型はハンサムですし。
西川:シトロエンC3エアクロスは300万円台で購入できます。
九島:面白い選択、いいね。SUVマックスね。
岡本:VWゴルフもHBだけでなくヴァリアントを含めて300万円台のモデルが選べます。VWはポロという選択肢もありますが、ポロは世界的に勢いが落ちているようです。ポロを支えていた人気が、Tクロスに移行しているように思います。実際、Tクロスはいいクルマだと感じます。
九島:個人的にジープのレネゲートをもう少し安くしてほしいと思っています。ハイブリッドになった最新モデルは544万円。ジープのブランド料ものあるのでしょうが、価格次第でもっと売れると思います。ラングラー、グランドチェロキーとは価格戦略を別にしてほしいですね。