日本初のBEVフルフラット路線バスとなるいすゞ「エルガEV」が発売

いすゞが昨年開催のジャパンモビリティショー2023で世界初公開したバッテリーEV(BEV)路線バス「エルガEV」のショートホイールベース・都市型モデルを発売。250kW/960Nmを発生するインアクスルモーターに、総電力量245.3kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載したうえで、車内のフルフラットフロアを実現。一充電走行距離は30km/h一定速で360kmを達成

 いすゞ自動車は2024年5月28日、日本初のBEVフルフラット路線バスとなる「エルガEV」のショートホイールベース・都市型モデル(ZAC-LV828L1型)を発売した。車両価格は5980万1800円(消費税込み6578万1980円)に設定し、販売目標は150台/年を計画している。

▲いすゞがバッテリーEV(BEV)路線バス「エルガEV」のショートホイールベース・都市型モデル(ZAC-LV828L1型)を発売。ボディサイズは全長1万545×全幅2485×全高3330mm(設計値)/ホイールベース4990mm、乗車定員は70名に設定。車両価格は5980万1800円(消費税込み6578万1980円)

▲いすゞがバッテリーEV(BEV)路線バス「エルガEV」のショートホイールベース・都市型モデル(ZAC-LV828L1型)を発売。ボディサイズは全長1万545×全幅2485×全高3330mm(設計値)/ホイールベース4990mm、乗車定員は70名に設定。車両価格は5980万1800円(消費税込み6578万1980円)

 

 昨年10月開催のジャパンモビリティショー2023で世界初公開したバッテリーEV(BEV)路線バス「エルガEV」の先行販売モデルとなるエルガEV ショートホイールベース・都市型モデルは、BEV化による環境対応のみならず、国内初となる車内フロアのフルフラット化を実現したことが特徴である。

▲今回発売するショートホイールベース・都市型モデルは、昨年開催のジャパンモビリティショー2023で世界初公開したエルガEV(写真)の一部車型に位置する

▲今回発売するショートホイールベース・都市型モデルは昨年開催のジャパンモビリティショー2023で世界初公開したエルガEV(写真)の一部車型に位置する

 

 パワートレインに関しては、リアアクスルの左右それぞれにモーターを内蔵した「インアクスルモーター」を配し、最高出力は250kW(125kW×2)、最大トルクは960Nm(480Nm×2)を発生。既存のディーゼルエンジンモデルのエルガと同等の動力性能を実現する。また、リチウムイオン電池のバッテリーパックは屋根上と車体後部の床下に配置し、総電力量は245.3kWh(社内参考値)を確保。EV機器および充電口はボディ後部に設定し、CHAdeMO方式の急速充電(外気温20℃・充電出力50kW)を使用した場合で20%の残量から80%までの充電を約3.2時間でこなす。災害時には救援車として外部給電機器と接続し、家電機器などに電力供給できるV2L機能も装備した。一充電走行距離は360km(30km/h一定速、国土交通省届出値)と、路線バスに必要な航続距離をカバーしている。

 安全面の強化を図ったこともエルガEVの訴求点だ。既存のエルガと親和性のある運転席周辺のメーター機器類の採用や、BEVでありながらクリープ走行を可能にするなど、従来と同等の操作性を確保し、1日に様々なバスを乗り換えて運転するドライバーの安全性と負荷軽減に配慮。先進安全機能では、DSM(Driver Status Monitor)でドライバー異常を検知してEDSS(Emergency Driving Stop System:ドライバー異常時対応システム)が作動すると、車両が停止した後に自動でパーキングブレーキが作動し、坂道などでも安全に車両を停止させる機能を国内路線バスで初めて採用した。さらに、自車前方の歩行者・自転車を検知し、ドライバーへ通知するフロントブラインドスポットモニターを装備して、車外事故低減に向けた高い安全性も確保している。

▲パワートレインはリアアクスルの左右それぞれにモーターを内蔵した「インアクスルモーター」を配し、最高出力は250kW(125kW×2)、最大トルクは960Nm(480 Nm×2)を発生。リチウムイオン電池のバッテリーパックは屋根上と車体後部の床下に配置し、総電力量は245.3kWh(社内参考値)を確保する

▲パワートレインはリアアクスルの左右それぞれにモーターを内蔵した「インアクスルモーター」を配し、最高出力は250kW(125kW×2)、最大トルクは960Nm(480 Nm×2)を発生。リチウムイオン電池のバッテリーパックは屋根上と車体後部の床下に配置し、総電力量は245.3kWh(社内参考値)を確保する

 

 室内空間については、新設計のインアクスルモーターやバッテリーパック配置の工夫によってフロアレイアウトの自由度が高まり、車内前部の乗降口から最後部座席まで段差のないフルフラット化と低床化を実現したことがトピック。バリアフリー化を果たしたことで乗客の利便性および安全性が飛躍的に向上し、合わせてBEVがもたらすスムーズな加速感と低騒音・低振動が相まって、快適性も大幅にレベルアップする。乗車定員は70名を確保した。

 コネクティッド機能を拡充した点もアピールポイントで、バスとしては初めていすゞ独自のコネクティッド技術を活用した、遠隔で車両コンディションをモニターできる「プレイズム」を採用する。プレイズムを通して、ユーザーは自社のオフィスのPCでバッテリー残量(SOC:State of Charge)、航続可能距離、充電状態などBEV運用に欠かせない情報はもちろん、万一の故障も把握できる。また、いすゞならではのデータに基づく予防整備や故障検知により高度純正整備が可能となり、ユーザーにはBEVにおいてもこれまでと変わらぬ安心が提供される。一方、BEV路線バスの運行においては急速充電器での基礎充電が前提となるため、施設のデマンドピーク上昇に伴う電気コストの負担増という新たな運用課題が発生する。いすゞの運行管理サービスの一部機能を活用することで、運行計画と連動した充電計画や遠隔充電管理の機能が拡充され、さらにユーザーの施設側のエネルギーマネジメントシステムと連携することも可能。施設側の電力予測や使用状況を踏まえた充電計画の立案と充電実施により、ユーザーの電気コストにかかる課題の解決に貢献できるという。

▲新設計のインアクスルモーターやバッテリーパック配置の工夫によってフロアレイアウトの自由度が高まり、車内前部の乗降口から最後部座席まで段差のないフルフラット化と低床化を実現する

▲新設計のインアクスルモーターやバッテリーパック配置の工夫によってフロアレイアウトの自由度が高まり、車内前部の乗降口から最後部座席まで段差のないフルフラット化と低床化を実現する

 

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