【CD取材ノート】初代フィアット・パンダは、私のクルマに対する概念を一変させてくれた恩人! by 大谷達也

はじめて生活を共にしたイタリア車は初代フィアット・パンダ。パンダは、ベーシックカーの楽しさをすべて備えた逸材。好きで好きでたまらなかったという

はじめて生活を共にしたイタリア車は初代フィアット・パンダ。パンダは、ベーシックカーの楽しさをすべて備えた逸材。好きで好きでたまらなかったという

小さくて非力、でもパンダは愛らしく、魅力たっぷり。走りにも感動した

 私が、生まれて初めて生活をともにしたイタリア車は初代フィアット・パンダ・セレクタ。29歳で就職したとある自動車雑誌の長期テスト車としてあてがわれたものだ。このパンダは、私のクルマに対する概念を一変させてくれた。

 全長が3.4mとコンパクトなパンダは車重が750kgしかなかった。でも排気量が1ℓでターボはおろかインジェクションさえもたないエンジンの最高出力はたったの45ps。おかげで最高速度は110km/h出るかどうかだったし、そんなスピードで走ろうものならキャビンは轟音で満たされて大変なことになった。

パンダ02

パンダ03

 それでも、私はこのパンダが好きで好きでたまらなかった。
 まずは乗り心地が驚くほどよかった。リアサスペンションはリジッド式だったけれど、マイナーチェンジに伴って与えられたオメガアームと呼ばれる足回りがしなやかにショックを吸収してくれて快適。それでいてワインディングロードでも(下り坂だったら)驚くほどポテンシャルは高かった。

インパネ

シート

 それ以上に気に入っていたのが、天才ジウジアーロが手がけた内外装のデザインである。たとえばエクステリアは何の変哲もない直線的なデザインなのに、なぜか美しく、そして愛おしく思えたもの。インテリアも素晴らしかった。シートやダッシュボードを覆う布はざっくりとした手触りで、しかもブルーのチェック地がなんともオシャレ。これをきっかけにして普段着るファッションにも気をつかうようになったほどだ。
 そんなわけで、いまも街で初代パンダとすれ違うと、ついつい振り返って目で追ってしまう私なのでした。

【プロフィール】
大谷達也(おおたにたつや)/電機メーカーの研究室に勤務後、自動車専門誌の編集に携わり、2010年よりフリーランスに。ハイパフォーマンスカーが得意ジャンル。英語で海外エンジニアと直接インタビューできる語学力の持ち主。AJAJ(日本ジャーナリスト協会)会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

フォトギャラリー

SNSでフォローする