【プレステージSUV対決】SUVにプレミアムな輝きが欲しいなら、レクサスRXとマツダCX-60のどっち!?

レクサスRX500h・Fスポーツパフォーマンス 価格:900万円/マツダCX-60・XDハイブリッド・エクスクルーシブモダン 価格:510万9500円 試乗記

レクサスRX500h・Fスポーツパフォーマンス。RXはラグジュアリーなクロスオーバーSUVのパイオニア。初代は1997年に登場。現在では全世界で高い人気を誇るレクサスの中心モデルに成長した。5代目となる最新型の開発テーマは「RXを壊せ!」。一見キープコンセプトながら内外装からメカニズムまですべてを一新。写真の500hはパワフルな新開発HVシステムを採用する

レクサスRX500h・Fスポーツパフォーマンス。RXはラグジュアリーなクロスオーバーSUVのパイオニア。初代は1997年に登場。現在では全世界で高い人気を誇るレクサスの中心モデルに成長した。5代目となる最新型の開発テーマは「RXを壊せ!」。一見キープコンセプトながら内外装からメカニズムまですべてを一新。写真の500hはパワフルな新開発HVシステムを採用する

ともに国際派SUV。ブランドの中核と、革新の1台を比較

マツダCX-60・XDハイブリッド・エクスクルーシブモダン。CX-60はマツダ初のプレミアムSUV。BROSモデルのCX-70/CX-80/CX-90とタッグを組み世界市場に挑む意欲作

マツダCX-60・XDハイブリッド・エクスクルーシブモダン。CX-60はマツダ初のプレミアムSUV。BROSモデルのCX-70/CX-80/CX-90とタッグを組み世界市場に挑む意欲作

 SUVは世界のさまざまなマーケットでの高い支持を背景に、国内外多くのブランドから多彩な新型車が次々とローンチされている。最新レクサスRXとマツダCX-60も、デビューしたばかりのホットなSUVだ。

 RXは、レクサスの中でも世界中でひと際高い人気を誇る。現行モデルは初代から数えて5代目。まだレクサス・ブランドの展開がなかった日本では当初、ハリアーの名称でスタートを切った。現在、ハリアーは主に国内をターゲットとしたモデルとして独立。RXは日本でも、プレミアムSUVとしてのキャラクターを確立した。

 一方のCX-60はマツダがプレミアムSUVセグメントに切り込むチャレンジャー。ボディ骨格はもちろんパワーユニットやシャシーなどすべてのメカニズムを新規に開発したブランニューモデルである。すでに存在が明らかにされている「CX-70/CX-80/CX-90」といった新型車とともにマツダの「ラージ商品群」を構成する。

 魅力はメカニズム。CX-60は、いまや世界でも少数派となりつつあるFR方式をベースとした駆動レイアウトと、マツダ初の直列6気筒エンジンを組み合わせるなど、世の中の潮流に縛られないチャレンジングな設計が大きな特徴である。
 名声が確立したプレミアムブランドに正面から挑むのではなく、独創性に共感を抱くユーザーに個性豊かな作品を提案する手法は、いかにも最近のマツダらしい。

RXリア

CX-60リアRXは欧州勢も凌駕する完成度。CX-60は優れたパフォーマンスが光る

 初代レクサスRXは、ヘビーデューティなオフローダーをベースにしたSUVとは一線を画す上質な乗用モデルとして1997年にデビュー。現在の主流といえるクロスオーバーSUVのパイオニアとして誕生した。RXとしてすでに四半世紀の歴史を持つ最新モデルの完成度は抜群に高い。フルモデルチェンジに際しての目のつけどころはさすが、という印象が強い。プレミアムSUVとしてクルマ作りは実に手慣れている。

 最新型が搭載するエンジンはすべて4気筒ユニットである。この点は時代の流れを実感させる。加えて新型は、歴代初のPHEV仕様の設定をはじめ電動化が大幅に拡充された点も見どころ。

 プラグイン機能を持たないHVシステムには、従来からのアイテムをリファインした「燃費重視型」と、ターボ付きエンジンを組み合わせた新開発の「走り重視型」を設定。キャラクターの異なる2つのHV方式を用意するのも初の試みとして注目される。

 システム出力367psを誇る、走り重視のHVシステムを備えた500h・Fスポーツ・パフォーマンスに乗ると、アクセルペダルを軽くひと踏みした段階で大柄なボディが遅滞なくスッと前に押し出される。この感覚は、これまでのレクサスのハイブリッドモデルとは一線を画していて新鮮。フットワークのテイストを含め、「Fスポーツ」とはいっても走り全般に過敏な印象を伴わないのも美点だ。欧州発のライバルに対する競争力を含めて、いかにもプレミアムなSUVにふさわしいと思える完成度である。

RX前

CX-60前

 そんなRXからCX-60へと乗り換えると、まず感心させられるのは室内の質感。プレミアムな作品を作り慣れたレクサスに負けず劣らずの高いクオリティが感じられる。このインテリアは魅力的だ。
 これまでマツダとしては手がけた経験のないカテゴリーへの初挑戦でありながら、これほどのクオリティでまとめ上げた実力は称賛に価する。

 試乗車はXDハイブリッド。発進用のトルクコンバーターを持たないことが特徴の8速ステップATとエンジンの間にモーターをレイアウトしたマイルドHVシステムを採用する。スペース上の制約や48Vという低い電圧もあってモーターが発する最高出力は12kW止まり。それゆえ、RXと比べて「電動感」は薄い。

 その一方でアドバンテージと受け取れるのは、ターボ付きの3.3リッターディーゼル(254ps/550Nm)が生み出すパフォーマンス。低回転域から太いトルク感が味わえ、かつ回転数が高まると直列6気筒デザインならではのバランスのよさを実感する。そのパワフルで伸びやかなフィーリングは、間違いなくCX-60の大きな美点である。
 4WSのような複雑なデバイスを用いることなく5.4mという最小回転半径を達成させた点も、縦置きベースのレイアウトを採用したモデルこそと思える見どころのひとつだ。

 CX-60で惜しいのは、アイドリングストップから復帰するときのショックや、フラット感に乏しいフットワークテイストなどだ。本来狙った水準には、まだ達していない。走りにはやや粗削りな感触が散見される。
 今後こうした点がブラッシュアップされれば、こちらも初代モデルにして日本を代表するプレミアムSUVという評価を勝ち取れそう。CX-60には、そんな秘められた可能性を感じる。今後が楽しみな大器である。

RXインパネ

CX-60インパネレクサスRX主要諸元

レクサス正面

グレード=500h・Fスポーツ・パフォーマンス
価格=6SAT 900万円
全長×全幅×全高=4890×1920×1700mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント:1650/リア:1675mm
車重=2100kg
エンジン=2393cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=202kW(275ps)/6000rpm
最大トルク Nm(㎏m)/rpm=460Nm(46.9kgm)/2000~3000rpm
モーター最高出力=フロント:64kW(87ps)/リア:76kW(103ps)
モーター最大トルク=フロント:292Nm(29.8kgm)/リア:169Nm(17.2kgm)
WLTCモード燃費=14.4km/リッター(燃料タンク容量65リッター)
(市街地/郊外/高速道路=11.8/14.3/15.8 km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/50R21+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5m

マツダCX-60主要諸元

CX-60正面

グレード=XDハイブリッド・エクスクルーシブモダン
価格=8SAT 510万9500円
全長×全幅×全高=4740×1890×1685mm
ホイールベース=2870mm
トレッド=フロント:1640/リア:1645mm
車重=1940kg
エンジン=3283cc直6DOHC24Vディーゼルターボ(軽油仕様)
最高出力=187kW(254ps)/3750rpm
最大トルク=550Nm(56.1kgm)/1500~2400rpm
モーター最高出力=12kW(16.3ps)
モーター最大トルク=153Nm(15.6kgm)
WLTCモード燃費=21.0km/リッター(燃料タンク容量58リッター)
(市街地/郊外/高速道路=18.0/21.2/22.4 km/リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/50R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m

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