ソニー・ホンダ モビリティが新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」を米国で発表。新型EVのプロトタイプも公開

米国ラスベガスで開催されたCES2023への出展に合わせてソニー・ホンダ モビリティが新ブランドの「AFEELA(アフィーラ)」を発表。最大800TOPSの演算能力を有するECUを採用した新型EVのプロトタイプも初披露

 ソニー・ホンダ モビリティ(SHM)は2023年1月4日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスで1月5日~8日に開催された家電エレクトロニクスショー「CES2023」に出展するのに合わせて、新ブランドの「AFEELA(アフィーラ)」の立ち上げを発表。同時に、新型EVのプロトタイプを初公開した。

▲ソニー・ホンダ モビリティ(SHM)が新ブランドの「AFEELA(アフィーラ)」を発表。合わせて新型EVのプロトタイプを初披露する

▲ソニー・ホンダ モビリティ(SHM)が新ブランドの「AFEELA(アフィーラ)」を発表。合わせて新型EVのプロトタイプを初披露する

 

 SHMは高付加価値型の電気自動車の開発および販売と、モビリティ向けサービスの提供を目的に2022年6月に設立したソニーとホンダの合弁会社。今回の発表の場では、水野泰秀代表取締役会長兼CEOが「多様な知で革新を追求し、人を動かす。」という企業パーパスについて説明するとともに、最先端の技術と感性を掛け合わせ、“Mobility Tech Company”としてモビリティの革新を追求していくことを表明する。そして、新ブランドのAFEELAに関しては「SHMの考えるモビリティ体験の中心にある“FEEL”を表した新進のブランド」と解説。ブランド名は、人がモビリティについて知性を持つ存在として“感じる”こと、またモビリティがセンシングとネットワークに代表されるIT技術を用いて人と社会を“感じる”ことという、双方向的な関係性を表しているという。

▲新型EVはクルマを構成する主な要素が動力性能やパフォーマンスから、ソフトウェア、ネットワーク、ユーザーエクスペリエンスに変わっていく転換点において、既存の常識に捉われずにクルマの個性や在り方を見つめ直して開発するという

▲新型EVはクルマを構成する主な要素が動力性能やパフォーマンスから、ソフトウェア、ネットワーク、ユーザーエクスペリエンスに変わっていく転換点において、既存の常識に捉われずにクルマの個性や在り方を見つめ直して開発するという

 

 公開された新型EVのプロトタイプに話を移そう。目指したのは、「新たなモビリティの価値基準の創出」。クルマを構成する主な要素が動力性能やパフォーマンスから、ソフトウェア、ネットワーク、ユーザーエクスペリエンスに変わっていく転換点において、既存の常識に捉われずにクルマの個性や在り方を見つめ直して開発したという。

▲エクステリアは従来の車両デザインに求められた造形を再構築するとともに、積み上げられてきた価値観をいっそう磨き上げることで、本質的な価値を浮き彫りにした、ピュアで力強い4ドアファストバックフォルムで仕立てる。ボディサイズは全長4895×全幅1900×全高1460mm/ホイールベース3000mmに設定

▲エクステリアは従来の車両デザインに求められた造形を再構築するとともに、積み上げられてきた価値観をいっそう磨き上げることで、本質的な価値を浮き彫りにした、ピュアで力強い4ドアファストバックフォルムで仕立てる。ボディサイズは全長4895×全幅1900×全高1460mm/ホイールベース3000mmに設定

 

 エクステリアについては、ホンダが開発を主導するプラットフォームを基調に、従来の車両デザインに求められた造形を再構築するとともに、積み上げられてきた価値観をいっそう磨き上げることで、本質的な価値を浮き彫りにした、ピュアで力強い4ドアファストバックフォルムに仕上げる。全体のアレンジとしては、SHM設立前にソニーが披露したVISION-Sシリーズ(開発・製造はカナダのマグナ・インターナショナルの子会社であるオーストリアのマグナ・シュタイアが担当)や、ホンダの最新EVなどをさらに進化させた、スペースシップのようなスマートかつ先進的なアピアランスが特徴だ。また、フロントセクションには光を用いて外部とのコミュニケーションを図る「Media Bar」を採用。今後さまざまなパートナーやクリエイターとともに、その可能性を幅広く模索していくという。

 ボディサイズは全長4895×全幅1900×全高1460mmと、現行アコードとほぼ同レベルのミドルサルーンクラスに設定。一方、ホイールベースはアコードよりも170mm長い3000mmとしていることから、アッパーサルーンクラス並の広いキャビン空間を構築していることが想像できる。また、懸架機構は前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式の4輪独立懸架を採用し、タイヤには前245/40R21/275/35R21という前後異サイズを装着した。

▲フロントセクションには光を用いて外部とのコミュニケーションを図る「Media Bar」を組み込む

▲フロントセクションには光を用いて外部とのコミュニケーションを図る「Media Bar」を組み込む

▲シンプルな造形で、かつ高精度なサイドミラーカメラを装備

▲シンプルな造形で、かつ高精度なサイドミラーカメラを装備

 

 内包するインテリアは、無垢でやさしいラウンディッシュなデザインを基調に、単に心地よいだけでなく乗員の注意をそらすような装飾性を極力廃し、合わせてカラーリングもシンプルさを徹底して、人が求める機能と体験を高レベルで具現化する。インパネには両端まで横一線に広がるパノラミックスクリーンを配し、物理的なスイッチは省略。センターコンソールにはダイヤル式のコントローラーを装備した。一方、5名乗りで構成するキャビン空間は、乗員を包み込むような造形でアレンジ。ロングホイールベースを活かした広い居住スペースや頭上に広がるガラスルーフと相まって、乗員が快適にくつろげる、ゆとりの空間を演出する。環境負荷の低いテキスタイルや空気を浄化する機能性素材を多用したことも、インテリアのトピックだ。

▲インテリアは無垢でやさしいラウンディッシュなデザインを基調に、単に心地よいだけでなく乗員の注意をそらすような装飾性を極力廃し、合わせてカラーリングもシンプルさを徹底して、人が求める機能と体験を高レベルで実現する

▲インテリアは無垢でやさしいラウンディッシュなデザインを基調に、単に心地よいだけでなく乗員の注意をそらすような装飾性を極力廃し、合わせてカラーリングもシンプルさを徹底して、人が求める機能と体験を高レベルで実現する

▲センターコンソールにはダイヤル式のコントローラーを配備

▲センターコンソールにはダイヤル式のコントローラーを配備

▲ロングホイールベースを活かした広い居住スペースや頭上に広がるガラスルーフと相まって、乗員が快適にくつろげる、ゆとりの空間を演出。環境負荷の低いテキスタイルや空気を浄化する機能性素材を多用したことも特徴

▲ロングホイールベースを活かした広い居住スペースや頭上に広がるガラスルーフと相まって、乗員が快適にくつろげる、ゆとりの空間を演出。環境負荷の低いテキスタイルや空気を浄化する機能性素材を多用したことも特徴

 

 パワートレイについては、前後にモーターを搭載するAWDで構成。市販時には2WDも設定されるかもしれない。また、最新の先進運転支援システム(ADAS)やインフォテインメントシステムを採用したことも訴求点で、車両の内外に計45個のカメラやセンサーなどを設置するとともに、最大800TOPS(Trillion Operations Per Second、1秒間に800兆回演算)の高い演算性能を持つECUを採用。また、室内のカメラおよびToFセンサーによりドライバーの運転状況や走行状態をモニタリングし、不慮の交通事故防止に役立てる。今後は特定条件下での自動運転機能のレベル3を目指すとともに、市街地などのより幅広い運転条件下においてレベル2+相当の運転支援機能を搭載する予定。移動する空間価値に着目し、リアルとバーチャルの世界を融合していくことで、移動空間をエンタテインメント空間、感動空間へと拡張することも目指すという。さらに、SoC(System on a Chip)には総合的なモビリティソリューションを提供するQualcomm(クアルコム)のSnapdragon Digital Chassisを組み込む予定だ。

▲車両の内外に計45個のカメラやセンサーなどを設置するとともに、最大800TOPSの高い演算性能を持つECUを採用

▲車両の内外に計45個のカメラやセンサーなどを設置するとともに、最大800TOPSの高い演算性能を持つECUを採用

▲市街地等運転支援機能レベル2+の実現を目指す

▲市街地等運転支援機能レベル2+の実現を目指す

▲SoCには総合的なモビリティソリューションを提供するQualcommのSnapdragon Digital Chassisを採用予定

▲SoCには総合的なモビリティソリューションを提供するQualcommのSnapdragon Digital Chassisを採用予定

 

 なお、AFEELAの市販EVモデルは2025年前半から先行受注を開始し、同年中の発売を予定。デリバリーは2026年春に北米市場からスタートする計画である。

▲AFEELAの市販EVモデルは今回公開したプロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半から先行受注を開始し、同年中の発売を予定する

▲AFEELAの市販EVモデルは今回公開したプロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半から先行受注を開始し、同年中の発売を予定する

 

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