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「見えルークス!」のフレーズが印象的な日産ルークス。スーパーハイト軽の王道を行く存在ながら、その進化は単なる広さや装備の充実にとどまらない。“見える安心”と“疲れにくさ”という価値を磨き上げ、ファーストカーへと格上げされた。そのヒットの背景と核心を、軽自動車を知り尽くす竹岡圭が読み解く。
「見えルークス!」のテレビCMが、しっかりと耳と目に刻み込まれた人、多いのではないでしょうか。他にも「〇〇ルークス!」と続くのですが、やはり4代目のいちばんのテーマは「見える!」ということなんだというのが、わかりやすく伝わってきました。
そして、実際運転席に座ってみると「よく見える!」んです(笑)。運転席に座ると、フロント左右の平行四辺形の窓の部分も大きくて、とにかく視界が広い! という感じがするんですよね。
実は、先代に比べてAピラーが100㎜ほど前に出され、室内長は2315㎜とクラストップに躍り出たのですが、そうなると前方の見上げ視界が厳しくなったりします。そこを上手くデザインでカバーしつつ、左右のAピラーも立てて細くするなどして、“パッと見て、見える”という視界のよさが確保されているんです。
最近ではカメラやセンサーなどの精度も上がり、台数もたくさん装着されて、視界をフォローしてくれるとはいえ、やはり実際にパッと見ていろんなところが見やすいというのは安心感につながりますよね。
でも、デザインをいくら工夫しても見えない場所ってあるじゃないですか。それはクルマの真下。ルークスは“インビジブルフードビュー”という、クルマの下が透けて見える画像を映し出せるカメラが装着されています。もちろん実際透けて見えているわけではなく、画像を合成しているのですが、これが意外と便利なんですよね。
元々、下がボコボコしていたり、丸太橋を渡るようなオフロードの世界で有効とされていて、クロスカントリー4WDなどにいち早く搭載されたビューモードだったりするのですが、日常生活では機械式のセルフ洗車場やパレット駐車場等、狙いを定めてクルマを進めないといけないときに、タイヤの位置が見てわかるからとても利便性が高いんです。
他に、試乗して新たに発見したのが、ショッピングセンターの駐車場にあるような急な上り坂でも、安心感が違うということ。空を見上げるような急坂、しかも行き慣れない場所って心配になりがちですけれど、画面で足元が見えているのでかなり不安が軽減されるということがわかりました。
さらに、狭い路地から大通りに出るときなど、事前に設定しておけば15m手前でビューが切り替わり曲がり角の先まで早めに見える、フロントワイドビューなども装備しています。結構な勢いで走っている自転車も多いですから、安全性を高めてくれる“見えやすい”ということへのフォローはかなり高いといってよさそうです。
さて、もうひとつの今回の大きなポイントは、ロングドライブでの「疲れにくさ」にあると思います。新車販売の4割が軽自動車といわれて久しいですが、その中でもルークスのような軽スーパーハイトワゴンは人気が高く、ファーストカーとして使われる方もかなりいらっしゃるんですよね。
そこでこだわったのが“ゼログラビティコンセプト”を投入したシート。これは体を点ではなく面で支え、無意識のうちに力が抜ける姿勢をつくることで、長時間移動でも疲れを溜めにくくするシートのことで、先代は前席だけの採用だったのですが、今回は後席にも採用されました。さらに前後席ともに新しい生地、これまでの2倍伸びるメランジ生地が初採用されています。肌触りが優しく、体をしっかり包み込んでホールドしてくれる感じでくつろげると思います。
さらに、後席は23㎜座面を前に出し、クッションには体圧分散を可能にした高密度ウレタンを採用するなど、家族でお出かけというようなシーンでも、全員が快適に過ごせるというわけなんですね。
その際、効いてくるのが静粛性の高さ。走り出してすぐにこの静かさは納得してもらえると思います。とくに前席の静粛性が際立っている感じですが、前後席での会話も余裕でできる感じです。
この静粛性という面でお勧めなのは、やはりターボモデル。エンジンの回転数という面でもそうですが、ロードノイズも15㌅タイヤを履かせたターボモデルのほうが静かなんですよね。 走行フィーリングもそうで、ドシッと感は15㌅のほうが上。今回はパワーステアリングに小型軽量ブラシレスモーターを採用したということで、モーターのパワフルさが上がったため、いわゆるスイッチ的なフィーリングではなく、自然な感じになったのは喜ばしいこと。そういったことを加味しても、正直お勧めはターボモデルです。
ちなみに私が感じたウィークポイントは“ハンドルの太さ”。私の手の大きさではギリギリで、もう少し細いほうが扱いやすいかなぁという感じではありました。 乗り心地はコンフォートサスペンションと固さを変えたブッシュが効いていて、とてもいい感じ。ファーストカーとして仕上げられたことがよくわかりました。 そして、ここがルークスのヒットの真相。クルマの使い方の変化に合わせて、キャラクター設定や装備を盛り込み、親しみやすいデザインに仕上げてきたのがポイントだと思います。
1)拡大されたガラスエリアと先進カメラによる各種ビュー機能で“見える安心”を徹底追求。視界性能の高さは日常の不安を低減
2)前後席にゼログラビティコンセプトを採用し、高密度ウレタンや新素材シートで快適性を向上。高い静粛性と相まって長距離でも疲れにくい
3)スーパーハイトならではの使い勝手を土台に走行安定性やターボの余裕ある動力性能を強化。ユーザーの期待に応え、総合力は高い
たけおかけい/各種メディアやリアルイベントで、多方面からクルマとカーライフにアプローチ。その一方で官公庁や道路会社等の委員なども務める。レースやラリーにもドライバーとして長年参戦。日本自動車ジャーナリスト協会・副会長。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
