【人とクルマの物語】「クルマは人生を共に歩む伴侶」と語るモータージャーナリスト、中村孝仁氏がローバー3500と歩む趣味のクルマ生活

中村氏の現在の趣味車は1970年式ローバー3500。5ナンバー規格のボディにGM由来の3.5ℓ・V8を搭載した上質な英国サルーン。新車時から日本にある車両で、前オーナーは第1回日本グランプリ出場経験者。良好なオリジナルコンディションをキープしている

中村氏の現在の趣味車は1970年式ローバー3500。5ナンバー規格のボディにGM由来の3.5ℓ・V8を搭載した上質な英国サルーン。新車時から日本にある車両で、前オーナーは第1回日本グランプリ出場経験者。良好なオリジナルコンディションをキープしている

クルマは人生をともに歩むよき伴侶です

 初代ホンダ・シビックを皮切りに国産・輸入車を問わず個性的な車両を乗り継いできました。いままでの愛車の中で特別な存在といえば、1974年式のポルシェ911(930)です。

 1980年代の後半、当時お世話になっていた『カーセンサー』の編集局長から「買わない?」といわれて即決しました。憧れのクルマだっただけに有頂天になったことを覚えています。当時のJARI谷田部テストコースで220㎞/h超えのトップスピードをマークしてびっくりしました。クルマの醍醐味や素晴らしさを教えてくれた最高の1台でした。

中村さん

 この911を運転していて、あるときわずかなよそ見をしていて追突しそうになったことがありました。てっきりぶつかったと思いきや、ポルシェのブレーキはそれを回避してくれました。飛ばすことに夢中になっていた時代に、クルマは止まれることのほうが大事だと認識させられました。以来、ブレーキの甘いクルマの評価は厳しくなりました。ポルシェというクルマがいかにすごいクルマであるかをそのとき、身をもって体験しました。

 911はいまでも一番ほしいクルマです。フェラーリやランボルギーニといったいわゆるスーパーカーもたくさん乗りましたが、空冷ポルシェは終のクルマにしたい1台です。

911

セビル

 モータージャーナリストの視点で見ると、1990年から2年ほど乗っていたキャデラック・セビルが感銘を受けた1台ですね。通称Kボディの4.5ℓ・V8を搭載したFFサルーンでした。1989年からデトロイト・モーターショーに取材に行くようになり、アメリカ車に興味を持ったのが入手のきっかけです。それまでアメ車といえば、デカい、大雑把、壊れるという悪評があったのですが、それらはすべて単なる“都市伝説”だということが、所有してわかりました。

 乗り味は超快適。燃費も高速をゆったり流せば13㎞/ℓほどで、決してガブ飲みしません。ルーズフィットといわれたシートも、クッションが柔らかいので座ると適度に沈んで、予想外に体にフィットします。サイズは全長が4.7mほどと駐車場に困ることもありませんでした。アメ車のイメージを根底から変えてくれる貴重な体験でした。

ローバー01

室内

 現在は、趣味車として1970年式のローバー3500を所有しています。2019年に、クラシックカー・イベントに参加したくて購入しました。ローバーとは別にファッセルヴェガ・ファセリアというフランス製の希少車も持っているのですが、こちらはもう長いこと走らせていません。きちんと乗れる趣味車がほしかったのです。日本に新車時からあるワンオーナーカーで、元の持ち主は第1回日本グランプリのレースドライバーだった方です。知り合いから紹介され念願のクルマを手に入れることができました。

 ローバーは現在レンジローバーなどを手掛けるランドローバーが有名ですが、もともとは英国のアッパーミドル向けサルーンを得意としていました。このP6シリーズの3500は、5ナンバー規格のコンパクトなボディにパワフルな3.5ℓ・V8ユニットを搭載したモデルです。抜群の乗り心地と英国車独特のゆったりとした走りが最高の魅力です。もっともノンパワーアシストのためステアリングは重く、エアコンもないので夏は乗れません。古いクルマなのでマイナートラブルも多めです。でも大きく壊れたことはありません。英国にパーツが豊富に揃っているのも安心材料です。年齢を重ねるとともにクルマとのつきあい方を教えてくれる、味わい深いクルマです。

ローバー03

エンブレム

 私はスーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験。さらにドイツでクルマ修行し1977年からフリージャーナリストとして活動を続けてきました。いわばクルマ三昧の生活です。若いときはスピードに憧れ、いまは人生をともに歩むよき伴侶(妻以外の)といえます。クルマは愛すべき存在だと、心底思っています。ボクにとってクルマは、自分自身から片時も離れないパートナーです。

【プロフィール】
中村孝仁(なかむらたかひと)/4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの“丁稚メカ”を経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

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