【情熱と革新/究極のアイデンティティ】スーパースポーツとしての誇りと積極姿勢「最新ランボルギーニの頂点と未来」

フェノメノ最新ランボルギーニは「3本の柱」で力強く前進。新規プロジェクトも目白押し

The Pinnacle of Today.The Future Ahead

 まだ世界がコロナ禍にあった4年前。チェアマン兼CEOに返り咲いたばかりのステファン・ヴィンケルマンは筆者のオンラインインタビューに応えてこう語っていた。

「ランボルギーニはスーパースポーツカーセグメントにおけるオーセンティックなベストブランドだ。だから多くのファンが望むクルマを作っていかなければならない」

 その意味するところは簡単である。「顧客がきっとほしくなるモデルを出し続ける」ということ。筆者はここ3年続けて夏の祭典モントレー・カー・ウィークを訪れ、ランボルギーニによる重大な発表に立ち会ってきた。一昨年はフル電動のコンセプトカー、ランザドール、昨年は新たなコアモデルのテメラリオ、そして今年は世界限定29台のV12マシン、フェノメノ。いずれも週末の金曜日に開催される人気イベント「モータースポーツギャザリング」において披露されたが、観客の盛り上がり度合いは、一昨年よりも昨年、そして昨年よりも今年のほうが熱狂的だった。

ランザドール01

ランザドール02

 2023年に披露されたランザドールはBEVコンセプトであり、さらに4ドアクーペということでブランドにとっては未知の挑戦だった。そのスタイリングはどこからどう見てもランボルギーニ。専門家の評価もハイレベルだった。筆者はショーの後、ルーベン・モール(技術部門トップ)とミッティア・ボルケルト(デザイン部門トップ)の2人を後席に乗せてランザドールの「低速ドライブ」をペブルビーチの海岸線で楽しんだ。間違いなく「これまでとはちょっと違うけれどエキサイティングな未来」を垣間見た。

 その数カ月前。ランボルギーニはアヴェンタドールの後継モデルとしてレヴエルトを発表している。初期オーダーの勢いは想像以上に凄まじく、あっという間に2026年までの生産枠が埋まった。

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 電動化の象徴となるために、フラッグシップモデルもプラグインハイブリッドとなったが、メインユニットとして組み合わされたのは新開発の6.5リッター・V12であり、それを縦置きリアミッド配置とした以上、カウンタック以降のスーパーカーDNAは堅持された。それゆえファンは熱狂できたのだ。

 2024年に入ってウルスのPHEV版SEが登場する。さらにブランドのコアスポーツモデルだったウラカンの後継としてV8・PHEVのテメラリオが誕生するに至って、ランボルギーニの近未来戦略「コウタウリを目指せ」の第1段階、ラインアップのフル電動化はめでたく実現された。

未来への布石が着々と進む。新たな挑戦は2029年以降か!?

 ビジネス的にも絶好調である。けれども問題はこれからだ。当初予定されていたフル電動モデル、ランザドールのデビューは遅れており、ついには「パワートレーンの再検討に入っている」と首脳陣は今年になって明らかにした。

 そもそもランザドールはポルシェやアウディが進める次世代BEVプラットフォームの初号モデルとしてグループが持つ最新の電動テクノロジーをすべて搭載し登場するはずだった。だが肝心のBEVに対するマーケットの風向きが、とくに高級で趣味的な領域において、かなり否定的な方向に変わってしまった。つい先日もマラネッロがフル電動モデルの技術的な発表を詳細に行ったが、マーケットの反応は渋いものだった。もちろんファンからも否定的な反応が多かった。

スケッチ01

スケッチ02

 スーパーカーブランドによるフル電動モデルのラインアップは将来的に避けては通れない。けれども市場投入のタイミングはとても重要だ。おりしも「社会的な要請」という重要なゴールポストさえ動こうとしている。冒頭にも書いたように「ファンのほしがるクルマを作る」という原理原則からいって、サンタガータが「フル電動モデルをリリースするタイミングは、いまではない」と決心してもおかしくない。

 その結論はひょっとして本誌が書店に並ぶ頃には発表されているかもしれない(先だって日本で行われたランボルギーニ・ディにおいてヴィンケルマンが今年中の決断を示唆した)。ランザドールBEVのデビューは一旦白紙に戻し、ハイブリッドで再検討になるのではないか。もしBEVが登場するとすれば、それは次世代ウルスのバリエーションとしてだと予想する。第4のモデルとして4ドアクーペを出すよりも、テメラリオの下位にくるスポーツモデルを出したほうがブランド的にはしっくりくると思うのだが……。

フェノメノ リア

フェノメノ室内

 その点、フューオフモデル、フェノメノの登場は実にランボルギーニらしい出来事だった。レヴエルトのパワートレーンとシャシーシステムを改良し驚異のパフォーマンスを誇るスーパーカーを作った。これなら誰も反対しない。なにしろ「+電気モーター」とはいえ、れっきとしたV12・NAのリアミドシップだ。そのスタイリングは日本でも多くのランボファンを虜にしてやまなかった。

 次なる関心はレヴエルトのその先だろうか。テメラリオはおそらくウラカンと同じようにスパイダーや高性能モデルの追加など「育てていく」。けれどもレヴエルトには奇妙な噂がある。追加オーダーは受けつけていないというのだ。それはつまり2026年で生産を終えるということだろうか?

 一方でこの夏、ヴィンケルマンは筆者に興味深い話をした。
「V12モデルはレギュレーションの許す限り出来る限り続けるし、レヴエルト後継モデルの準備も進んでいる」と。

 つまりはこういうことだろう。レヴエルトはアヴェンタドールのように同じ名前で10年戦うのではなく、デザインとネーミングを変えて進化する。結果、V12フラッグシップは続いていく。フェノメノには多くの新しいテクノロジーが積まれている。それはつまり、たった29台で終わるシリーズはないことを意味する。レヴエルトの後継モデルはおそらくフェノメノの技術を取り込んだ高性能版になり、名前も変えてくる。そう考えるとレヴエルト登場前夜にミッティアがロードスターモデルの可能性に言及したこととも整合する。

 2026年中にテメラリオスパイダー、2027年にレヴエルト後継、そして2028年にウルスのフルモデルチェンジモデル。来年以降の発表スケジュールを勝手に想像すると、いずれにせよ第4のモデルの登場は2029年以降にならざるを得ない状況が見えてくる。もちろん、その間にはフェノメノに続く驚くべきフューオフも登場することだろう。

 ランボルギーニの新しいチャプターもまた、フル電動が登場する、しないとは無関係に、スーパーカーファンにとって刺激的になることは間違いない。

テメラリオ

西川さん

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