【I LOVE Customizing】STI/ SUBARU WRX S4 STIスポーツR & S210。ニュルのレース経験を活かし絶品スポーツセダンを創造

試乗車はWRX S4 STIスポーツをベースにSTIパフォーマンスパーツを装着。その走りはナチュラルにして絶品

試乗車はWRX S4 STIスポーツをベースにSTIパフォーマンスパーツを装着。その走りはナチュラルにして絶品

運転がうまくなるクルマを目指して調律

 WRX S4 STI Sport R EXは、最新のSUBARU車の中で最も「操る感覚」を大切にした1台。試乗車にはSTIパフォーマンスパーツが多数装着され、サーキットでも右足を深く踏める完成度の高いパッケージに仕上がっていた。今回の試乗コースに最も適した1台だったといえる。巧みな4WD制御と相まって、少ない操舵で正確に応答、アクセルを開ければ前にぐっとトラクションがかかる。それでいてクルマが無理している感覚がない。

リア

タイヤ

 このクルマの開発思想で印象的だったのは、「固めればいい」という考え方ではないこと。STIの補強パーツ群――フレキシブルドロースティフナーや分割式のタワーバーなどは、ボディを一枚岩にするのではなく、応力を「いなす」方向で設計されている。構造物としての車体は、溶接やボルト締結部などの柔らかい個所が必ず存在する。そこに過度な補強を加えると、別の部分にストレスが集中してしまう。単に剛性を高めるのではなく、絶妙なバランスを量産車レベルで成立させたのがSTIの技術力だと感じた。

マフラー

リアウイング

室内

伝説のコンプリートカー S210はSTIの理想を追求

 いまや入手困難な伝説の存在、S210にも試乗した。2024年初頭に販売されたS210は価格870万円、限定500台、抽選倍率は約10倍だった。名車22Bから続くSTIスペシャルの系譜に連なるモデルで、もちろん完売している。

スタイル

 走りはWRX S4 STI Sport R以上に解像度が鮮明。優れた空力処理も印象的だった。たとえばS210で採用されたSTIスポーツサイドガーニッシュは、ニュルブルクリンク耐久レース参戦車からのフィードバック。天候が変わりやすい環境下でも安定したダウンフォースバランスを確保するという。特徴的なフロントタイヤハウス形状はホイールアーチ周辺の空気を整え、車体が「浮こうとする力」を抑える。エアロパーツ表面の微細なディンプル形状は、空気を滑らかに整える役割を担う。コーナリング時の安定感に貢献するリアのスワンネックウイングはレース経験を活かした造形である。

エンジン

室内

 室内も魅力的だった。多くのカラーを使う最近のスバル車の内装デザインは個人的に好きになれないが、S210は少し違う。ブラックを基調としたインテリアには統一感があり、質感に優れる。SUBARU本来の陰影の美しさを感じた。素材のディテールで魅せるアプローチは「これを標準で採用してほしい」と思った。

 S210のような限定車を手にできるのは、幸運な人だけ。だからこそ、カタログモデルのWRX S4 STI Sport RとSTIパフォーマンスパーツの組み合わせは素晴らしい。STIチューンは、パワートレーンや電子制御の完成度だけでなく、「接地感」や「しなやかさ」といった、人の感覚と対話する領域にまで踏み込んでいる。派手なスペックでは語れない「走りの美学」を、STIは量産車の中で再現してみせた。

エンブレム01

エンブレム02

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