ポルシェがフェルディナント・アレクサンダー(F.A.)ポルシェの生誕90周年を祝う特別仕様車「911 GT3 90 F.A.ポルシェ」を発表。特別塗装色のF.A.グリーンメタリックペイントやF.A.グリッド織りファブリックのシートなど、ポルシェ デザイン社を率いた名デザイナーのF.A.ポルシェからインスピレーションを受けた特別な内外装を採用。生産台数は90台限定
ポルシェAGは2025年12月11日(現地時間)、第8世代のポルシェ911(992)のハイパフォーマンスモデルに位置する「911 GT3」の特別仕様車「911 GT3 90 F.A.ポルシェ(911 GT3 90 F.A.Porsche)」を発表した。生産台数は90台の限定だ。
今回の特別仕様車は、ポルシェ デザイン(Porsche Design)社を率いたフェルディナント・アレクサンダー(F.A.)ポルシェ(Ferdinand Alexander Porsche)、愛称ブッツィ・ポルシェ(Butzi Porsche)の生誕90周年を記念したアニバーサリーモデルに位置する。F.A.ポルシェはポルシェ社の源流を築いたフェルディナント・ポルシェ(Ferdinand Porsche)の孫として、またポルシェ社の創業者のひとりであるフェルディナントの息子のフェルディナント・アントン・エルンスト・ポルシェ(Ferdinand Anton Ernst Porsche)、愛称フェリー・ポルシェ(Ferry Porsche)の長男として、1935年12月11日に生を受ける。1957年にポルシェ社に入社してからは904や906、そして初代911(901)のデザインに携わり、1972年には退社してドイツのシュトゥットガルトにポルシェ デザイン スタジオを開設。後にオーストリアのザルツブルク州ツェル・アム・ゼーに移転してポルシェ デザイン社に改め、“Form Follows Function (機能が形態を決める)”というデザインコンセプトのもと、さまざまなプロダクトデザインを手がけていった。設立当初は資本上でポルシェ社から独立していたが、2003年にはポルシェ社と資本提携して子会社となる。2005年以降は健康状態を理由に現役を退き、2012年4月に76歳で逝去した。
現在も続くアイコニックな911デザインの生みの親であるF.A.ポルシェの名を冠した911 GT3 90 F.A.ポルシェは、パワートレインに最高出力510ps(375kW)/最大トルク450Nmを絞り出す自然吸気の3996cc水平対向6気筒DOHCエンジンを搭載する既存の911 GT3ツーリングパッケージをベースに、内外装の随所にF.A.ポルシェをオマージュした特別なアレンジを施したことが特徴である。企画には、F.A.ポルシェの末っ子であるマルク・ポルシェが参画。また、限定90台の内の1台はマルク・ポルシェが所有し、残りの89台が世界中の顧客に提供される。
ボディカラーについては、特別調合色のF.A.グリーンメタリックを纏う。グリーンはポルシェ一族のファミリーカラーの1つで、F.A.ポルシェは1963年にデビューした911(901)の1台をアイリッシュグリーンで塗装し、父のフェリー・ポルシェに贈る。その後、オークグリーンメタリックやブリュースターグリーン、モスグリーン、オリーブグリーン、エンシェントグリーンなどがポルシェの車両に採用されてファミリーカラーに昇華。今回のF.A.グリーンメタリックは、マルク・ポルシェによると「父の911のオークグリーンメタリックを連想させる」という。

▲ボディカラーにはポルシェ一族のファミリーカラーの1つであるグリーンをオマージュした特別調合色のF.A.グリーンメタリックを採用。サイドにはサーキュラーデザインのスタートナンバー(ロリポップ)と“PORSCHE”ロゴを入れた装飾グラフィックを配する
ディテールにも徹底してこだわる。フロントボンネットには、1963年のクレストを再現して装着。このクレストはアルミホイールやキー、ステアリングホイール、メータパネルトリムのバッジとしても配備する。また、リアリッドグリルのベーンには1960年代後半から1970年代前半にかけて911に貼付された“PORSCHE World Champion”ステッカーをイメージさせる柄に、“PORSCHE”“F.A.PORSCHE”“90”のアニバーサリーロゴを配した特別な電気金メッキバッジを装着。さらに、サイドにはサーキュラーデザインのスタートナンバー(ロリポップ)と“PORSCHE”ロゴを入れた装飾グラフィックを、リアにはゴールドカラーの“PORSCHE”ロゴを配備する。足もとには、Fuchsfelgeのリムをモチーフに据えたサテンブラック塗装の20/21インチスポーツクラシックホイールを装着。リムのフランジには“GT3 90 F.A.P.”ロゴをエンボス加工で刻印した。

▲リアリッドグリルのベーンに1960年代後半から1970年代前半にかけて911に貼付された“PORSCHE World Champion”ステッカーをイメージさせる柄に、“PORSCHE”“F.A.PORSCHE”“90”のアニバーサリーロゴを配した電気金メッキバッジを装着
インテリアに関しては、F.A.ポルシェが控えめなスタイルながらはっきりとした印象を与えるチェック柄の上着を好んで着ていたことから、特別なF.A.グリッド織りファブリックを製作して、シートセンター部やグローブボックス、ボードブリーフケース、ラゲッジルームのリバーシブルマットに配備する。生地の柄は5色で、ブラック、グリーン、トリュフブラウン、クリーム、ボルドーレッドの糸を織り込んだ。このファブリックとマッチするよう、内装材にはトリュフブラウンのクラブレザーおよびチョークベージュの装飾ステッチを採用し、さらにF.A.ポルシェが使用していたクロノグラフ1をモチーフにアレンジしたスポーツクロノストップウォッチや、ウォールナットのオープンポア積層ウッドシフトノブ、前述のアニバーサリーロゴをエンボス加工で入れたセンター収納コンパートメント、“F.A.P”の刺繍を施したリアシート背面アッセンブリ、アニバーサリーロゴを映し出すドアプロジェクター、“GT3”“90”“F.A.P”のロゴが浮かび上がる照明付きブラックアルマイト加工アルミニウム製ドアエントリーガードなどを特別装備。ダッシュボードには911フライスライン/F.A.ポルシェシグネチャー/1963年クレスト/ONE of 90を刻印したシリアルプレートを配備した。
ちなみに、911 GT3 90 F.A.ポルシェの購入者には、スペシャルな用品も贈呈される。1つはF.A.ポルシェが使用していたクロノグラフ1にインスパイアされた特別仕様のクロノグラフ1。文字盤にはイニシャル、クラシックなカラーの幅広の針、ロゴやエンブレムなど歴史的なデザインのディテール、車両のホイールリムをデザインしたローターなどがあしらわれている。もう1つは、911 GT3 90 F.A.ポルシェの純正の車両用レザーで作られたウィークエンダーバッグ。トリュフブラウンのレザーを基調にチョークベージュの装飾ステッチを配し、またフロントポケットの裏地にはF.A.グリッド織りファブリックを、メインコンパートメントの裏地には高品質マイクロファイバーを張って、エレガントかつ機能性に優れたバッグに仕立てる。所有欲を満たすアニバーサリーロゴも装着した。
なお、ポルシェ ジャパンは911 GT3 90 F.A.ポルシェの注文を2026年4月から受付けるとアナウンス。車両価格は5071万円に設定している。
