
アウディA6アバントe-tron パフォーマンス/価格:1012万円。A6 e-tronはRWD(シングルモーター)のパフォーマンス系とAWD(ツインモーター)のS6系を設定。ボディタイプはアバント(ワゴン)とスポーツバック(5ドアクーペ)から選べる。プラットフォームはポルシェと共同開発したBEV専用のPPEを採用
アウディのニューモデル攻勢が続いている。2025年2月にA5、4月にはQ6 e-tron、7月にはQ5とA6 e-tronが日本で発売され、本国ではQ3の新型もすでにデビューした。
今回の紹介モデルは、プレミアムアッパーミドルBEV、A6 e-tronだ。A6 e-tronにはスポーツバックとアバントの2ボディがあり、それぞれパフォーマンスを名乗る標準グレード系とスポーツ仕様のS6 e-tronをラインアップする。駆動方式はパフォーマンス系がシングルモーターのRWD、S6 e:tronはツインモーターのAWD(クワトロ)となる。
基本骨格にはアウディがポルシェと共同開発した、電気自動車プラットフォーム、PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を採用。A6 e-tronはPPEとして初のフラットフロアコンセプトモデルだ。PPEによりすべての機能が向上。中でも優れた走行性能と長い一充電走行距離、そしてアッパークラスに匹敵する広い居住空間を実現した。
注目は圧倒的な航続距離の長さである。パフォーマンスの一充電走行距離(WLTCモード)はアバントが734km、スポーツバックは769km。スポーツバックに設定するレンジプラスパッケージを装着すると国内最長の実に846kmにまで伸びる。
メーカーがA6 e-tronを「一充電走行距離の新レベルを築く電気自動車」と声高にアピールするのもうなずける。超ロングクルーズが可能な「スーパーな航続距離」は、今後アウディ・ブランドの特徴となるに違いない。
この航続距離に貢献しているのが、アウディ史上ベストという空力性能だ。スポーツバックのCd値は実に0.21。車高が40mm高いアバントでも同0.24というからたいしたものだ。
試乗モデルは、ステーションワゴンのアバントe-tronパフォーマンスである。
スタイリングは見るからに滑らか。これまでにも増して丸みを帯びたフォルムが、優れた空力性能を実感させる。開口部のないシングルフレームグリルを備え、ホイールベースが長いのも特徴。ちなみに窓とドアの高さの比率は1対3。これは車高の高さを感じさせない工夫だという。
アウディ独自のライティングテクノロジーも進化した。オプションで前後とも8パターンのデザインが選べ、リアには周囲に注意を促すコミュニケーションライト機能まで装備している。リアの「フォーリングス」はイルミネーションで赤く光るようにもできる。
デジタルステージと呼ぶインテリアも先進的だ。アウディらしく緻密な仕上げと、鮮明な大型液晶パネルが印象的だった。Q6 e-tronに次いで採用されたARヘッドアップディスプレイや、ドアミラー機能をカメラ化した第2世代のバーチャルエクステリアミラーも用意している。
乗り込むと、室内の上質さに圧倒された。ディスプレイに囲まれる感覚が心地いい。9つのセクションごとに透明と不透明が選択できる新感覚のスマートパノラマガラスルーフ(op)により、開放感たっぷりだったのも印象的だった。
フロアはバッテリー搭載により少し高い。それでも後席を含めスペースは十分、荷室がキレイで見栄えするのもアウディらしい。ラゲッジ容量は後席使用時502リッター。最大で1442リッターまで拡大でき、ボンネット下には27リッターのスペースが設けられている。
モーターのシステム出力は270kW。ローンチコントロール起動時には280kWに上昇する。電装系は800Vシステムを採用しており、モーターは従来より30%小さく20%軽いユニットを搭載している。
試乗の舞台は、箱根のワインディングロードを中心に行った。A6 e-tronは極めて乗りやすく、驚くほど滑らかだった。しかも絶妙な一体感が心地いい。車重は2250kgとヘビー級だが、その重さを感じさせない。
4930×1925×1510mmという大きな車体が、まさに手の内で操れるのである。ステアリングフィールは優しい中にもしっかりとした手応えがあり、コーナリング時はノーズが軽やかに入っていく。この感覚はいかにも後輪駆動らしい。
スポーツモードを選択すると走りが変わるとともに、サウンドの演出が加わる。このサウンドは車内だけでなく車外に向けても演出されている点に驚いた。PからDレンジにチェンジすると、停止していても音がする。
試乗車はエアサス仕様。しなやかで路面をなめるように追従し乗り心地も素晴らしかった。先進装備も魅力的。ヘッドアップディスプレイは最新のAR(=拡張現実)型。ディスプレイに投影されている情報が遠くにあるように見え、道路に合わせたピントのままで必要な情報が確認できる。
A6 e-tronは、とにかく素晴らしい仕上がりだった。完成度という点では、これまで触れたBEVの中でベストである。この内容で約1000万だったら安いのではと感じたほどだ。
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