2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーはスバル・フォレスターが本賞を受賞。インポート・カー・オブ・ザ・イヤーはVW ID.Buzzがデザイン・オブ・ザ・イヤーとダブル受賞した。テクノロジー・オブ・ザ・イヤーはポルシェ911が獲得している。
実行委員会特別賞は、ポルシェ・エクスペリエンス・センター東京(ポルシェ・ジャパン)と一般社団法人スーパー耐久未来機構(SMOT)が受賞した。
本誌真筆陣で、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員を務める皆さんの投票コメントを紹介しよう。
こんなことを言ってはミもフタもないが、ジャンルも違えば価格帯もバラバラな10台に性能の優劣だけで順位を決めても大した意味はない。そこでハードウェアの完成度をベースとするのはもちろん、ここに時代性や独創性といった要素、さらには私自身の価値観を盛り込んで1位から10位までを決めた。したがってこれが製品としての優劣だけで決めた順位ではないことを先に申し上げておく。
そのうえで、今年の10ベストは「ただのいいクルマ」だけでなく、味わいの深さ、新しい商品価値を提案するモデルが多く、とりわけトップ4の順位を決めるのは例年以上に難しかった。クラウンの項でも書いたとおり、これは日本自動車文化の熟成振りを反映したものといっていいだろう。
2025年はいつも以上に印象的なクルマが何台も出てきたので、こちらに10ベストカーに選出されるだけでも価値がある年だったように思います、レギュレーションも大きく変わりました。その中で、私は「その年を象徴する“何か”を持っているクルマ」をテーマにこれまでも評価していますが、最後まで迷ったのは、攘夷の順位付けをどうするかでした。フォレスターもプレリュードもクラウンもすばらしい仕上がりであるこは間違いありませんが、まったく違う個性を持ったクルマたちであり、そこをどう評価するかは本当に難しいことでした。結果的に、とくにプレリュードフォレスターをどうするかは本当に迷ったのですが、歴代モデルとはひと味違うものを強く感じさせたフォレスターに最高点を投じたいと思います。プレリュードもどこか気に入らない点があったわkではまったくありません。配点としては8点の差となりますが、気持ちとしてはもっと小さな差です。一方で、発表さまれしたが納車が始まっていないクルマについては、限られた機会の中で完成度の高さを確認する機会はあったものの、どうしても高く評価することはできませんでした。そのあたりは今後、扱いを「どうすべきか関係者の方々と何らかの議論の機会があってもよいように思います。
基本的には数年後その年を振り返った時に「あのクルマが発売になった年なんだ」となるものが高く評価されればいいと考えます。そしてそこに必要なのは”完成度の高い仕上がり”と”個性”。完成度の高い仕上がりでもブランドとしての個性がなかったらダメですし、その逆のパターンもダメだと思います。その”個性”は、”ハードウェア”と”走り”と”デザイン”から成り立ちます。そしてそれを鑑み、今年はスバルフォレスターをトップに評価しました。”らしさ”がポジティブに結合し、魅力的なクルマが誕生しました。
BEV、PHEV、S-HEV、M-HEVと、10ベストカーすべてが電動化されているところに時代の流れを改めて感じました。機構的な進化もそうですが、空力を考慮しつつデザイン的にもバリエーションが増え、またカテゴリー的にもそれぞれの個性が打ち出されて、クルマ好きとしてはまた楽しみが増えそうな、期待感を再び持てるような流れになってきたことが喜ばしいです。今後の新技術や、驚かされるような新デザイン、思わずポンッ!と膝を打ってしまいそうな目の付け所等々、電動化されたからこそできたことが盛り込まれることを、今後も期待し続けたいと思います。
ツブ揃いの年だった。まずは10ベストを選ぶことさえ難しかったのだから、袖ヶ浦に集結したモデルたちはひと通り”専門家のお墨付き”、すべてオススメモデルであると言っていい(裏を返せばそれ以外にも良いクルマは何台かあったので、シャドウCOTYも見せたいくらいだ)。
個人的には最後までプレリュード、フォレスター、クラウンエステートで悩んだが、元来の”最小ドア枚数”好きが、街中から専用道、ワインディング、そしてミニサーキットでと、最も気分良くドライブできたモデルということでプレリュードを1位に据えた。還暦を迎えた老夫婦が旅先で、例えば北海道の空港から支笏湖を目指して走り出すようなシチュエーションにピッタリな一台だと思う。
2位と3位はほとんど差がなかった。パワートレーンの違いによってモデルの個性が変わってしまうという点でもほとんど同じ評価のクラウンエステートとフォレスターだったが、モデルとしての個性を持ちうるパワートレーンでより強く表現したクラウンを2位とした。
フォレスターはデザインとストロングハイブリッドという2つの強力な魅力を得てスバルの主役モデルとなったが、肝心のストロングハイブリッドにスバル味がさほどなく、それでいて燃費も驚くほど良いとはいえない(スバリストはそう思わないかもしれないが!)点が最後まで引っかかった。加えてインテリアデザインの野放図さも気になった点だ。
トップ3を日本車が占める。私にとっては近年ないことだったが、それだけ魅力的な国産車が増えているということだろう。加えて有名どころの輸入ブランドがグローバル(もしくは巨大)市場を意識するあまり、日本人にとって「なんとしてでも欲しい」と思わせる力を失いつつあるようにも思う。走りはともかくデザイン面での迷いが顕著だ。来年以降、輸入ブランドの巻き返しに是非とも期待したい。

「価格に対する感動や驚きはあるか?」「その価格を出してどれだけ幸せになれるか?」これらを主軸として選考させていただきました。これらの主軸をベースに次いで動的質感や走行性能を加味してきましたが、そういった総合評価の中でフォレスターは個別コメントにも書いたように新規ファンや既存ファン、多くの人が嬉しい進化をしながら実質的な値上げ幅が少ないことが最も高い点数を投票させていただく理由となりました。
ムーヴも同じく、軽自動車ユーザーに寄り添った厳選した装備内容で価格を抑えながら、電動スライドドアをリーズナブルに提供できたことが高評価のポイントです。 プレリュードに関しては価格だけを見てしまうと割高感がありましたが、実際に乗ってみるとこれまでになかった新しい世界観をしっかりと創造していて、その金額を出すだけの価値があると感じられるモデルでした。
総評ということで、1台1台を振り返ると長くなってしまいますが、思えば10ベスト車の選考からとても悩んだのを覚えています。悩んだ時に国産車、インポートカーと入り混じる中で「日本のユーザーがその価格を出すときに幸せなれるか?」と今一度考え直して選考させていただきました。立ち止まって考えなおし、投票上位とさせて頂いたのがインスターです。動的質感で若干気になる点はありましたが、個別コメントにも書いたようにコンパクトなサイズとV2H・V2Lの装備が「日本」カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員として評価したいと思わせてくれたポイントでした。
冒頭でお伝えさせて頂いた選考基準で考えると価格はもちろん、質感や走行性能、世界観、そして日本ユーザーが望むであろう装備を有しているか否か、といった部分もかなり重要でした。これらの要素を総合評価させて頂き、投票いたしました。
今年のカー・オブ・ザ・イヤーを一言で言うと「多様性」です。様々な価格帯、様々なボディサイズ、様々なカテゴリー、様々なパワートレインを持つ10台を評価するのはとても難しく、採点は例年以上に悩みに悩みましたが、逆にユーザーにとっては様々な選択肢がある時代に戻ったように感じています。選考はいつもの車両評価と同じで、作り手の想いと乗り手の想いがリンクしているクルマを、感情的にならず、でも理性的でもないフラットな評価で採点しました。
2025年は、いまひとつ新型車の決め手に欠ける年だったと思う。多くの日本のユーザーが「待ってました!」と喜ぶ車種が少なかった。しかし環境対応では注目できた。フォレスターはストロングハイブリッドのS:HEVで優れた走行性能を実現させ、電気自動車のリーフ、eビターラ、N-ONE e:も登場した。若い頃に憧れたプレリュードも復活して、名脇役が出そろった。そしてジャパンモビリティショー2025は、市販を前提にしたプロトタイプで大盛況だった。来年は期待できますよ!
