【本格ヨンクがカッコいい!】トヨタ・ランドクルーザーは「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」。250は「生活実用」を体現した誰もが憧れる主力

トヨタ・ランドクルーザー250ZX/価格:8SAT 735万円(写真はルーフレール未装着車)。250はランドクルーザーの主力。日本では2025年1〜7月に約1万9000台を販売。中間のVXグレードが一番人気

トヨタ・ランドクルーザー250ZX/価格:8SAT 735万円(写真はルーフレール未装着車)。250はランドクルーザーの主力。日本では2025年1〜7月に約1万9000台を販売。中間のVXグレードが一番人気

タフでスタイリッシュ。乗っても凄い

 ランクル250の人気が高いのはいわずもがなだ。街中で走っている姿をたくさん見かけるし、ブックストアにはカスタム本が多数並んでいる。ノーマルで乗っている人もいなくはないが、おおよそ何かしら手を入れているケースが多い。

 人気の理由はいくつもある。まずランクル300やランクル70よりも手に入りやすいのがポイントだ。納車待ちの間に改良型が発表されると、「私のはどっちだ?」と心配になる。それに3、4カ月くらいの待ちならまだしも、2年とか3年も必要となるとテンションは落ちて当然である。その点、ランクル250は販売の比重を日本に多く置いているので納車までの時間は。6カ月から長くても1年半程度。300や70とは違う。

走り01

走り02

 よって最近は街に250は溢れている。信号待ちで複数台が並んでいる姿を目撃したこともある。確実に納車のペースが上がったのだろう。確かに、こうなるとカスタムという手段が輝き出す。他人とは異なる自分のオリジナルなランクル250をガレージに収めたくなるのが心情だ。

250は本来のランクルに原点回帰。日本でも使いやすい

 250の骨格は300系で使われているGA-Fプラットフォームを採用する。一部にハイテン材を使ったラダーフレームで剛性を高めている。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンで、リアはトレーリングアーム式のコイルスプリングを採用。70のリアはリーフリジッドなのでそれとは違う。250のほうがオールラウンド性と乗り心地を重視しているのがわかる。

 エンジンは2.7リッター直4の自然吸気ガソリン(165㎰/246Nm)と2.8リッター直4ディーゼルターボ(204㎰/500Nm)をラインアップする。後者は70に積まれるのと同じユニット。ちなみに、300は3.5リッターV6ツインターボのガソリン(415㎰/650Nm)と3.3リッターV6ディーゼル・ツインターボ(307㎰/700Nm)という設定。ボディサイズと車両重量の違いがパワーユニットにも関わっている。

リア

フレーム

 グレードは上からZX/VX/GX。すべてにディーゼルエンジンがあり、中間グレードのVXにのみガソリンが用意される。これはクロカンとディーゼルエンジンの親和性によるものだろう。低回転で太いトルクを発揮するディーゼルの特性は、トラクションをかけやすい点でオフロード向きだ。

 スタイリングはスクエアなフォルムで形成される。リアピラーが太いのはランクルの伝統。ここでこのクルマがその系譜にあることをアピールしている。ボンネットの左右が盛り上がっているのは角を把握しやすいからで、中央部分が凹んでいるのは前方視界を広くするため。オフロードを走るうえでこの配慮は大きなメリットとなる。バンパーもそう。よく見ると上下に二分割、左右に三分割されている。石や木にヒットして凹ませてもバンパー全体を取り替えなくても済むようにしてある。傷ついたピースだけの交換で修理代を低く抑えるのだ。それらを含めこのクルマを本気のクロカンとして使うのであればエントリーモデルのGXをオススメする。オーバーフェンダーがないこちらの全幅は1940㎜となり、40㎜他のグレードよりもナローになる。

真横

インパネ

 四駆システムに関しては、マルチテレインセレクトと呼ばれるトヨタ自慢の制御システムを搭載する。L4モードではAUTO/SAND/MUD/ROCK、H4モードではAUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP SNOWといった切り替えができる。あとはクルマが自動制御で勝手に走ってくれるといった感じ。そしてよりハードなエリアではクロールコントロールを起動すればOK。1〜5㎞/hくらいでゆっくりトラクションをかけながら地面を這うようにして進む。

 この他ではセンターデフをロックできるのは当然のこと、リアデフのロック機構までついている。まずもってここまで必要とする場所にはそうやすやすとは行かないだろう。だが、あると心強いのは確かだ。さらにいえば、今回SDMと名付けられたフロントのスタビライザーをフリーにする機構も備わった。荒れた路面で浮きそうな前脚を伸ばして、効率よく路面に駆動力を伝えるデバイスだ。ジープのラングラー・ルビコンにも同様な装備があるが、こちらもいざというときに威力を発揮するデバイスである。

 こうした機能を適切に起動させながら、マルチテレインモニターやアンダーフロアビューを表示するとオフロード走行はより優しくなる。ボディに装着されているカメラがドライバーの死角をほとんどなくしてくれるからだ。出っ張った岩や石で、フロアをゴツンなんて打ち付けることはなくなるだろう。アンダーフロアビューなどはレンジローバーあたりが搭載する装備。その意味では高額な機能ともいえる。価格帯が250比で3倍くらいのクルマだからだ。技術の進化で低コスト化が実現されたのだろうが、ありがたいアイテムであることは間違いない。

リアゲート01

リアゲート02

 というのがランクル250の概要。現在のこのブームの中で広くウケているのはやはりデザインの力に他ならない。そもそもクロカンから始まった背の高いクルマがSUVとなり、さらにSUVクーペのようなスポーティなスタイリングへ発展し、今日のようなバラエティ豊かなラインアップとなった。となるとここは原点回帰といった流れが起きても不思議ではない。逆張りしたくなるのが心情だ。この250はまさにそんな欲求を絵に描いたようなカタチで誕生させた本格派といえる。

【メーカーメッセージ】ランクルは世界中で鍛えられた最強ブランドです!

 ランドクルーザー(ランクル)は、トヨタBJ型として1951年8月1日に誕生し、生誕から74年を数える息の長いモデルです。誕生直後、クルマとして初めて富士山6合目の登山に成功。その時から、このクルマだからこそ行き来できる場所でさまざまな人々の安全と安心を提供する使命を背負ってきました。その後、世界中のお客様に育てられ、鍛えられることで「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」という価値を鮮明化。信頼性、耐久性、悪路走破性の継承と進化を続けながら、現在までに約170の国と地域で、1200万台のランクルが人々の命や暮らしを支えています。

正面

並び

 販売中のモデルは3種類です。フラッグシップとして、つねに最新技術を導入するステーションワゴンの300シリーズ。業務用途や過酷な環境での使用を主体とするヘビーデューティな70。そして人々の生活と実用を支える、ランクルの本質に“原点回帰”した250シリーズです。250は、300と同じプラットフォームを採用しオフローダーとしての基本性能を高めるとともに、伝統とモダンを融合したデザインを採用。新世代ランクルとして、操縦のしやすさと快適性を大幅に向上させました。クラストップの先進安全性能も目指しています。ランクルは、社会の要望に応えながら、世界中のお客様の生活と実用を支え、信頼されるクルマであり続けます。
※トヨタ自動車 広報部 リレーション室 クルマG

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キャラクター

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雑誌『CAR and DRIVER』連動記事

CAR and DRIVER (2025年11月号)のご紹介

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