【最新モデル試乗】モータースポーツを通じて「理想」に近づく! 25式トヨタ・GRヤリスにエアロパフォーマンス PKG激走

トヨタGRヤリス・RZハイパフォーマンス・エアロパフォーマンスパッケージ/価格;6MT 547万5000円/8SAT 582万5000円。エアロパフォーマンスパッケージは空力&冷却性能を6種のアイテムで高めたopパッケージ(49万5000円)。スーパー耐久や全日本ラリー選手権で得た知見を積極導入。プロドライバーとともに理想を追求した。RZハイパフォーマンスとRCグレードに設定する

トヨタGRヤリス・RZハイパフォーマンス・エアロパフォーマンスパッケージ/価格;6MT 547万5000円/8SAT 582万5000円。エアロパフォーマンスパッケージは空力&冷却性能を6種のアイテムで高めたopパッケージ(49万5000円)。スーパー耐久や全日本ラリー選手権で得た知見を積極導入。プロドライバーとともに理想を追求した。RZハイパフォーマンスとRCグレードに設定する

サーキット全開チェックで進化を実感

 2025年型GRヤリス、彼ら流でいう「25式」については以前もレポートした。GR-DAT(8速AT)を積んだモデルを公道で走らせ、GRヤリスの進化を強く感じたのを覚えている。

 そして今回、それをサーキットで走らせる機会を得た。場所は袖ヶ浦フォレストレースウェイ。ここ数年新車の試乗会に使われていることもあり、比較的走り慣れたコースだ。

 用意されたのはGRヤリスのデビュー版となる20式MT車、25式同MT車、25式同DAT車、それと25式同DAT車のエアロパフォーマンスパッケージの4台。順番にステアリングを握らせてもらった。1モデルあたり5周を2セット試し、それを4モデル繰り返す。合計40周余りのサーキット走行である。25式は今年4月に発表され、スタンダードモデルは5月に販売を開始。そして今回の目玉となるエアロパフォーマンスパッケージ(49万5000円高のメーカーop)もまた4月に発表され、9月の発売となった。

GRヤリス02

九島クン

進化を実感。25式エアロパフォーマンスパッケージは意のままに走る

 インプレッションを報告しよう。最初に乗った20式GRヤリスMT車は、これで十分速いと思った。スタートから踏んでいくとどんどんストレスなく加速する。ヘアピン手前のハードなブレーキングでは少々挙動が乱れるが、アクセルとステアリング操作でなんとか持ちこたえ次に進む。その後の高速コーナーは舵角一定でキレイにラインをトレースするのが気持ちいい。なかなかいい感じだ。

 だが、25式GRヤリスMT車に乗り換えると、違いは明らかだった。最高出力とトルクの違いは20式の272ps/370Nmに対し、25式は304ps/400Nmに増強。全般的にパワフルになっているのはもちろん、細かいアクセル操作に対するピックアップのよさと回転上昇にリニアに反応する加速は数字以上。マックスパワーを出すまでのプロセスの違いを感じる。なので、20式の感覚でコーナーに入っていくとオーバースピードになる。それでも車体は安定しているので驚きはするが恐怖はない。ステアリングとアクセル操作に集中すれば、うまい具合にクリッピングポイントからアクセルを踏みにいけるから楽しい。結果、コーナリングスピードは明らかに上昇している。タイム計測をすると25式に軍配が上がるのは間違いない。ストレートの伸びをみても自然と進入速度は速くなっているはずだ。

白ハイアングル

インパネ

 3台目の2ペダルモデル、DATは個人的にすごいと思った。とくにDレンジでの変速が印象的で、アクセルとブレーキ操作に合わせて的確なギアを選択してくれる。コーナー手前で強めにブレーキを踏むと4速から2度のブリッピングをしながら2速へ落ちてくれるのには感激だ。スーパーカー系では珍しくないが、GRヤリスのカテゴリーでこれだけ精緻な動きをするギアボックスはあまり記憶がない。

 パドルシフトを使った動きも悪くない。とくに加速時にはほしいだけエンジン回転数を上げられるので気持ちがいい。この辺の感覚はコンマ何秒の差で好みがあるから大切だ。ただ、シフトダウンに関してはギアを守るための制御が働く。なので、MT車と違って攻めきれない場面があった。この辺はセンサー類で状況を読んでブレーキシリンダーの圧力を高めるなどしてシフトダウンの幅を広げてはどうだろう。次なる進化に期待したいところである。

走り

エンジン

 最後に今回の目玉GRヤリスDAT車のエアロパフォーマンスパッケージを味見した。やはりその走りのパフォーマンスは抜群。この日のラスボスといったところで、最後に美味しいところを持っていったという印象だ。具体的にいうなら、25式のステージをさらに高めている。サーキットで走らせるクルマの挙動をすべての領域で安定させたのだ。ストレートはもちろん、あらゆるコーナーの入り口から出口までクルマが路面に張り付いたように動く。それが大きくわかるのはタイトコーナー入り口で、フロントリップスポイラーが前輪操舵を確実なものにし意のままに回頭する。鼻先が鋭角に入っていくさまは、まさにその効果だ。フォーミュラマシンがヘアピンでクイッと向きをかえるようなイメージとなる。

 エアロパフォーマンスパッケージについて説明すると、このフロントリップスポイラーの他に5つのパーツが装着される。ダクト付きアルミフード、フェンダーダクト、燃料タンクアンダーカバー、可変式リアウィング、リアバンパーダクトだ。資料ではコーナリングスピードが20km/h上がり、富士スピードウェイで約1秒ラップタイム短縮を実現したと記載してある。エアロパーツがサーキットにおいて、どれだけ重要な役割をするかがわかる。というか、今回はそれの「ある無し」を比べられたことで、違いをリアルに体感できた。

フロント

リアスポイラー

アルミ

 以上が25式GRヤリスをサーキットで走らせた印象だ。ボディを堅牢にし足を動かすことで奥行きのあるクルマに仕上がっている。ダンパーの減衰圧とバネレート、さらにはパワーステアリングまで新しくセッティングし直した。ベースなった24式をさらに煮詰めたといったところだろう。そして、本気でサーキット走行するならエアロパフォーマンスパッケージをお勧めする。挙動が安定することでこれまで厳しかったコーナーがイージーに思えるかもしれない。その意味でもこのクルマは目的がハッキリしている。

エンブレム

諸元

フォトギャラリー

SNSでフォローする