スズキのX Bee(クロスビー)が新世代に移行した。クロスビーはワゴンとSUVを融合した新ジャンルカーとして2017年12月にデビュー。アイコニックなデザインと優れたユーティリティで独自のポジションを構築しているオンリーワンモデルである。
新型は、「かっこいいスポーティ」をキーワードに全面進化した。基本骨格はそのままに、スタイリング/快適性/安全性能/走りを大幅にアップデートしている。開発コンセプトは「アクティブシーンに似合う個性的なデザインと広い室内空間を兼ね備えたコンパクトクロスオーバー」。チーフエンジニアの飯田茂氏は「新型は従来から好評の使い勝手のいいパッケージングを維持しながら安全性、快適性、燃費、走りなど、全方位でリファインしました。クロスビー独自の強みを大切にしながら、一段とアクティブでSUVらしいイメージを鮮明にしています」と説明する。
クロスビーのポジショニングは、スズキの小型SUVラインアップの中で、アウトドア&クロカンのジムニーシエラ&ノマドと、都会派のフロンクスの中間に位置する。Kカー+αの3760×1670×1705mmのコンパクトサイズと最小回転半径4.7mが生み出す機動性は大きなアピールポイント。行動派のオールラウンダーとして最適な性格といえる。
ラインアップはMXとMZの2グレード構成。全車がマイルドHVで、パワーユニットは従来の1ℓ直3ターボ(99ps/150Nm)から、スイフトやソリオと共通の新世代1.2リッター直3自然吸気(80ps/108Nm)に変更された。WLTCモード燃費は、21.0〜22.8km/リッター。従来の17.0〜18.2km/リッターから大幅に上昇し、全グレードがエコカー減税対象車となる。駆動方式はFFと4WDから選べる。
新型は新造形のフロントマスクが印象的。クロスビーの象徴である丸目のヘッドランプを踏襲しながら角を丸めた四角をモチーフとして、たくましい印象を訴求する。従来のファニーなイメージから、すっきりと凛々しい印象にチェンジした。さらにアルミはクロスビーのXをモチーフにした新形状。ボディカラーに新色のミスティックブルー(写真)を設定したのもポイントだ。最近のクルマ選びはカラーリングが重要となっているが、新型は、ルーフ/サイドカラーパネル/バンパーガーニッシュをブラックで統一した“ブラックタフ2トーン”を含む2トーン9種、モノトーン4種の全13タイプから選べる。このあたりは、ユーザーニーズに精通したスズキらしい。さすがだ。
室内はコンパクトサイズを感じさせないルーミーな仕上がり。インパネに本革とステッチを模したパネルを設定し、メーターはスズキ初採用の7インチフル液晶タイプ。収納を増やした2段コンソールが機能的でパーソナルな印象をアピールする。
カスタム感覚を求めるユーザーに向けて、レザー調&ファブリックのシート表皮と専用カラーのインテリアカラー、ヘッドアップディスプレイ、LEDルームランプをセットにしたアップグレードパッケージ(op 6万9300円)も用意したのも朗報だ。
快適装備の充実ぶりはまさにクラスレス。ステアリングヒーターをはじめ、急速充電機能を備えたUSB電源ソケット、スマホのミラーリングが可能な全方位モニター付き9inメモリーナビ(op 20万1300円)などを用意している。ちなみに後席は左右独立で165mmのロングスライドと10段階のリクライニングが可能。ゆったりとくつろげるのはもちろん、シートバックを倒すと広々としたフラットスペースが出現する。ラゲッジ下には取り外しできるサブトランクを装備している。
新型は安全・運転支援システムの充実もニュースだ。全車に作動範囲を自動二輪や自転車にも拡大したデュアルセンサーブレーキ2と、全車速追従機能を備えたアダプティブ・クルーズコントロールを標準装備。降車時警告機能をプラスしたブラインドスポットモニター、夜間の視認性を高めるアダプティブハイビームアシストをMZに設定した。MZはドライバーの負担を軽減するホールドモードが選べる電動パーキングブレーキも備えている。
メカニズム面は、パワートレーンを新世代の1.2リッター直3エンジン(Z12E型)とCVTのマイルドHV仕様に刷新すると同時に、ボディへの減衰接着剤の採用で剛性と静粛性を向上。足回りは各部の剛性アップと設定の見直しで操縦性と乗り心地をリファイン。コーナリング時に内輪にブレーキを掛け、スムーズな旋回を可能にするアクティブコーナリングサポートを新装備した。さらに従来は4WD車のみだった走行モード切り替えを2WD車にも採用。全車でスポーツ/スノー/グリップコントロール/ヒルディセントコントロールが選べる。