【カーデザインを語ろう】911は60年以上の歴史を誇るフラット6&RRスポーツ。一貫したイメージでポルシェの絶対アイコンに

ポルシェ911は、1963年にプロトを発表、翌年から本格生産を開始。デザインを手掛けたのはフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ

ポルシェ911は、1963年にプロトを発表、翌年から本格生産を開始。デザインを手掛けたのはフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ

虚飾を廃した無駄のなさ、それが911のアイデンティティ

 ポルシェ911は1963年のフランクフルト・ショーでプロトタイプの「901」を発表。翌1964年から「911」の名で生産がスタートした。車名が変更された理由は、プジョーが中央に「0」の入る車名の権利を所有していることが判明したからだった。

リア

リアルスポーツながら実用的な2+2パッケージを実現したのが911の特徴。エンジンは一貫してフラット6

リアルスポーツながら実用的な2+2パッケージを実現したのが911の特徴。エンジンは一貫してフラット6

 現在までポルシェの象徴として定着しているスタイリングを手がけたのはフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ。356を手がけ、911の開発も統括したフェリー・ポルシェの長男である。彼はフェリーから提示された①ホイールベース2200mm程度の2+2ボディとしながら、356より居住性とラゲッジスペースを拡大させる。②リアに空冷水平対向6気筒ユニットを搭載する。③ひと目でポルシェとわかる。という条件を満たす造形を見事に創造する。911はコンパクトで無駄がなく、しかも広い室内空間を実現していた。そしてなにより機能を最優先したフォルムが、ポルシェを感じさせた。

911の歴史はすでに60年以上。何回かのモデルチェンジを経ているがスタイリングは初代のアイデンティティを継承。ヘッドランプ処理と特徴的なルーフラインが911であることを物語る

911の歴史はすでに60年以上。何回かのモデルチェンジを経ているがスタイリングは初代のアイデンティティを継承。ヘッドランプ処理と特徴的なルーフラインが911であることを物語る

 911は、アレクサンダーの手がけた造形を大きく変えることなく時代に対応。すでに60年以上の歴史を誇る。最新の911(992-2型)も特徴的なランプ形状とルーフラインを継承。どこから見ても911そのものだ。それだけではない。ポルシェはいまや多彩なラインアップを持つプレミアム・ブランドに成長しているが、そのすべてが911のイメージを踏襲している。それはBEVのタイカンも例外ではない。
 千葉匠氏は「911の初代のモチーフをうまく使っている。無駄のないカタチという点が伝統」と評価する。

最新911(992-2型)も機能最優先フォルム。どこから見ても911そのもの。ただし初代比でサイズは拡大。992-2型のスリーサイズは4542×1852×1295mm。対して初代は4163×1610×1320mm

最新911(992-2型)も機能最優先フォルム。どこから見ても911そのもの。ただし初代比でサイズは拡大。992-2型のスリーサイズは4542×1852×1295mm。対して初代は4163×1610×1320mm

 

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