【クルマの通知表】自動運転が射程距離に!? 高速道路で安全・快適にハンズオフが楽しめるアコード・ホンダセンシング360+の豊かな可能性

ホンダ・アコードe:HEVホンダセンシング360+/価格:599万9400円。360+は高精度地図とGPSを活用、高速道路でのハンズオフを実現。設定した速度で車線中央を走行する。前方に遅い車両を検知すると安全を確認した上で車線変更をサポートする「レコメンド型車線変更支援機能」も搭載。システムの完成度は高く、安心して使える

ホンダ・アコードe:HEVホンダセンシング360+/価格:599万9400円。360+は高精度地図とGPSを活用、高速道路でのハンズオフを実現。設定した速度で車線中央を走行する。前方に遅い車両を検知すると安全を確認した上で車線変更をサポートする「レコメンド型車線変更支援機能」も搭載。システムの完成度は高く、安心して使える

安心・安全な「使えるハンズフリー」新搭載。これは新たなクルマとの対話である

 アコードe:HEVホンダセンシング360+は、量産モデル用に開発した高度な運転支援システムを初搭載した期待のサルーンだ。高速道路ではGPSと高精度地図情報を活用し、アクセル/ブレーキ/ステアリング操作を支援。ハンドルから手を離したままでクルージングが楽しめる。さらにハンズオフ時にはシステムが追い越しを提案し、ドライバーが承認するとウインカー操作から復帰までを自動で行う「レコメンド型車線変更支援」が利用できる。

アコード01

 先日の試乗会で御殿場周辺の高速道路を走った印象は上々だった。完全自動運転は、ひょっとすると意外に早く実現するかもしれない、と感じたほどである。今回、ホンダセンシング360+(以下360+)をさらに深く知りたいと思い、ロングドライブに連れ出した。

 まず確認したかったのは、レコメンド型車線変更支援。初試乗では、ときおり待たされるのが気になった。今回もこの点は変わらなかった。承認のスイッチを押しても車線変更が始まらず、受け付けられていないのかと思ってもう1回ボタン押すと、「受け付けをキャンセルしました」と表示されたり、だいぶたって忘れたころに車線変更しはじめたりした。とはいえ、これはシステムが安全を最優先して、慎重に状況を確認していることの証明といえる。

 車線変更はレコメンドだと大なり小なり遅れることがあるのは確か。それなら自らウインカーを操作して車線変更だけを任せるのが手っ取り早いだろうと考えたが、そうでもない。ウインカー操作をしても、安全が確認されなければ、当然ながら車線変更を行わないからだ。対してレコメンドの場合は条件が整うのを待っていずれは車線変更してくれる。すぐに車線変更が始まらないからとイライラせず、クルマ側の判断に委ねるのが360+とうまくつきあうコツのようだ。ハンズオフ走行時のドライバーは、ゆったり移動の時間を楽しむのに専念するのがベストである。

リア

 360+の制御は実に的確。Rのきついコーナーが近づくと、自動的に車速を抑えるだけでなく、ハンズオフ支援が終了したり、車線変更支援が行われなくなったりする。賢いのはコーナー走行時でも車速が急に落ちることがない点だ。周囲のクルマの流れを乱さない。ACCも含め支援が終了してから復帰するまでの時間が短いところもいい。360+はつねに使えるというのが率直な印象だ。

 LKAS(車線維持機能)の精度は一般的なカメラで白線を検知するシステムとは別次元の高精度。白線内であちこち動いてしまう印象はほぼない。開発者から「360+は大型トラックの横を走るときには吸い寄せられないよう自動的に距離を開けたり、カーブではイン側のラインを走ったりと、一般的なドライバーが無意識で行っている操作を自動的に行う」と聞いたが、そのとおりだ。システムが適宜制御しているのがわかる。

 Googleマップと連携したカーナビも賢い。設定した目的地に合わせて高速道路の分岐や出口が近づくと車線変更をレコメンドしてくれるのは助かる。

高速道路の約95%でハンズオフを活用。細かな課題はあるが「実用的な最先端」

 360+は市販車としては最先端システムであり、自動運転レベル2を極めたものだ。それを承知で、今回アラ探しをしてみた。気になったのは、突発的に車線規制が始まるときの対応だ。360+は、工事区間でカメラが人やパイロンを確認するとハンズオフ支援が終了するようになっている。これは大正解。だが、規制される側の車線を走行していても、車線変更を促すステアリング支援はしないのは惜しい。ドライバーの判断でステアリングを操作しないと、パイロンをなぎ倒してしまう。

ハンズオフ

 ACC走行時の車間距離も注文がある。「最接近」に設定したときには、もう少し前走車に近づいてほしい。渋滞時にはけっこう前に入られてしまう感じだった。さらに本音をいうと車線変更もハンズオフのままアシストしてもらえるとベストだ。また、周囲の交通状況の表示に、一部車種が実現している歩行者までは表示する機能をプラスしてほしい。個人的に好みなこともあるが、より安全だと思うからである。また「前方に遅い車両がいます」というのは的確に表示するのに対し、後方に車両がいないのに「後方に接近車両がいます」という旨がたびたび表示された。

メーター

スイッチ

 今回、合計1000km超を走ったうち約900kmが高速道路だった。感覚としてはその95%以上をハンズオフで走れたように思う。経験上、他社のシステムでは途中でキャンセルされてしまうであろう長いトンネルを走っても、しっかり機能が継続されたことに感心した。また昼間と夜で性能の違いは感じられなかった。機能に関わるランプ類も昼夜を問わず見やすい。試乗中はずっと好天で、この種の運転支援システムが状況によっては苦手とする雨天で走れなかったことは、ちょっぴり残念だった。

 アコードは360+を得て、さらに完成度を高めている。高度なハンズオフ機能のおかげで、ロングドライブでも非常に疲労が小さくてすんだことを強調しておきたい。

通知表/ホンダ・アコードe:HEV Honda SENSING 360+/価格:599万9400円

チャート

総合評価:74点

Final Comment
まずクルマとしての完成度が高い
だからこそ先進の運転支援機能が光るのだ

 採点で、360+のメリットが反映される項目はあまり多くないが、e:HEVのリニアなレスポンスと優れた燃費性能で総合的にポイントを重ねた。クーペフォルムに近いセダンゆえ乗降性や視界など使い勝手の面ではどうしても点数が伸びないが、荷室の広さには驚いた。奥行きは非常に長く、天地高も思ったよりある。乗り心地は、路面の影響を受けやすい傾向があった。良路での巡行時はフラットでも荒れた路面では意外とばたつきを感じた。

使い勝手

快適性能

動力性能

魅力

テストコース

諸元

フォトギャラリー

 

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