【最新モデル試乗】先進を感じるスタイリングと走り。アウディQ6 e-tronは、すべてが新鮮なBEVである!

アウディQ6 e-tronはAWDのアドバンスト・クワトロ(998万円/写真)とRWDのアドバンスト(839万円)、そしてスポーティ仕様のSQ6(1320万円/AWD)の3グレード構成。オプションで全車にエアサスペンション仕様、アドバンスト・クワトロは航続距離が644kmから731kmに伸びるレンジプラスパッケージを用意している

アウディQ6 e-tronはAWDのアドバンスト・クワトロ(998万円/写真)とRWDのアドバンスト(839万円)、そしてスポーティ仕様のSQ6(1320万円/AWD)の3グレード構成。オプションで全車にエアサスペンション仕様、アドバンスト・クワトロは航続距離が644kmから731kmに伸びるレンジプラスパッケージを用意している

「アウディ=カッコいい」という図式が戻ってきた!

 今日のように各ブランドがBEVをラインアップする数年前、2020年にどこよりも早くフル電動車を市場導入したアウディが、新世代のBEVを登場させた。人気のSUVシリーズに属するQ6 e-tronである。

 新世代を特徴づけるポイントは、新たなプラットフォームの採用である。彼らはそれをポルシェと共同開発した。PPEと呼ばれるのがそれで、マカンElectricと共有する。PPEは「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック」の頭文字。いわずもがなのBEV専用プラットフォームである。

 しかも今回は、リチウムイオンバッテリー自体が新設計で、12のモジュールと180のプリズムセルから構成される。少ないスペースで高出力を出すよう進化した。一充電当たりの航続距離が伸びたのはその成果で、2020年のe-tronはWLTCモード335kmだったものが、今回は672kmとおよそ2倍になっている。Q6 e-tronのバッテリー総電力量は83kWhで、Q6 e-tronクワトロは100kWh。最高出力と最大トルクはそれぞれ185kW/450Nmと285kW/580Nmを発揮する。

走り

九島さん

 このBEV専用プレミアムクラスのプラットフォームについてはかなり前に話を聞いたことがあるので、デビューはバッテリーの進化待ちだったのかもしれない。BEVに関してはまだ効率を求める項目が多いので、プラットフォームやバッテリー、モーターなど、どの部門が先行するかは不確実ともいえる。バッテリー製造時に発生する二酸化炭素の削減や充電時間の短縮、寒冷地での性能アップなど課題が多いだけに、ブレイクスルーも多そうだ。

アウディらしい造形は「さすが」のレベル。走りはコーナリングが楽しい

 Q6 e-tronはご覧のように二枚目に仕上がった。フロントピラーを後方へずらしボンネットを長く見せるスタイリッシュなデザインでまとめている。いわゆるロングノーズのスポーツカー風だ。アウディが得意とする都会的なカッコよさを強調する。ルックスは最高。この後スポーツバックが追加されるから、そちらはさらにスタイリッシュに見えるだろう。

 グレードは3種類で、二駆のQ6 e-tronとお馴染み四駆のQ6 e-tronクワトロ、ハイパフォーマンス版のSQ6 e-tronといった構成となる。今回その中からステアリングを握ったのは前2つのモデル。駆動輪数の違いを体感することができた。

リア

インパネ

 走った印象をお伝えすると、二駆と四駆では明らかに違いがあった。どちらもBEVの特徴を活かした加速は一流だが、四駆のほうがハンドリングは正確に感じられた。4本のタイヤをうまい具合にトルク配分してコントロールしている感覚だ。なので、こちらのほうが操っている感が強く楽しい。それに自然とコーナリングスピードが上がりながら、挙動は安定したままをキープする。四駆だからといって変なクセはなく、頭の中で描くラインをキレイにトレースしてくれるのはさすがアウディだ。クワトロの名が光る。

 それでは二駆はどうなのかというと、じつは駆動輪がフロントではなくリアなので、コーナーでの気持ちよさはほぼ変わらない。コーナー出口でグッとアクセルを踏み込むと後足で路面を蹴る感覚を得られるのがいい。少しBEVの重さは感じられるが、走り方次第では楽しめそうだ。トルクステアが嫌な人はこちらに軍配が上げるだろう。

 総じてコーナリングがいいのは、ダンパーの進化も関係してる。FSDと呼ばれるものがそれで、従来型よりもロードホールディング性能を高めている。入力を従来比で30〜60%削減するからすごい。必然的に乗り心地がよくなる。

リアimage

タイヤ

 ユニークなのは回生ブレーキのキャパシティの大きさで、どちらのモデルも日常的な走りではほぼブレーキシステムを使わない。もちろんパドルシフトで任意に回生ブレーキの強弱を選べるが、そうしなくともブレーキが必要な場面の約95%を回生ブレーキが行うというから驚かされる。ブレーキペダルを踏んでも回生ブレーキのほうが先に動くといったイメージだろう。というかアクセルを戻した瞬間から回生する。ブレーキキャリパーをローターに押し付けるのは、意図してブレーキペダルをグッと踏み込んだときのみだそうだ。なるほど、回生ブレーキはそのまま動力になるからこの技術は進化すればするほど効率がいい。バッテリーの充電頻度を少なくする要素のひとつに、この技術の進化系があるのかもしれない。

 忘れていたが、インテリアもこのクルマの美点となる。曲面デザインのMMIパノラマディスプレイが先進性を表現している。整理されたレイアウトと表示されるイラストやフォントが操作性の高さを感じさせる。ここもまたアウディの得意分野だ。

シート01

シート02

 といったのが、アウディQ6 e-tronのファーストインプレッション。ルックス、乗り心地、ハンドリングなど総合的にかなり高いレベルで仕上がっているのを実感した。パワーの出方もガソリンエンジンのような細かいアクセル操作ができるのがうれしい。しばらく走らせているとBEVであることを忘れてしまうような操作感だ。最近アウディはニューモデルの投入が続いている。先ごろA6 e-tron、Q5、A5 TDIが正式デビュー、この後もQ6 スポーツバックe-tronが日本へやってくる。
 昔のように「アウディ=カッコいい」、というブランドイメージが高まるに違いない。期待したい。

エンブレム

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