ルーテシアは輸入車では珍しいフルハイブリッドのE-TECHと1.3リッターターボを設定。価格は299万〜379万円。写真のエンジニアードは「ウォームチタニウム」をキーカラーに内外装をコーディネートした上級モデル
ルノー・ルーテシアの本国名はクリオ。日本では商標登録の関係でルーテシアを名乗る。ちなみにルーテシアとはラテン語で現在のパリ周辺を意味するルテシア(Lutecia)に由来する。軽快なイメージのクリオも悪くないが、お洒落で、どことなく優雅な印象のスタイルを見ていると、パリを意味するルーテシアの方が似合うと感じる。
ルーテシアの価格帯は299万から379万円。300万円台で輸入車では希少なフルハイブリッドモデルが選べるのはうれしい。
E-TECHを名乗るルノーのフルハイブリッドは、1.6リッター直4エンジンとメインとサブの2モーターの組み合わせ。エンジン側にドッグクラッチを用いた4速、メインモーターには2速のトランスミッションを配置している。エンジンスペックは91ps/144Nm。アルカナやキャプチャーの94ps/149Nmより抑えられている点が特徴だ。WLTCモード燃費は、輸入車トップクラスの25.2km/リッター。以前、横浜から四国の松山まで約800kmを走った際には30.3km/リッターをマークした。
試乗車はエンジニアード。E-TECHの上級車種というポジショニングだ。魅力はスポーティさと上質の融合。エクステリアではフロントバンパーにウォームチタニウムカラーのF1ブレードが追加され、サイドプロテクションモール、専用17インチアルミホイールを装着。フロントグリル、エンブレム、サイドプロテクターはブラックになる。
インテリアは、ウォームチタニウムのステッチが入った本革巻きステアリングや専用シート、ドアトリムに加えて、アルミペダル、専用キッキングプレートがおごられる。ボディカラーは落ち着いた印象のグレーとブラックの2色から選べる。
走りはスムーズで軽快。加速はダイレクト感にあふれ、市街地はもちろん高速道路やワインディングでも思いのままに走れる。足回りの印象も素晴らしい。乗り心地は速度を上げるにつれてフラットでしっとりしたフィーリングになり、フットワークもルーテシアの持ち味である自然な身のこなしに、駆動用バッテリーをリアに積んだことによる重心の低さや前後重量配分の適正化が加わって、安定感が増していた。
E-TECHエンジニアードは、フランス車ならではの快適性と上質な味わいが印象的。このクルマには、明らかに独自の空気が流れている。この感覚を「パリのエスプリ」というのだろうか。