Jeepレネゲード・アルティテュードe-Hybrid。価格/7DCT 544万円。レネゲードはコンパクトJeepの代表モデル。「かっこかわいい」スタイリングは現在でも魅力たっぷり。4255×1805×1695mmの取り回し性に優れたサイズもいい。レネゲードは今後e-Hybridのモノグレードになる
コンパクトJeepの代表、レネゲードにマイルドハイブリッドの「e-Hybrid」が登場した。約10年前に誕生したレネゲードは、手ごろなサイズや「かっこかわいい」デザインがとくに女性に受けて日本でも人気者に。今年3月末までに2万7000台超が販売されたという。
e-Hybridは1.5リッター直4直噴ターボ(131ps/240Nm)と48Vモーター(20ps/55Nm)を内蔵した7速DCTを組み合わせた比較的シンプルなシステム。発進から15〜20km/hほどの低速域はモーターで走行。モーターの負荷が高まるとエンジンが起動して加速の主役になる。機構的にはアルファロメオのトナーレ用ユニットと共通性が高い。
レネゲードは驚かされるクルマだ。触れるたびに新たな発見があるからだ。本格的なオフロードにトライしたときには、てっきりルックス重視の都会派だと認識していたのに、ジープならではの高い走破性を秘めていることに感心した。
2020年に追加されたジープ初のPHEVも画期的だった。優れた環境性能とともに、強力なリアモーターで後ろからグイグイ押してくれるハンドリングが素晴らしかった。
今回のマイルドハイブリッドもそう。10年選手のレネゲードが、最新のメカニズムを搭載できる柔軟性を持っていたこと自体に驚かされた。もちろん、その走りと燃費のよさが印象的だったことをあらかじめお伝えしておこう。
内外装にも変更があり、エクステリアではフロントグリルやドアミラー、ドアハンドルなどがブラック系のコーディネートに変更された。
試乗車はグラファイトグレーだったが、ボディカラーに新たにソーラーイエローが追加されたのもニュースだ。レネゲードのルックスによく似合いそうで大いに気になる。ただし生産が始まるのはこれかららしい。早く実車を見てみたいものだ。
インテリアではステアリングホイールの形状が変更されたほか、音声認識機能を備えた最新のインフォテイメントシステム、「Uconnect 5」が採用された。センターディスプレイは使い勝手に優れた10.1インチタッチパネル式だ。
試乗コースは、都内からアクアラインを渡り房総の中心部までの往復。高速道路と郊外を主体に市街地を少々というルートだ。
48Vマイルドハイブリッドは、メカニズム面で特筆すべきものはない。だが完成度は上々。アクセルレスポンスは良好で応答遅れも過敏なところもない。加速フィールは非常にシームレスで扱いやすい。同じジープ・ブランドの純BEVモデル、アベンジャーと比較しても出足のよさでは上回るほどだ。
車両重量は1470kg。最大トルクの240Nmをわずか1500rpmで発生する1.5リッターターボエンジンと、48Vモーターの組み合わせは、市街地から高速道路までストレスなく走れるパフォーマンスを実現していた。エンジン自体もなかなかパワフルなうえに、再加速の際にはモーターが高い車速域でも適宜アシストしてくれる。
ディスプレイで出力フローを見ていると、エンジンとバッテリーの出力値がどれくらいかがリアルタイムで表示され、エンジンの力を加速と充電に巧みに配分している様子がよくわかる。
WLTC モードで17.7km/リッターという燃費は実走値に近かった。普通に走っていても16km/リッターを軽く超え、高速道路で燃費を意識して走ると20km/リッターを超えることも珍しくなかった。燃費は予想以上にいい。
基本設計が古い関係もあり、ハンドリングや直進安定性といった項目はそれなりのレベル。とはいえ、大きな不満はない。安心してドライビングを楽しめた。普通に乗りやすく、乗り心地も悪くない。このフレンドリーな走り味は、タイムレス感覚のチャーミングなデザインととともに長くつきあううえで、大きな魅力になるに違いない。
最新モデルほどではないにせよ、先進運転支援装備も機能としては不満を感じさせないだけのものが揃っている。デジタルルームミラーの画質はきれいで見やすい。
レネゲードは適度なサイズで取り回し性に優れ、スクエアな形状が効いて車内空間は後席も含め狭さを感じさせない。荷室も十分に広くて利便性に優れることを再確認した。基本性能の高さは、現在でも折り紙付き。そこに、ハイブリッドという魅力が加わったのは大きい。
なお、ラインアップはシンプル化が図られ、今後レネゲードはe-Hybridのみとなる。
価格は544万円。以前はリーズナブルなモデルもラインアップされていたことを考えると、ずいぶん高額になったものだと思う。ただし装備は充実しており、周囲も値上がりしていることを考えると納得できないわけではない。
実際の話、このチェーミングなデザインは他に換えが効かない何よりの魅力。そのうえで中身がちゃんとアップデートされているのだから、「多少高くてもぜひほしい」というユーザーはたくさんいるだろうと思う。