2025年4月5日に60年に及ぶ歴史を閉じたKK線(東京高速道路株式会社線)。その廃止と再生を記念した『KK線リボーン・セレモニー』が4月18日に、そして廃線後初の公開イベントとなった『Roof Park Fes & Walk 』が19 日に行われた。
KK線といえば、蓬莱橋から新京橋まで、東京・銀座の西側を通って首都高速に直結する全長約2kmの自動車専用路だ。区分上は一般自動車道となるため、走行料は無料で制限速度も40km/hに制限されている。
歴史を遡ると、1951年にKK線の母体となる東京高速道路株式会社が、銀座の復興と自動車交通量の緩和を目的に23人の財界人の協力によって誕生した。1959年には土橋〜城辺橋間で一部供用がスタートし、1966年に首都高との完全供用を果たすこととなった。
その最大の特徴は、道路下に一体構造のビルを14棟建設し、そのテナント収入で建設費、維持管理費、通行料を賄うPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)の先駆けというべき画期的な事業形態を編み出したことだ。
しかしながら完全供用から60年を経て建物を含めた老朽化が進んだこと、2030年を目処に首都高の日本橋高架の地下化計画に伴い西銀座から京橋間が新たに地下トンネル化されることが決定したのを受け、日本の都市部の高速道路として初めて廃線されることとなった。
4月18日に行われた『KK線リボーン・セレモニー』は、文字通りKK線の再出発の場となるとともに、1959年からの歴史を改めて振り返る場として企画された。そのメインとなったのがクラシックカーと歩行者が高速上で「クルマから人へ」バトンタッチを行うパレードであった。
今回集まった参加車は1966年式のトヨタ・パブリカ、いすゞ・ベレット1600GT、トヨタ2000GTボンドカー、1967年式の三菱コルト1100、1969年式のスバル360、1971年式のマツダ・コスモスポーツ、1974年式の日産スカイライン2000GT、1978年式のいすゞ117クーペ、1979年式の三菱デボネア、1986年式のホンダ・シティ・カブリオレ、トヨタ・マークⅡ、1988年式の日産セドリック・シーマ、1989年式のトヨタMR2、ユーノス・ロードスター、1991年式の日産フィガロ、1998年式のトヨタ・プリウスの計16台。
このうちスカイライン、シーマ、フィガロは日産ヘリテイジ・コレクションから、マークⅡとプリウスはトヨタ博物館から、そしてロードスターはマツダの広報からの参加となった。
またトヨタ2000GTは、日本を舞台に撮影され1967年に公開された映画『007/007は二度死ぬ』のボンドカーとして当時製作された2台のうちの1台。オーナーによると撮影にメインに使われたのは現在トヨタ博物館に所蔵されている方ということだったが、この個体は当時、高速道(おそらく首都高)の開通パレードに参加していたヒストリーの持ち主なのだそうだ。
セレモニーの最後に挨拶した小池都知事の言葉にあったように、KK線はこのあと「クルマのための道路から人のための空間」に生まれ変わることになっている。
そこで重要なのは「スクラップ&ビルド」されるのではなく、今の施設を活かしながら文字通り「リボーン」していくということだ。聞けば、アルファルト路面や、標識、料金所など、この場所が自動車専用道であった痕跡も上手く残しながらリノベーションする計画もあるという。
果たしてKK線がどのような姿に生まれ変わるのか?その完成を楽しみにしたい。
藤原よしお/自動車専門誌編集長を経て、現在はフリーランスの編集者、ライターとして自動車専門誌、一般誌などを中心に世界中のヒストリックカー、プレミアムカー、イベントに関する執筆・編集活動を行う。また国内のヒストリックカーにまつわるイベントのサポートなども行なっている。愛車はロータス69(フォーミュラ・フォードなど)