[練り歩くヒト]
九島辰也/モータージャーナリスト
井口華音/動画クリエイター&YouTuber
山本善隆/カー・アンド・ドライバー統括編集長
華音 次は西展示棟。最初に尋ねたのはIT/ソフトウェア企業のSCSKさんでした。
山本 注目はITメーカーとしての次世代モビリティへの挑戦、です。SCSKのような異業種プレイヤーが積極的に関与すると面白い。彼らは中国企業とも組んでいます。中国企業はスピード感あるプロダクト作りが得意。そこで生まれた「良いもの」を日本にも持ってきて伸ばしたい、というのが彼らの思いと聞きました。

九島 日本の新たな強さを生み出す可能性があるのはいいね。次に訪ねたのは日産だった。
華音 日産は新型エルグランドも立派でしたが、日本での販売が決定したパトロールが印象的でした。その上質さに驚きました。
山本 パトロールは、せっかくいいクルマを作っているのだから、日本でも売ろう!という多くの社内有志の働きかけで日本販売が決まったそうです。
九島 あのクルマはもともとハイグレードを求めるユーザーに向けて作られた「本格ヨンク」。キャラクター的にはレンジローバーやメルセデスGクラスと同様のカテゴリーに属する。中東をはじめ、グローバルで大成功を収めていて、世界のセレブリティが好んで乗る日産の財産ともいえる1台なんだ。このクルマが日本でも買えるのはいいことだよね。
山本 日産の美点は、いいプロダクトを作り、素晴らしい歴史を持っている点です。パトロールは、その象徴として突き抜けてほしい。ちなみに、今回の日産ブースは従来の華美なイメージから脱却してみせていたことが個人的に好印象でした。彼らは間違いなく新たな一歩を踏み出している、と感じさせられました。
九島 日産は、新しいことをどんどんすべきだと思う。次に回った三菱はどうでしたか。
華音 トライトンがカッコよかった!タイで開催されたAXCR(アジアクロスカントリーラリー)で優勝したマシンが展示されていました。石はね跡など、戦いの痕跡が残っていたのが凛々しかったですね。
九島 これから行くヤマハにも、今年の8耐に参戦したバイクが展示されている。あのマシンもカウルが欠けていたり、戦いの痕跡がリアルだったな。そういうのはいいよね。
山本 三菱のブースは、彼らの個性であるアウトドアなイメージでまとまっていた印象です。すごく「山」のイメージが強いですよね(笑)。
九島 ボクは山もいいけれど、海のイメージも必要だよ、とアドバイスしているのだけれど、なかなか変わらないんだよね(笑)。でも中央に展示されていたELEVANCE Conceptは、未来のアウトランダーPHEVなのかな?なかなか魅力的だったよ。
山本 デビューから18年が経過したデリカD:5のマイナーチェンジ版も展示されていました。三菱各車は、モデルライフが長いことが特徴ですが、中でもデリカD:5は古株。今回の改良で20年突破は決定ですね。
九島 デリカは商品企画力の勝利だと思う。時代に合わせたモデルを作ろうとしたのではなく、純粋に自分たちが考える「いいクルマ」を作った。だから魅力が持続するんだ。
華音 BMWも新鮮でした。新世代のBMWコネクティッド・ドライブを利用すると30ものゲームが自分のスマホで楽しめるんです。実際にX1の車内で体験しました。BMWはドライバーが主人公というイメージなので驚きました。
九島 「走る歓び」にこだわってきたのがBMW。ある意味、ドライバーオリエンティドになりすぎていた反省かもしれないね。
山本 あれは「遊べる」ことそのものは大切でない気がします。車内でパッセンジャー同士が、ゲームを通じてコミュニケーションできる、みんなでつながる仕掛けだという点が素晴らしい。いまは家族でドライブに出かけても、それぞれがスマホを眺めて下を向いてしまいがち。同じデバイスを使うなら、ゲームでも何でも一緒に楽しめることなら、顔を上げて対話が生まれる。そのきっかけをBMWは提供したいのだと思います。ドライバーからしても、ドライブ中に皆んなが楽しいと感じられれば、よりドライビングに専念できますしね(笑)
九島 そうだね。パッセンジャー全員が楽しめる要素を加えることで、よりドライバーズカーとして進化することを表明しているのかもしれない。ところでMINIポール・スミス・エディションはどうだった?
華音 可愛かったです。ポール・スミスは基本的に男性向けのブランドだと思いますが、遊びゴコロも女性ゴコロも刺激される演出でした。
九島 英国ノッティングヒルのフラッグシップ店に行ったことある? 白いお屋敷みたいな。
華音 行ったことありません!! 行ってみたいですね!
九島 普通の家みたいなんだけど、ポール・スミスのお店になっている。中は凄くカラフル。家具なんかもカラフル。今回のMINIのノッティンググリーンというカラーはそれを象徴しているんだと思う。
華音 すごくオシャレですね。ちょっと明るめのグリーンですね。
九島 MINIの中でも、ポール・スミスのようなモデルに乗るのはいいよね。
山本 MINIを含めてBMWは「マシン」の文脈で語られがちですけれど、今回のJMSでは、ゲームとかポール・スミスとか、これまでとは違う方向性を感じました。個人的にはBMWの新世代、ノイエクラッセの第1弾となるiX3の評価も気になります。デザイン責任者から話を聞かせてもらったこともあり、凄く楽しみです。
