連載46回 乗ってモテなきゃ男じゃない! 永遠のセレブカー、Gクラスディーゼルは一体どこがすごいのか?

TOP.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●日本で取り合いになっているというハナシも?

 ふと小耳にはさんだのですが、いま供給が追い付かずに取り合い?
 もしや一部、価格が上がっている? という超人気クロカンに乗ってきました。

 それは2018年デビューの2代目メルセデス・ベンツGクラスのディーゼルモデル。ある意味、英国レンジローバーと双璧を為す世界のセレブリティ御用達カーです。
 
 なぜGクラスがすごいかというと、本物の道具が持つ骨太なデザインと、ミリタリースペックともいわれる質感、そこにメルセデスの高級感がほどよくミックスしてあるからでしょう。
 
 いわば本物のアーミーナイフとエルメスのバッグを足して2で割ったようなクルマです。

右頭.jpg▲メルセデス・ベンツG350d 価格:9ATC 1192万円 最低地上高240㎜を確保
 
 1stモデルデビューは40年以上前の1979年。そこから38年間、エンジンや装備品は進化しましたが、骨格は不変です。
 
 しかも1stモデルは専用仕様が当時のNATO軍に正規採用されており、基本はまさにミリタリースペック。
 
 ただでさえ重厚感のあるメルセデスが、さらに重厚感を増しており、小沢は1stモデルに乗ってシフトをさわったとき「こりゃ地面のコンクリートから直接生えているのか?」と思うほどの圧倒的剛性感を感じたほど。

真横.jpg▲むき出しのドアヒンジやボンネット上のウインカーランプなど1stモデルの古典的な雰囲気をあえて残した
 
 完全後付けのウィンカー、外出しヒンジ、ほとんど平面だらけのガラスなど、いま作ったら実現出来ないディテールが一杯。現在の効率重視のクルマでは得られないテイストの塊で、それが受けていたのです。
 
 よって38年ぶりに誕生した2ndモデルはイイトコ取り。

リア.jpg▲オプションのAMGライン装着車は全長×全幅×全高4660×1985×1975mm 標準仕様の全幅は1930㎜
 
 骨格はもちろんオールニューで、変わってないのはドアハンドルとヘッドライトウォッシャーとリアのタイヤカバーのみ。
 
 しかし、それでいてタッチは1stモデル譲り!? という不思議なクルマだったのです。
 
 2ndモデルは2018年のデビュー時にV8ガソリンしかなく、V6ディーゼルが待たれており、ついに2019年G350dが登場しました。

●あらためて乗ると、まさに質感モンスター

 さて新型Gクラスディーゼル。

 乗るというより、乗りこんだ瞬間に「ああ、やっぱりコレコレ」という味わいに遭遇しました。
 
 ♪ガチャ。まさに金庫を開けるようなドアの開閉音とタッチです。

ドアハンドル.jpg▲重厚かつメカニカルなガチャっというドアの開閉音は1stモデルの面影を感じる
 
 かたや乗りこむと最新Aクラス同様の12.3インチの超横長ダブルディプレイが備わっていてハイテクさ十分。
 
 もちろん被害軽減ブレーキや追従式オートクルーズなどの最新運転支援機能も付いています。

ダッシュ斜め.jpg▲12.3インチワイドディスプレイがコクピットとセンターに並ぶ最新のインパネデザイン シフトレバーはコラムタイプ
 
 さらに、走り出すなり1stモデル同様、オートドアロックが♪ガッチャン! この変わらぬ軍用車のような硬質な響きとタッチがたまりません。
 
 見た目もボディサイズはひと回り拡大していますが、軍用車のような風貌は変わりませんし、前後左右のガラスもリア以外はすべて曲面なのですが一見、平面ガラスに見えます。
 
 ドアヒンジもあえて空力を気にせず、外付けのまま。骨格やプラットフォームこそ最新ですが、ディテールに古典美をあえて残してあるのです。
 
 骨格も2ndモデルはある意味いいとこ取りで、本物のクロカン4WDに求められるラダーフレームを新設計しつつも残し、一方で前後リジットサスペンションはやめてフロントのみをダブルウィッシュボーンに。
 
 ステアリングシステムも伝統のボール&ナット式からラック&ピニオン式に変更しています。屈強さは残しつつ、あえてオンロード性能をアップ、というわけです。
 
 事実、乗り比べると差は歴然で、高速道路でのライントレース性と街中でのギクシャク感が全然違います。

前席.jpg▲路面から離れた高い着座位置は独特の守られ感がある 本革シート標準 AMGライン装着車は刺繍とシートベルトがレッドに

後席.jpg▲高い着座位置でも頭上スペースは広々 後席は6対4分割可倒式
 
 大袈裟にいうと2nd・Gクラス、外見はクロカン、中はメルセデスのEかSクラス! といった感じでもあるのです。
 
 さらに素晴らしいのがエンジン。

エンジン.jpg2924cc直6DOHC24Vディーゼルターボ 286ps/3400~4600rpm 600Nm/1200~3200rpm トランスミッションは9速AT
 
 最近よくあるV6ターボではなく、あえて新作の3リッター直6ディーゼルターボを搭載。
 
 これが旧型よりスペック的に優れ、286ps&600Nmの豊かなパワー&トルクを発揮するだけでなく、大変スムーズに回り、屈強なボディとあいまって、乗車中にディーゼル音をほぼ感じません。
 
 個人的にはヘタなディーゼルサルーンより静かかも? と思ったほど。
 
 無骨でカッコ良く、往年の硬質なタッチをとどめているだけでなく、サルーン顔負けの走りに静けさ。ますますセレブが放っておくわけがありません。
 
 価格も1000万円超えの1192万円ですが、ガソリンV8の1623万円と比べると安い! 売れるのも納得です。小沢には買えませんけど。

ラゲッジ.jpg▲リアドアは伝統の横開きタイプ ラゲッジは後席使用時667リッターと広い

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