欧州で電動車人気が急上昇。商品ラインアップと購入支援策がダブルで充実

ドイツとフランスは購入補助金を増額

▲テスラ・モデル3  調査会社JATOの発表によればモデル3は8月に欧州で6922台販売 EVの中で最も売れた
▲テスラ・モデル3 調査会社JATOの発表によればモデル3は8月に欧州で6922台販売 EVの中で最も売れた

 欧州でECV(エレクトリカリー・チャージャブル・ビークル)の販売が急増している。ECVとはEU(欧州連合)の正式な呼称で、外部充電で走るクルマ、BEV(バッテリーEV)とPHEV(プラグイン・ハイブリッド)を指す。

 ECVについて、ドイツとフランスは6月、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)蔓延で落ち込んだ経済を刺激するために、ECVを対象にした補助金の増額を決めた。ドイツは来年末まで、フランスは年内という期限付きのため、ユーザーが飛びついた。

 ドイツでは車両価格4万ユーロ(6月1日時点で約480万円)以下のBEVに9000ユーロ(同108万円)、PHEVに6750ユーロ(同81万円)の連邦政府補助金を設定した。そのため7月以降は月間3万5000台ペースでECVが売れている。前年比2倍以上の売れ行きだ。

 フランスは車両価格4万5000ユーロ(同540万円)以下のBEVに最大7000ユーロ(同84万円)、PHEVに2000ユーロ(同24万円)の補助金を付けたが、7月末には予算上限に達したため8月3日以降は補助金が減額された。それでも6月と7月で約20万台のECVが売れた。

 ACEA(欧州自動車工業会)の統計によると、8月だけで約8万台のECVが販売された。フランスでは全自動車販売台数のうち10%がECV、ドイツでは13%がECVという実績である。「国からの補助金」に加え、自治体ごとの補助金や優遇措置も販売増に大きく貢献した。

 国や自治体のECV補助金は、いわゆるスクラップ・インセンティブ(買い替え促進補助)であり、年収の低い世帯に補助金を手厚くする制度を導入する国もある。ただし、ドイツの連邦政府BEV補助金の上限額9000ユーロのうち3000ユーロは「自動車メーカーの負担」だ。

欧州の売れ筋電動車

▲フォード・クーガ(PHEV)
▲フォード・クーガ(PHEV)

 JATO発表の8月販売データによると、最も売れたBEVはテスラ・モデル3(6922台)、PHEVはフォード・クーガ(4856台)、ハイブリッドはトヨタ・カローラ(9916台)となっている。ECVの魅力がユーザーに浸透し、販売が好調という面もあるだろう。車種バリエーションも充実してきた。

 リース方式でBEVを販売する業者も一気に増えた。リースの場合、車両の名義は貸出側になるため、補助金はリース会社に入る。これを頭金のようなかたちで使用し、ユーザーは月額のリース料と保険料だけでBEVが使える。BMW・i3を保険込み月額185ユーロ(現在のレートで約3万3000円)で販売する例もある。こうした業者は自動車メーカーからフリート(大量一括)購入の値引きを受けているケースも多いようだ。

▲ハイブリッド仕様のトヨタ・カローラ・ハッチバック(欧州名)
▲ハイブリッド仕様のトヨタ・カローラ・ハッチバック(欧州名)

 自動車メーカーがECV販売・開発に力を入れる理由は、来年からCO2(二酸化炭素)排出規制が95g/kmになり、未達成の場合は罰金が科せられるからだ。この規制値はCAFEといい、企業別平均燃費を示す(欧州の場合は二酸化炭素の排出量値)。95gを超えた分は1gにつき1台当たり95ユーロの罰金になる。昨年実績で見ると平均で120g/km(2020年までの規制値)を達成している自動車メーカーさえ少ない。仮に年間50万台販売して平均115g/kmだと、来年以降は20g×95ユーロ×50万台で9億5000万ユーロ(約1178億円)の罰金になる。

 日本のBEV補助金は車両価格に応じて変わり、最高額は40万円。自治体ごとの補助金は別だが、合計100万円を超えることはない。税金ベースの補助金という点では、この程度が妥当なのかもしれない。

SNSでフォローする