【Mを知る/スペシャルインタビュー】セールスは13年連続で拡大中。スペシャリストに訊く「BMW M」の現在地

日本でもBMW M2の高いポテンシャルを活かし、「挑戦から生まれる。人を鍛える」をコンセプトに「M2 CSレーシングシリーズ」を展開中。2025年シーズンは富士/鈴鹿/岡山/菅生などで全12戦を戦う。間も無く最新M2レーシングの予約受注もスタートする

日本でもBMW M2の高いポテンシャルを活かし、「挑戦から生まれる。人を鍛える」をコンセプトに「M2 CSレーシングシリーズ」を展開中。2025年シーズンは富士/鈴鹿/岡山/菅生などで全12戦を戦う。間も無く最新M2レーシングの予約受注もスタートする

2025年はサーキットイベントやMキャラバンを計画中です

巻波さん01

語り手/巻波浩之さん
ビー・エム・ダブリュー株式会社
営業ディビジョン ビジネスディベロップメント
BMWラグジュアリークラス/BMW M シニア・マネージャー

まきなみ ひろゆき/1988年の入社以来、サービスを皮切りにワランティ、広報、アフターセールスなど数々の部署を経験しているBMWスペシャリスト。2025年1月より現職。モータースポーツ、オートサロンの責任者でもある。サーキットへは基本的に自走で向かう

九島さん01

聞き手/九島辰也さん
モータージャーナリスト
くしま たつや/かつてMロードスターを所有しMの実力と魅力を知り尽くしているモータージャーナリストにして生粋のカーガイ。Mロードスターは初代Z3のコンパクトなオープンボディにM3用3.2リッターストレート6を搭載したリトルモンスターだった

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九島辰也さん(以下:九島) 最近Mをよく見かけます。まずは販売状況を教えてください。

巻波浩之さん(以下:巻波) MはM2、M4、M5といった「Mハイパフォーマンスモデル」と、M135、M235、X3 M50、i4 M50などの「Mパフォーマンスモデル」で構成されています。ともにM社が開発を手がけ、Mハイパフォーマンスは、サーキットを射程に収めたモデル、Mパフォーマンスはサーキットで培ったテクノロジーを導入したモデルというキャラクターの違いがあります。Mのセールスは13年連続で増加しており、2024年は全世界で20万台を記録しました。日本でも好調です。昨年は全体の販売の約2割近くがMでした。この数字の中にはMスポーツというグレードは含んでいません。Mスポーツを含めると、販売車両の8割以上をM関連が占めるイメージです。結果、日本はアジア圏で1、2位を争うMの主要マーケットになっています。ちなみにグローバルではアメリカが最も売れており、モデル別のベストセラーはBEVのi4 M50になります。

九島 最近のエピソードはいかがですか。

巻波 2025年3月にアブダビのヤスマリーナ・サーキットで「BMW Mエクスペリエンス」が4週間にわたって開催されました。67カ国/約1600人が参加した一大イベントです。世界中のディーラーやインポーター関係者が一堂に集いMの魅力を再認識しました。私も参加し、マネジャー会議に参加すると同時にサーキットをドライバーズエクスペリエンスの先生の先導で走ってきました。今回のMエクスペリエンスは、今後ますますMに力を入れていくというBMWの決意表明です。

M2

九島 日本でのMの中心というとどのモデルでしょう。

巻波 人気に対して販売車両が足りない、という点ではM2になります。M2は追加オーダーしてもなかなか確保できない状況です。M2はパッケージングがいいですね。サーキットをストック状態で走れるポテンシャルを持っていますし、扱いやすい。価格は決して安くはありませんが、内容を考えるとお買い得だと思います。今後もM2は積極的にスポットライトを当てていきたいですね。ちなみにM2にはCSレーシングというレース専用車も用意しています。一昨年からMINIチャレンジと混走でレースシリーズを展開し、現在8台ほどが参戦しています。

レース

九島 M2を含めMに注目してもらう施策は何か考えていらっしゃいますか。

巻波 ユーザー向けのサーキットイベントを企画中です。富士スピードウェイ、鈴鹿、そして会員制サーキットのMAGARIGAWAを予定しています。いずれもMを体験してもらうのが目的です。今後は以前に展開していた「BMWドライビングエクスペリエンス」を復活させて、基礎コースからスタート、最終的にサーキットを走れるまでドライビングスキルを高めるプログラムも準備したいと思っています。そうすればMの魅力をもっと訴求できるでしょう。ドイツ本国ではもちろん、お隣の韓国でも実施しているので頑張ります。通常のBMWも素晴らしいですが、M、中でもMハイパフォーマンスモデルは、乗ると違いを実感できるクルマです。ブレーキもしっかりしている。すべてがサーキットを走って大丈夫なように鍛え上げられていることがわかります。その感動をお客様に伝えたいのです。

 さらに今年は、全国6カ所で「Mキャラバン」を開催する計画です。M2やM4、M8などを展示するのと同時にトークショーを実施し、多くのお客様にMの素晴らしさ、なぜMがモータースポーツに挑戦するのかを伝えたいと考えています。会場は誰もが気軽に立ち寄れるオープンスペースを検討しています。

M5

九島 販売体制の充実化も図っていらっしゃいますね。

巻波 5年ほど前から「M認定ディーラー」を正規ディーラーの中に作り始めました。M認定ディーラーでは専用のトレーニングを受けたセールススタッフとメカニックを配置しています。当初は10数拠点でしたが、現在は70店舗ほどに増え、北海道から鹿児島までカバーできる体制になりました。

九島 最後に「近未来のM」について教えてください。

巻波 まだ先の話になりますが、次期M3はBEV/電動化ユニット/内燃エンジンの3種のパワートレーンでデビュー予定になっています。MパフォーマンスモデルもBEVのiモデルを含めて拡充する方向です。直近では各種の限定車を企画しています。ご期待ください。

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