メルセデスAMG GLE53 4マチック+/価格:9SATC 1729万円。パワートレーンは3リッター直6ターボ(435ps/560Nm)を主体にモーター(ISG/15kW/200Nm)+電動スーパーチャージャーで構成
メルセデスAMGもまた、SUVの人気が高い。G63の影に隠れがちだが、このGLE53 4MATIC+は憧れの1台として注目を浴びている。
現行型は2019年にフルモデルチェンジした4世代目のGLEをベースに2020年に日本で発表したモデルの改良版となる。グリルの格子を強調することで、メルセデスAMG色を濃くしているのが特徴だ。迫力あるバンパー形状や22インチの大径ホイールもアグレッシブな走りをイメージさせる。
説明が必要なのはパワーソースだろう。コードネームM256の3リッター直6エンジンには、電動のスーパーチャージャーと排気で動かすターボチャージャーが装着される。つまり、低回転から高回転領域までつねに過給される仕組みだ。また、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)、48V電動システムを搭載するのもポイント。
要するにマイルドハイブリッドと呼ばれるもので、リスタート時の滑らかな発進と振動の少なさが魅力。それに回生ブレーキによる発電も行うから効率的だ。得られた最高出力は435ps(320kW)、最大トルクは520Nmとなる。
これだけのパワーの持ち主なので、スタートから高速道路のハイペースな巡航までよどみなく加速することができる。ターボラグなどは皆無で、リニアに加速していくのが気持ちいい。アクセルから足を離さない限りずっと右肩上がりにスピードが上昇する雰囲気だ。しかも、太いトルクを低回転から発生することでクルマの動きがとても軽快。車両重量は2.5㌧に近いのに、重さを一切感じさせないのがすごい。
さらにいえば、V8並みのパワーを出しながらワインディングでは鼻先の軽さをドライバーに与える。効率設計のブロックを持つ直6ユニットの利点をダイレクトに感じる瞬間だ。見た目の質量とはかけ離れた動きである。
そして乗り心地はAMGアクティブライドコントロールが活躍する。このエアサスは前後アクスルにそれぞれ装着されたアクチュエーターが独立した動きをするのがメリット。
コーナリング時を想像してもらうとわかるが、前後で異なる荷重がかかることを鑑みれば必然性のあるシステムといえる。そしてそれが効果を発揮するのはいわずもがなだ。
このメルセデスAMG GLEシリーズにはもうひとつGLE63S 4MATIC+が用意されているのも知っておくといいだろう。こちらはG63とほぼ同じV8/612psのパワーソースを積む。ただ、そこまで出力を必要と思わなければこちらで十分。前述したように直6のメリットもあり、アクティブな走りが堪能できる。
価格は「53」の1729万円に対し、「63S」は2381万円。高級車1台分くらいの差があるからそんな選択もあり。53はゲレンデには未設定。インテリジェンスを感じる仕様になっている。