【20世紀名車】ジェームス・ボンドも愛した快速GT。’67アストンマーティンDB6の華麗なる世界

1967年式アストンマーティンDB6。DB6はボンドカーとして知られるDB5の後継車として1966年10月にデビュー。ホイールベース/全長を拡大しGT性能に磨きをかけたのが特徴。4リッター直6DOHCを搭載

1967年式アストンマーティンDB6。DB6はボンドカーとして知られるDB5の後継車として1966年10月にデビュー。ホイールベース/全長を拡大しGT性能に磨きをかけたのが特徴。4リッター直6DOHCを搭載

ル・マンを制したスポーツ血統が光る

 アストンマーティンDB6は、映画『007ゴールドフィンガー』でボンドカーとして活躍したDB5の後継モデルだ。ル・マン24時間などモータースポーツシーンで鍛え上げたハイパフォーマンスと、上質なインテリアを備えた、英国を代表するスポーツカーである。

 DB6はDB5と比較してホイールベースを95mm、全長を50mm延長し、GTカーの魅力を磨き上げた点が特徴だった。ボディサイズの拡大は主に後席居住性の向上に充て、室内はフル4シーターと呼ぶにふさわしい空間レイアウトである。しかしマイルド方向にシフトしたわけではない。リアエンドを空力面で優れた「コーダトロンカ形状」で仕上げ、フロントウィンドウの傾斜をDB5より寝かせて、総合的なエアロダイナミクス性能を向上させている。まさにオールラウンドスポーツというキャラクターで、リアエンドの造形はル・マンに参戦したレーシングカー、DB214/215からフィードバックしたものだ。

リア

 ロングノーズの下に収まる直列6気筒DOHCエンジンは、1957年のワークスレーサーDB2のユニットを継承して設計されている。DB6は3995ccの排気量から286ps/5500rpm、39.8kgm/3800rpmの最高出力/最大トルクを発揮。SU型の3連キャブレターを組み合わせた心臓はサウンドも刺激的だった。とくに高回転域の咆哮はレーシングカー直系を主張した。またタフネスぶりにも定評があり、きちんと調整されたDB6は、240km/hの最高速度で一日中巡航できるという。トランスミッションは5速MTと3速AT。取材車はATだった。

 ボディは、往年のアストンマーティン各車に共通の「スーパーレジェッラ構造」。これはイタリアのカロッツェリア、ツーリング社が特許を持つ工法で、強固なプラットフォームに小径鋼菅を溶接し、アルミ製パネルを貼る。強靭かつ軽量な仕上がりが特徴だ。足回りはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがトレーリングリンク式で、ブレーキは4輪ディスク。ステアリングはラック&ピニオン式である。

室内

エンジン

 DB6のドライビングフィールは男性的だった。ステアリングは正確だが操舵力は重く、相応の鍛錬が要求される。直列6気筒エンジンも本来のパフォーマンスを引き出すには、クルマとの深い対話が必要になる。だが、いったん手なずけると、一生のパートナーになる輝きを秘めている。まさに逸品と呼ぶにふさわしい。

1967年アストンマーティンDB6主要諸元

エンブレム

モデル=1967年式/アストンマーティンDB6
全長×全幅×全高=4623×1676×1359mm
ホイールベース=2584mm
車重=1550kg
エンジン=3995cc直6DOHC
エンジン最高出力=286ps/5500rpm
エンジン最大トルク=39.8kgm/3850rpm
トランスミッション=5速MT/3速AT
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:トレーリングリンク
タイヤ&ホイール=185/R15+ワイヤスポーク
駆動方式=FR
乗車定員=4名

真正面

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