【最新モデル試乗】道具っぽいシンプルさが魅力。ニューMPV、フィアット・ドブロの骨太の個性

フィアット・ドブロ 価格/8SAT 399万円 試乗記

フィアット・ドブロ 前後バンパーは無塗装のブラック仕上げ。ヘッドライトはハロゲンタイプ。パワートレインは1.5リッター直4ディーゼルターボ(130ps/300Nm)と8速ATの組み合わせ。走りは力強い印象

フィアット・ドブロ 前後バンパーは無塗装のブラック仕上げ。ヘッドライトはハロゲンタイプ。パワートレインは1.5リッター直4ディーゼルターボ(130ps/300Nm)と8速ATの組み合わせ。走りは力強い印象

ドブロはリフター/ベルランゴのBROS車。シンプルな味わいが個性

 フィアットに新たなラインアップが加わった。MPVのドブロだ。新発売されたモデルは3代目で、同じステランティス・グループのプジョー・リフター/シトロエン・ベルランゴとはBROS車である。
 2列シート/5名乗りと、3列シート/7名乗りを設定する構成はプジョーやシトロエンと同じだ。全長4405mmの前者はドブロ、ボディが365mm長い4770mmの後者はドブロ・マキシと呼ばれる。価格はそれぞれ399万円と429万円だ。

ドブロ02

ドブロ03

 実車を前にして感じるのは、いい意味での道具感。フロントマスクの処理はかなりシンプル。前後ともブラック仕上げのバンパー、同じくダークカラーのアルミホイールと相まってツールっぽい雰囲気。ボディカラーは、ブルー(写真)、ホワイト、グレーの3色である。

 インテリアは機能を重視した作りだ。室内基調色はブラックで、ドアトリムとシートのステッチにブルーを配しているものの、リフターやベルランゴでは選べるガラスルーフの用意はない。それだけに、運転席はさながらプロの仕事場のイメージ。ステアリング中央のフィアットの赤いロゴマークが目立つ。

ドブロ04

ドブロ05

 シートアレンジは多彩で、助手席は背もたれを水平近くに前倒しできるほか、2列目は3分割で独立して折りたためる。マキシの3列目は脱着式で、取り外すと最大2693リッターものラゲッジスペースが生まれる。荷室は2列シート仕様でも広い。リアゲートがガラスハッチ内蔵であることも、狭い場所で重宝する。

クリーンディーゼルは逞しい印象。道具として完成度が高い!

 パワーユニットはフランス生まれの2台と共通。1.5リッター直4ディーゼルターボ(130ps/300Nm)と8速ATを組み合わせて前輪を駆動する。車両重量はドブロが1560kg、マキシは1660kgに達するものの、走りは力強い。粘り強いトルクを発するエンジン、的確に変速を行うATのおかげで、2名乗車では加速に不満を覚えることはなかった。

ドブロリア

ガラスハッチ

 取り回し性もなかなかだ。ボディの全幅は1850mmに達するものの、スクエアに近いキャビン形状と高めの視線が効いて、道幅が狭い生活道路でも持て余す場面はなかった。乗り心地は外観から想像するより快適である。ただし路面の感触は適度に伝えてくる。フットワークは背の高さを意識させない、軽快かつ安定した身のこなしが印象的だった。走り味は、ほどよいなキビキビ感と実直さをバランスさせたイメージ。フィアットっぽいと感じさせる雰囲気でまとめられている。

 ドブロは見た目や乗り味から受けるとおりの、ビジネスやレジャーのツールとして使うシーンが似合うクルマだった。フィアットのラインアップでいえば、500よりパンダに近いキャラクターである。ちょっとした汚れや、スリキズを気にすることなく、使い込むほどにいい味わいが増すに違いない。400万円を切る、このカテゴリーの輸入車では割安なスタート価格も、素材としてドブロを楽しむユーザーの味方になってくれそうだ。

フィアット・ドブロ主要諸元

グレード=ドブロ
価格=8SAT  399万円
全長×全幅×全高=4405×1850×1800mm
ホイールベース=2785mm
トレッド=フロント:1555/リア:1570mm
車重=1560kg
エンジン=1498cc直4DOHC16Vディーゼルターボ(軽油仕様)
最高出力=96kW(130ps)/3750rpm
最大トルク=300Nm(30.6kgm)/1750rpm
WLTCモード燃費=18.1km/リッター(燃料タンク容量50リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:14.5/18.2/20.2)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=205/60R16+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.6m

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